畠中恵の『とっても不幸な幸運』を読んだ。
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舞台は、新宿にあるほぼ常連客しか来ない「酒場」という名の酒場。この酒場で、100円ショップで買った「とっても不幸な幸運」という缶をめぐるお話。6篇の連作短編集の体裁。「とっても不幸な幸運」の缶を開けるとやっかいなことが起こると経験上知っているはずだが、行き詰った時には何故だか開けたくなるみたいで・・・。
缶を開けると困ったことや過去に向き合う必要に迫られて、「酒場」の店長がメインで謎解きをするミステリー仕立て。第6話だけは、今の「酒場」に至るお話が描かれていて、「とっても不幸な幸運」の缶は出てこないものの、別の缶でまとめるのが著者の巧いところ。
コミカルで、なんだかほっこりできるお話。こんな感じのお話はわたしけっこう好きで、楽しく読める作品だ。