今日10月21日は、かの江戸川乱歩の誕生日だということです。
不勉強のいたりで、今日ツイッターをみていてはじめてそのことを知りました。この日本文学史における正統派異端児の降誕祭を、ささやかながら私も祝したいと思います。
最近、以前紹介したアマゾンミュージックの朗読で乱歩作品をいくつか“聴いて”いるんですが……やはり、乱歩の魅力というのは、尽きることがありません。乱歩作品は結構読んでいるつもりではありますが、未読の作品は多くあり、そのなかから新たな作品に接するたびに常に新たなゾクゾクを与えてくれます。
最近“聴いた”作品の中では、『白髪鬼』がなかなかいかしていました。
明智小五郎が出てこない作品は乱歩の妄想がブーストしていく傾向にありますが、この作品はその最たるものでしょう。明智小五郎は、作品を“探偵小説”という枠の中にはめこむ働きがあるため、明智が出てくるとそこまでぶっ飛んだことにはなりませんが、探偵の不在は、その埒をはずしてしまいます。謎が提示され、それが解決されるという筋立てがなくなり、乱歩の妄想は果てしなく暴走していくのです。
恐怖と狂気の、めくるめく乱歩ワールド……
未読の作品が多数存在するということが、これほど喜ばしく思える作家もそういないでしょう。乱歩の魔術は、その死後半世紀を経ても、魔力を失うことはないのです。