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スティーヴィー・ワンダー「ある愛の伝説」(Stevie Wonder, Love's In Need Of Love Today)

2019-11-22 16:41:12 | 音楽批評


今回は、音楽記事です。

このカテゴリーでは、前回ベック、ボガート&アピスの記事を書きました。

そこでも書いたとおり、BB&AのSuperstitionはスティーヴィー・ワンダーのカバーです。そこで今回は、このソウルレジェンドについて書きましょう。

スティーヴィー・ワンダーは、いわずと知れた盲目の天才ソウルシンガーです。
わずか12歳でデビューし、“モータウンの奇跡”と呼ばれました。その歌唱力ばかりでなく、コンポーザーとしても卓越したセンスを持ち、勃興期にあったMOOGシンセサイザーを活用して多くのヒット曲を世に送り出してきました。
代表曲の一つであるSuperstition(迷信) は、『トーキング・ブック』というアルバムに収録されていますが、このアルバムにゲストミュージシャンとして参加していたのが、ジェフ・ベックーーというところで、BB&Aの記事とつながってきます。
そのSuperstition はもちろんのこと、ほかにもSir Duke, I Just Called to Say I Love You, Isn't She Lovely など、スティーヴィー・ワンダーの名曲は数知れず、たとえば Sir Duke なんかは、彼のことを知らなくとも誰しも一度は聞いたことがあるでしょう。もう、そういうレベルの存在になっているのです。
そして、「ある愛の伝説」もまた、それら名曲のなかの一つ。名盤として知られるアルバム Songs in the Key of Life に収録されています。

 

原題は、Love's in Need of Love Today
直訳すれば「愛はいま愛を必要としている」で、「ある愛の伝説」というのはなかなか大胆な意訳です。
YouTube公式チャンネルに動画(?)があったので、貼り付けておきましょう。

Love's In Need Of Love Today

  おはよう あるいは こんばんは
  皆さんおなじみのアナウンサーです

と、アナウンサーの呼びかけというかたちで歌は始まります。

  皆さんにお届けしなければならない深刻なニュースがあるのです
  私がいおうとしていることはひょっとすると大変な惨事で
  みなさんの喜びと笑顔を
  涙と苦しみに変えてしまうかもしれません


ものものしい前置きです。
そして語られるニュースというのが、「愛はいま愛を必要としている」なのです。

  愛はいま愛を必要としています
  急いで あなたの愛を届けてください
  憎しみは世界中を駆け巡り
  多くの心を傷つけています
  どうか止めてください 手遅れになる前に


どうでしょうか。
これはもう40年ぐらい前の歌なんですが、まるで現代に向けて歌っているように聞こえてこないでしょうか。
この歌に関しては、特に付け足すこともありません。
残りの部分の歌詞も紹介しておきましょう。

  邪悪な力があなたを支配しようとたくらんでいます
  放っておけば それはすべてを破壊してしまうでしょう

  私たちは予防策を講じなければなりません
  もし愛や平和が大事だというのなら
  どうか私の言葉を聴いてください

  愛はいま愛を必要としています
  急いで あなたの愛を届けてください
  憎しみは世界中を駆け巡り
  多くの心を傷つけています
  どうか止めてください 手遅れになる前に