今回は、音楽記事です。
最近の流れを引き継いで、またパンク系で……
クラッシュの「白い暴動」という歌を紹介します。
クラッシュは、セックス・ピストルズと並ぶ伝説的なパンクバンドです。
はっきりいってピストルズには政治的な“反権力”というような意味でのメッセージ性はあまりないと思うんですが、クラッシュはそれがかなり前面に出ていますね。このブログでも、歌詞の一部を何度か引用してきました。
そんなクラッシュの初期の代表作が、“白い暴動”です。
原題は、White Riot。
クラッシュのデビューシングルでもあり、彼らのファーストアルバムに収録されています。
このアルバムは邦題では『白い暴動』となっています(原題は、バンド名をそのままアルバムタイトルにしています)が、それぐらいこの曲がインパクトがあったということなんでしょう。
今回は、彼らのYouTube公式チャンネルから、動画を貼り付けておきましょう。
「白い暴動」という邦題は完全なる直訳ですが、もう少し意訳すると、「白人の暴動」ということですね。
黒人たちは、暴動をいとわない。それに対して、白人たちは学校でものいわぬうすっぺらな人間になることを教えこまれる。お前らだって搾取される側なんだから暴動の一つも起こせよ……ということで、白い暴動なわけです。クラッシュのボーカルであるジョー・ストラマーとベースのポール・シムノンが、ノッティング・ヒルでの暴動に参加し、その経験に触発された作った歌といわれています。
暴動とは穏やかではありませんが……まあ、それぐらい怒りを示せということでしょう。
問題の暴動は1976年に起きたもので、そのきっかけになったのは、警察の、黒人による人種差別的な扱い。それに対して、激しい抗議が起こっていました。
クラッシュのメンバーは黒人ではありません。
しかし、たとえ当事者でなくとも官憲による不正義には声をあげるべきで、自分にむけられたものでないからといって傍観者でいちゃいけない……そんなメッセージも、「白い暴動」というタイトルには込められているんじゃないかと思います。
いま日本では、官邸前などでデモが行われています。
文書改ざん「民主主義の土台崩れる」 官邸前で抗議デモ(朝日新聞デジタル)
世間の反応を見ていると、どうやら日本では、デモなどの行動に反感を持つ人も少なくないようです。
それは、自己主張がはしたないこととされがちなお国柄のゆえなんでしょう。あるいは、そんなことしたって何にもならないというある種の諦念のようなものなのかもしれません。
しかし……ときには、怒りを示すことも必要だと思うんです。
ものいわぬうすっぺらな人間でいたら、いつまでも搾取され続けるだけですからね。
クラッシュは、こう歌っています。
権力はすべて金持ちの手の中
臆病で 挑むことさえできずに俺たちが通りを歩いてるあいだに
それを買う金を持ってる奴だけが権力を握る
この歌詞を読んで、遠い異国の話と思えるでしょうか。
なにもアジるわけではありませんが……以前も書いたとおり、怒るべき時には怒っておかないと、際限ない隷従を強いられることになります。
デモぐらいはふつうにやって、参加しないまでも共感を示せる世の中にならないと、いよいよこの国は本当におかしくなっていくばかりだな、と思う今日このごろです。