今回は、音楽記事です。
前回の音楽記事では、デッド・ケネディーズが登場しました。
オーディオスレイヴのOriginal Fire のPVに出てきたアーティストということだったわけですが……同じく Original Fire のPVに登場したパンクバンドということで、今回取り上げるのはラモーンズです。
ラモーンズといえば……とにかくストレートなパンク、というイメージでしょう。
まさに、そのとおりです。
そして、そのストレートきわまりないパンクということが、パンクにとって不毛の地であるアメリカでパンクたりうるもう一つの道だった私には思われるのです。
ラモーンズがやったことは、19世紀以降の大衆文化による反逆である、と私は見ています。
それはすなわち、小難しいことをいう“芸術”に対する大衆文化の反逆です。
19世紀以降、“大衆”が歴史の主役となり、音楽、絵画といったあらゆるジャンルにそれが反映された――というのは、以前どこかで書いたと思います。
そこでは、「小難しいことをいわない」ということ自体が、小難しいことをいう権威への反逆となるのです。
「カウンターカルチャー」と呼ばれるものは一般的にそういう傾向を持っていて、20世紀の音楽においてその最前衛に立ったのがロックンロールだったというのも、どこかで書きました。
UKパンクでそういう方向性を持っていたのがダムドで、ゆえに、UKパンクでもっともラディカルだったのは実はダムドではないか、ということになるわけです。
そしてアメリカにおいては、その方向性こそが、パンクをパンクたらしめる一つの道でした。
デッド・ケネディーズとはまったく違った方向性において、ラモーンズはアメリカでパンクが生きる道を切り開いたといえるのです。
そんなわけで、ラモーンズというバンドは、アメリカにおけるパンクを代表する存在ともなりました。
そのことを示すかのような、ラモーンズへのトリビュートアルバムがあります。
参加しているのは、豪華なアーティストたちです。
KISS、メタリカ、レッチリ、プリテンダーズ、U2、マリリン・マンソン、パール・ジャムのエディ・ヴェダー、オフスプリング、グリーン・デイ……といった具合。そして、こんな大物たちが集まるかと思えば、トム・ウェイツというミュージシャンズ・ミュージシャン的な人もいます。愛されるラモーンズなのです。
ちなみに、ライナーノーツは作家のスティーヴン・キングが書いているという……こんなところからも、ラモーンズがいかにリスペクトされているかがわかるでしょう。
先ほどトム・ウェイツの名前が出てきましたが、ラモーンズがトム・ウェイツの曲をカバーしたものもあります。
I Don't Wanna Grow Up
その、本人バージョンの動画を載せておきましょう。
Tom Waits - "I Don't Wanna Grow Up"
そして、ラモーンズにはバンド名をタイトルにしたR.A.M.O.N.E.Sという曲がありますが、この曲はモーターヘッドのレミー・キルミスターが提供したもの。モーターヘッドまで出てきたら、もうおなかいっぱいです。
モーターヘッドがその曲をやっている動画が、こちら。
Motörhead - Ramones (Video)
最後に、ラモーンズ自身の曲を。
ラモーンズの代表曲はといったら、やはりこれになるでしょう。
Blitzkrieg Bopです。ライブバージョンで、かなりアップテンポになってますが……
Ramones - Blitzkrieg Bop (Official Music Video)