AXAは、X線天文衛星「ひとみ」について、現状を次の通り発表した。
<推定される現在の衛星状態>
•衛星全体が速い速度で回転
•衛星の回転力に弱い部位(太陽電池パネルの一部、EOB等)が分離
•バッテリ枯渇(充電するためには、充電機能ONが必要なため通信の確保が必要)
•通信が確立できていない(3/28以降)
3/26~28にかけて3回電波は受信できているが、テレメトリが取得できていない。調査の中で以下の事象を確認しており、衛星状態推定・復旧運用に向け詳細な調査を継続している。
-キャリア周波数として200[kHz]程度ずれた電波を受信している。
-周波数スペクトルが地上試験データと異なっている。
•軟X線分光検出器(SXS)冷却システムの液体ヘリウムの減少(現時点では枯渇までは至っていないと推定)。
•ASTRO-Hから分離した物体のうち2つは比較的早く高度を下げていることが観測されており、4月末から5月中旬にかけて大気圏に再突入すると予測されている。
<今後の計画>
以下の作業を並行して行っていく。
(1) 電力・通信の確立に向けた運用、回転状態・形状推定のための地上観測
(2) メカニズム、故障の木解析(FTA)等の推定が残る部分の検証
(3) 今回の事象の要因(開発・運用のプロセス、及びその体制を含む)の分析