今日6月9日は、ロックの日。
ということで、毎年恒例のロック動画祭りをやっていきたいと思います。
最近はプログレ系の話をしているので、今回のテーマはプログレ。
意外なメンツの組み合わせや、意外なカバーも登場します。
一発目はこれ。
キング・クリムゾンの記事で貼ろうと思って忘れていた、デヴィッド・ボウイのカバーHeroes です。
今年になってこのブログではこの歌を複数の違うバージョンで紹介してきましたが、キング・クリムゾンもやってました。
Heroes (King Crimson London 3rd July 2000)
このときは、エイドリアン・ブリューがギターボーカル。お得意の効果音風ギターを随所にはさんできます。
後方でクールにギターを弾いているのはロバート・フリップ。この姿からは、夫婦漫才など想像もできません。
Genesis の記事で紹介した「眩惑のブロードウェイ」。
ジェネシス脱退後、ピーター・ガブリエルがソロでやっている動画がありました。
ここではなんと、トニー・レヴィンがベースを弾いています。
Peter Gabriel - The Lamb Lies Down On Broadway (Rockpalast TV 1978)
ピンクフロイド「戦争の犬たち」……なんですが、ほぼイントロ部分のみの動画。
よくわからないんですが、ライブでスクリーンに上映した動画ということなんでしょうか。
Pink Floyd - Dogs Of War (Concert Screen Film 1987)
この曲は、ロジャー・ウォーターズが脱退し、ギルモア中心の体制になって最初のアルバム『鬱』に収録されています。
ボブ・ディランの「戦争の親玉」のように、戦争の背後で金を儲ける者たちを告発する歌。やはり、ロジャー・ウォーターズだったらこんなふうにはならないだろうと思います。
実際、ウクライナ戦争においては、ギルモアがいちはやくウクライナへの連帯を表明してロシアを非難したのに対し、ロジャー・ウォーターズは逆にロシアを擁護しているという……プログレ気質も、変な方向にこじらせるとよくないという話です。
キング・クリムゾン一家ジョン・ウェットンとビル・ブルフォードを中心に結成されたUK。
プログレを発展継承しようという意図が感じられるグループです。そういう意味では、UKという大上段に構えたバンド名も、その気負いを表しているのかもしれません。
ブルフォード在籍時の貴重な映像が、たまたま今日公開されていました。(ひょっとすると期間限定かもしれませんが)
U.K. - In The Dead Of Night (Official Video)
鳴り物入りで登場し、実際に活躍もしたバンドでしょう。
しかし、同じくクリムゾン一家のイアン・マクドナルドやイエス一家のリック・ウェイクマンといった大物の参加を画策したものの実現せず、ブルフォードもファーストアルバムのみで脱退……と、意気込みが空回りしてしまった観は否めません。
似たようなプログレ系スーパーバンドとして、エイジアがあります。
キング・クリムゾン、イエス、ELPのメンバーが結集したこのバンドは、商業的にも大成功しました。
代表曲 Heat of the Moment 、東京公演の動画です。
Asia - Heat Of The Moment (Live In Tokyo)
音楽的には、プログレからだいぶ離れた印象もあります。
それゆえの商業的成功ということもいえるんじゃないでしょうか。まあ、そもそもプログレなんぞというのは、知る人ぞ知る、辺境的音楽というのが本来あるべき姿なのかもしれません。
東京公演といえば……
先日プログレギタリスト列伝でも紹介したスティーヴ・ハケットの東京公演。
そこでは、ボブ・ディランの「見張り塔からずっと」なんかもやってました。
All Along the Watchtower (New Studio Track)
ギタリスト列伝でも紹介したとおり、ジョン・ウェットンとイアン・マクドナルドというクリムゾン一家の大物が参加しています。
さらに、大物たちの共演を続けましょう。
単体のバンドではありませんが、プログレ系の大物を集めたProg Collective という プロジェクトがあります。
その第四弾となる最新アルバムから一曲。
サイモン&ガーファンクルのカバー「サウンド・オブ・サイレンス」です。
現在イエスでボーカルをつとめているジョン・デイヴィソンと、現イエスのベース、ビリー・シャーウッドが参加しています。
Sounds of Silence
このプロジェクト、参加メンバーや取り上げている曲は、さすがにプログレといえないだろうというものも多く含まれています。この曲もその一つでしょう。まあ、かつてのイエスでもサイモン&ガーファンクルの「アメリカ」をカバーしたりはしてましたが……
プログレの大物の共演ということでいえば、大昔にも例があります。
キング・クリムゾンがイエスのジョン・アンダーソンをゲストボーカルに迎えた「リザード」です。
King Crimson - Lizard (Prince Rupert Awakes / Bolero / The Battle Of Glass Tears / Big Top)
賛否の別れる作品ですが、私はこういう感じは好きですね。
後のレディオヘッドなんかにもかなり影響を与えているんじゃないでしょうか。
ここから、直近の記事で名前が出てきたリック・ウェイクマンにフォーカスしていきます。
リック・ウェイクマンは、デヴィッド・ボウイの「スペース・オディティ」をカバーしています。
ソロでもやってますが、ギターボーカルを迎えた動画がありました。
Chris Hadfield & Rick Wakeman Space Oddity
この動画でギターを弾きながら歌っているクリス・ハドフィールドという人は、宇宙飛行士だそうです。
カナダ人初の宇宙飛行士で、国際宇宙ステーション(ISS)の船長をつとめ、ISSでこの歌を歌って中継するなんてことをしていたんだとか。
上の動画は、Starmus というフェスティバルのものです。
科学をもっと身近に感じてもらおう、というようなイベントで、その一環として大物ミュージシャンを呼んできてライブということをよくやっており、リック・ウェイクマンはここで常連になっているようです。
プログレという音楽は、そういうSF的なところとも親和性が高いのでしょう。
そのStarmus のチャンネルに、ブライアン・メイをゲストとして迎えた動画がありました。
QUEENをプログレとはいわないでしょうが、ブライアン・メイは天文学の博士号も持つという人なので、このイベントにぴったりの人材といえます。
Rick Wakeman & The English Rock Ensemble - Live at Starmus, special guest Brian May (Full Concert)
2時間以上のステージですが、ハイライトは最後の3曲でしょう。
クイーンの「39」から、ウェイクマンのソロ曲、そして最後は、イエスの Starship Trooper でしめくくります。
ついでなので、Starmus からもう一曲。ちょっとプログレというところからははずれますが……
車いすの天才科学者スティーヴン・ホーキンスが死去した際、追悼ということで、Who Wants to Live Forever をやっていました。
Who wants to Live Forever - A tribute to Stephen Hawking, Starmus V Concert in Switzerland
リック・ウェイクマンは、ここでも鍵盤を弾いています。クイーンでブライアン・メイが作った曲なので当然ブライアンもいるわけですが、なぜかここではギターを弾かず歌のみの参加。その代わりといってはなんですが、スティーヴ・ヴァイがギターを弾いています。なかなかレアで豪華な組み合わせではないでしょうか。
最後に、RUSH。
SFとか宇宙の神秘といった方向性の曲として、Cygnus X-1というのがあります。
Rush - Cygnus X-1 (Live In London, 1980 / Audio)
Cygnus X-1とは、はくちょう座Xー1という天体のこと。
ずいぶん前から、ここにブラックホールがあるのではないかといわれてきました。その有無をめぐって、スティーヴン・ホーキング博士が科学者仲間と賭けをしたという有名な逸話があります。
科学とロックは実は似ている、というのが私の持論です。
当初は権威の側からばかげていると批判されたものが、やがて世界を変える……科学の世界では、そういうことがよく起こります。ブラックホールもその一つでしょう。もっと古い典型例が地動説であり、ビートルズの Fool on the Hill はそういう歌だということも以前書きました。プログレという音楽は、ロックの中のそういう要素を強調しているところもあるんじゃないでしょうか。辺境から未来を先取りするイントロン……やはり、ロックンロールにはそういう役割を担ってほしいのです。
そうそう、私はUK大好きで、プログレに足を突っ込んだきっかけが元バンドメンバーが教えてくれたUKとRUSHです。とは言え初期のよりは3人体制のUKが好きですが。ライブインジャパンのCDは何回聴いたことか。
エイジアも来日公演は全部行きましたねー。ジョンの声は大好きだしカールの早くなったり遅くなったりするドラムも好き(笑)。
ロンサールがvoの最新エイジアも活動休止状態ですが、カールが叩けるうちにまた来日してほしいなと思います。
リックの裸の王様そっくりのマント姿もまた見たいです。
UKやラッシュから入ったということであれば、ドリームシアターやエイジアといった方向にいくのは納得です。
リック・ウェイクマンのあれは裸の王様なんですかね……(笑)まあ、どこに出て行くにもあの格好というのは、やはりこだわりがあってのことなんでしょう。この人は案外いろいろやってるみたいなので、そのうち何かでひょっこり来日することもあるかもしれないですね。
あと、こんなところで何ですが、ちょっと前に拙ブログで書いたモトリー・クルーとデフ・レパードの来日公演、詳細が発表されています。
すでにご存知かもしれませんが、11月の3日、4日、Kアリーナ横浜で行なわれるそうです。チケットの一般発売は7月29日からとのことです。