ロック探偵のMY GENERATION

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並木路子「リンゴの唄」

2020-10-11 16:45:08 | 音楽批評


今日10月11日は、「リンゴの唄の日」だそうです。

1945年のこの日、映画『そよかぜ』が封切られました。

並木路子の歌う「リンゴの唄」は、戦後第一号となるこの映画の挿入歌。映画のヒットにともなって、「リンゴの唄」は戦後日本における有数のヒット曲となったのです。
以前
音楽カテゴリーで紹介した「東京ブギウギ」と同様、昭和歌謡に興味がなくとも、誰しも一度ぐらいは聞いたことがあるでしょう。
最近音楽カテゴリーでは昭和歌謡についての記事を書いているので、今回はこの「リンゴの唄」について書きたいと思います。



「リンゴの唄」はなぜヒットしたのか?

理由はいろいろあるんでしょうが……リンゴという果物を題材にしたことが、一つのポイントだったんではないかと思います。

ときにバケモノのようにヒットする曲の一つの特徴として、食べもののことを歌った歌というのがあって……たとえば「およげ!たいやきくん」や、「だんご3兄弟」、「おさかな天国」などがその例として挙げられますが、ひょっとすると「リンゴの唄」もその系譜かもしれません。

しかし、リンゴというものには、なにかそれ以上のものがあるようにも思えます。
生命力や創造力の象徴というか……ビートルズが自分たちの会社を作ろうとなったときにアップルにしたとか、ジェフ・ベックのアルバムジャケットにも使われたマグリットの絵とか(下の画像参照)

 

本邦のことを考えてみても、リンゴを題材にとりいれた歌はいくつもあるでしょう。歌のモチーフというばかりでなく、椎名林檎という名のアーティストがあり、彼女も東京事変で「林檎の唄」という歌を歌っています。
やはり、リンゴというものには、なにかそういうシンボリックなイメージがあるのでしょう。
そんな、「生命」や「創造力」という象徴性のために、リンゴは、戦争で焼け跡となった日本の国民にとって希望の象徴となった。それゆえに、「リンゴの唄」がヒットした――というのは、深読みのしすぎでしょうか。