恩田陸の『蜜蜂と遠雷』を読んだ。上下巻あわせて1,000頁近い長編で、直木賞と本屋大賞のW受賞作。
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日本の架空の地方都市で開催される注目度の高いピアノコンクールを描く作品。いろんな人の視点で語られるのが特徴で、主に4人のコンクール出場者が中心だが、彼らの周りの人たちの語りがお話に厚みを与えている。1次予選、2次予選、3次予選、本選と続くコンクールでの演奏の競い合いと4人の心のふれあい、4人の成長を描く。
どこかでみたのだが「文字で奏でる」という表現が言い得て妙で、「まるで聴こえてくるみたい」とまでは言わないが、本来は耳で聴くピアノの演奏を文章で語りきったのはすごいなぁという感想。さわやかな感動を呼ぶ作品、読み応えたっぷりで、こりゃ読まないともったいないねぇ。最後のコンクール本選の栄伝亜夜の演奏が描かれなかった(聴けなかった)のがわたしとしてはちと残念だった・・・。
この作品の編集者による巻末の解説は、作品ができるまでの経緯(裏話)が描かれていて面白い。この解説は必読だ。