今回は、ゲーム記事です。
このカテゴリーでは、以前ファイナル・ファンタジー・タクティクスのことを書きました。
せっかくなので、ファイナルファンタジーのナンバリングシリーズ作品のことについても書きたいと思います。
特に傑作という作品について書こうと思うんですが……しかし、これがじつに悩ましい。
ファイナルファンタジーシリーズの中でどれが最高傑作かというのは難しいですね。RPGファンにそれを尋ねたら、大変な議論が勃発してしまうことでしょう。
私は、ストーリーでいえば4、キャラクターでいえば6が最高だと思ってます。
しかし、ファイナルファンタジーはあくまでもゲームです。
ゲーム性という点で最高なのはという話になると……
私は、8を推します。
8?
あの8なのか?
という声が聞こえてくるようです。
それ、本気でいっているのか、と……
しかし、本気なのです。
8は、FFシリーズの中でももっとも評価が割れる作品ではないでしょうか。
あれはクソゲーだという人も、世の中にはいっぱいいるものと思われます。しかし、それはかなりの程度、誤解に基づいているのではないか。
以前ネット上で見かけたあるゲーム評では、8は名作になり損ねた作品だというようなことをいっていました。
私もその見方に同意します。
あまりに斬新すぎて、名作という評価を得られなかった作品……そんなFF8のために、その革新性についてちょっと書いてみようと思いました。
8の斬新さは、たとえば、お金の話です。
ふつうのRPGでは、モンスターを倒すことによってお金が手に入りますが、8では、モンスターを倒してもお金は手に入りません。お金は、給料制になっているのです。
このゲームの主人公たちは、SEEDと呼ばれる傭兵部隊のようなものに所属していて、一定時間ごとに給料が支払われる仕組みになっています。しかも、SEEDとしての等級があり、ゲーム中の行動によって給料の額が上がったり下がったりします。常に査定されながら働いているのです。
もう一つ新しいのは、装備という概念がないことですね。
キャラクターは、武器を常に装備していて、その武器を改造して強化していくという形になっています。
このシステムは、非常に困ります。武器以外の装備がなく、当然「リボン」なんかもないわけです。ステータス異常にどう対処するのかが悩ましくなってきます。8擁護派の私としても、ここはちょっとよろしくないなと思う部分です。まあ、ステータス異常は、やりようによってどうとでもなるんですが……
そして、魔法。
このゲームでは、「ドロー」というシステムが導入されています。
魔法は、魔法屋で買ったり、MPを消費して使うのではなく、モンスターなどから「ドロー」して手に入れます。ここもまた、新しい。そしてこのシステムが、後述するジャンクションにも大きく関わってきます。
そして、このゲームで何より斬新なのは、レベルの概念ですね。
こっちのレベルが上がると、敵キャラのレベルも上がる仕組みになっています。これは、以前紹介したFFTのシステムを導入したものかとも思われます。
こっちが強くなると、むこうも強くなる……だったらそもそもレベルという概念がいらないんじゃないか、とも思えます。まあ一応、一部のボスキャラにはレベルの上限が設定されていて、レベルを上げることでボス戦に勝てるようになるというところはあるわけなんですが……
しかし、それではダメなんです。
このゲームは、レベルを上げることを重視していたのでは楽しめません。むしろレベルなんて上がらないほうがいいんです。
それはどういうことか。
ここでようやく、FF8のキモである“ジャンクション”システムの話になります。
FF8は、ともかくもジャンクションありきのゲームです。
ジャンクションにはじまりジャンクションに終わるといっても過言ではない。ゲーム性に関わるほぼすべての要素が、ジャンクションに集約されるのです。
ジャンクションは、GFからはじまります。
GFとは、ガーディアン・フォースの略。
つまりは、召喚獣のことです。
このGFを、キャラクターにジャンクションします。すると、キャラクターの能力に魔法をジャンクションすることができるようになるのです。
……とまあ、こういわれても、何をいっているのかよくわからないと思います。
そこなんですね。
このジャンクションというのが、概念としてまずわかりにくい。
要は7でいうマテリアみたいなものですが、まあ、わかりにくい。
マテリアであれば、武器の穴が開いているところにマテリアをはめ込むんだろいうというのが視覚的にイメージできますが、ジャンクションというのは具体的にどういうことなのかがイメージしづらい。結果として、ジャンクションシステム自体も理解しにくい。ゲームのキモとなる部分が非常に理解しづらい……このことが、8というゲームの悪評に大きく寄与しているのは間違いないでしょう。
具体的にいうと、GFをジャンクションすることによって、キャラクターはそのGFを戦闘中に召喚することができるようになります。そのあたりは、ほかのFFに登場する召喚獣と一緒です。
「能力に魔法をジャンクションする」というのは、たとえば「攻撃力」に「ファイア」という魔法をジャンクションすると、攻撃力がちょっと上がる……というようなことです。わかりにくいんですが、そうとしかいいようがないです。
どの魔法をジャンクションするかによって、能力値には大幅な変化が出ます。この仕組みをきっちり把握しないと、FF8はゲームバランスが滅茶苦茶なクソゲーという認識になってしまうでしょう。
そして、ジャンクションは能力値を変えるだけではありません。
それよにって、ステータス異常を引き起こす攻撃ができたり、逆に敵の攻撃によるステータス異常を防いだりすることもできます。
そしてさらに、ジャンクションは戦闘中に使うアビリティもあります。たとえば「かいふく」というアビリティを使うと、自キャラの体力を回復させることができ、「ちりょう」を使うとステータス異常を治すことができます。
このように書いてくると、FF8はジャンクションがすべてだという意味がわかると思います。
ジャンクションは、装備であり、ジョブであり、アビリティでもあるのです。
そして、FFTがそうであったように、ジャンクションの組み合わせはもう無数にあります。自分だけのキャラをカスタマイズするという楽しみがあるのです。
ここを楽しめるかどうかが、FF8を評価するかどうかの分かれ目でしょう。
無数の組み合わせを前にして途方に暮れるか、いろいろ試してみて楽しめるか、というところですね。
ジャンクションの組み合わせが無数にあって、どこからどう始めたらいいのかわからない……という人には、自動でジャンクションしてくれるシステムもあります。
しかし、これはこのゲームにおける大きな落とし穴です。
うかつに防御中心のジャンクションを選んでしまうと、通常攻撃がもうゴミのようなダメージしか与えられなくなります。そうなると、戦闘はひたすらGF頼みになり、召喚アニメーションを延々と眺めながら、なんだこのおかしなゲームはと思うことになるでしょう。そして、そんなふうにやっていると、ラストダンジョン一歩手前でもうにっちもさっちもいかなくなってしまう可能性が高いです。
ほかならぬ私自身がそうでした。
このゲームは、GFをひたすら召喚していれば、たいていの敵には勝てます。ところが、それでゲームを進めていくと、ラスダン手前で出てくるボスとの戦いに勝てなくなります。しかも、そのダンジョンというのが、ボスを倒さなければ退却もできない仕様になっていて、いわゆる“詰み”の状態になってしまいました。
しかしそこで、私はジャンクションを本格的に見直してみました。
せめてもの優しさなのか、このダンジョンは、キャラクターを強化するジャンクションを内部で整えられるようにできています。それによって私は、このゲームの本当の楽しみ方を理解できたのです。
さて、ここまでFF8の本当の楽しみ方について書いてきましたが……
アンチ8派は、まだ納得しないでしょう。
ジャンクションの仕組みも、ドローの仕組みもちゃんとわかってる。それでも8はクソゲーなんだというでしょう。
しかし、まだこれだけではないのです。ジャンクションやドローのことがわかっただけでは、まだFF8を真に理解したとはいえません。このゲームには、もう一つ重要な要素があるのです。
その点について……また、回をあらためて書きたいと思います。
今回は、長くなったのでこのへんで。
このカテゴリーでは、以前ファイナル・ファンタジー・タクティクスのことを書きました。
せっかくなので、ファイナルファンタジーのナンバリングシリーズ作品のことについても書きたいと思います。
特に傑作という作品について書こうと思うんですが……しかし、これがじつに悩ましい。
ファイナルファンタジーシリーズの中でどれが最高傑作かというのは難しいですね。RPGファンにそれを尋ねたら、大変な議論が勃発してしまうことでしょう。
私は、ストーリーでいえば4、キャラクターでいえば6が最高だと思ってます。
しかし、ファイナルファンタジーはあくまでもゲームです。
ゲーム性という点で最高なのはという話になると……
私は、8を推します。
8?
あの8なのか?
という声が聞こえてくるようです。
それ、本気でいっているのか、と……
しかし、本気なのです。
8は、FFシリーズの中でももっとも評価が割れる作品ではないでしょうか。
あれはクソゲーだという人も、世の中にはいっぱいいるものと思われます。しかし、それはかなりの程度、誤解に基づいているのではないか。
以前ネット上で見かけたあるゲーム評では、8は名作になり損ねた作品だというようなことをいっていました。
私もその見方に同意します。
あまりに斬新すぎて、名作という評価を得られなかった作品……そんなFF8のために、その革新性についてちょっと書いてみようと思いました。
8の斬新さは、たとえば、お金の話です。
ふつうのRPGでは、モンスターを倒すことによってお金が手に入りますが、8では、モンスターを倒してもお金は手に入りません。お金は、給料制になっているのです。
このゲームの主人公たちは、SEEDと呼ばれる傭兵部隊のようなものに所属していて、一定時間ごとに給料が支払われる仕組みになっています。しかも、SEEDとしての等級があり、ゲーム中の行動によって給料の額が上がったり下がったりします。常に査定されながら働いているのです。
もう一つ新しいのは、装備という概念がないことですね。
キャラクターは、武器を常に装備していて、その武器を改造して強化していくという形になっています。
このシステムは、非常に困ります。武器以外の装備がなく、当然「リボン」なんかもないわけです。ステータス異常にどう対処するのかが悩ましくなってきます。8擁護派の私としても、ここはちょっとよろしくないなと思う部分です。まあ、ステータス異常は、やりようによってどうとでもなるんですが……
そして、魔法。
このゲームでは、「ドロー」というシステムが導入されています。
魔法は、魔法屋で買ったり、MPを消費して使うのではなく、モンスターなどから「ドロー」して手に入れます。ここもまた、新しい。そしてこのシステムが、後述するジャンクションにも大きく関わってきます。
そして、このゲームで何より斬新なのは、レベルの概念ですね。
こっちのレベルが上がると、敵キャラのレベルも上がる仕組みになっています。これは、以前紹介したFFTのシステムを導入したものかとも思われます。
こっちが強くなると、むこうも強くなる……だったらそもそもレベルという概念がいらないんじゃないか、とも思えます。まあ一応、一部のボスキャラにはレベルの上限が設定されていて、レベルを上げることでボス戦に勝てるようになるというところはあるわけなんですが……
しかし、それではダメなんです。
このゲームは、レベルを上げることを重視していたのでは楽しめません。むしろレベルなんて上がらないほうがいいんです。
それはどういうことか。
ここでようやく、FF8のキモである“ジャンクション”システムの話になります。
FF8は、ともかくもジャンクションありきのゲームです。
ジャンクションにはじまりジャンクションに終わるといっても過言ではない。ゲーム性に関わるほぼすべての要素が、ジャンクションに集約されるのです。
ジャンクションは、GFからはじまります。
GFとは、ガーディアン・フォースの略。
つまりは、召喚獣のことです。
このGFを、キャラクターにジャンクションします。すると、キャラクターの能力に魔法をジャンクションすることができるようになるのです。
……とまあ、こういわれても、何をいっているのかよくわからないと思います。
そこなんですね。
このジャンクションというのが、概念としてまずわかりにくい。
要は7でいうマテリアみたいなものですが、まあ、わかりにくい。
マテリアであれば、武器の穴が開いているところにマテリアをはめ込むんだろいうというのが視覚的にイメージできますが、ジャンクションというのは具体的にどういうことなのかがイメージしづらい。結果として、ジャンクションシステム自体も理解しにくい。ゲームのキモとなる部分が非常に理解しづらい……このことが、8というゲームの悪評に大きく寄与しているのは間違いないでしょう。
具体的にいうと、GFをジャンクションすることによって、キャラクターはそのGFを戦闘中に召喚することができるようになります。そのあたりは、ほかのFFに登場する召喚獣と一緒です。
「能力に魔法をジャンクションする」というのは、たとえば「攻撃力」に「ファイア」という魔法をジャンクションすると、攻撃力がちょっと上がる……というようなことです。わかりにくいんですが、そうとしかいいようがないです。
どの魔法をジャンクションするかによって、能力値には大幅な変化が出ます。この仕組みをきっちり把握しないと、FF8はゲームバランスが滅茶苦茶なクソゲーという認識になってしまうでしょう。
そして、ジャンクションは能力値を変えるだけではありません。
それよにって、ステータス異常を引き起こす攻撃ができたり、逆に敵の攻撃によるステータス異常を防いだりすることもできます。
そしてさらに、ジャンクションは戦闘中に使うアビリティもあります。たとえば「かいふく」というアビリティを使うと、自キャラの体力を回復させることができ、「ちりょう」を使うとステータス異常を治すことができます。
このように書いてくると、FF8はジャンクションがすべてだという意味がわかると思います。
ジャンクションは、装備であり、ジョブであり、アビリティでもあるのです。
そして、FFTがそうであったように、ジャンクションの組み合わせはもう無数にあります。自分だけのキャラをカスタマイズするという楽しみがあるのです。
ここを楽しめるかどうかが、FF8を評価するかどうかの分かれ目でしょう。
無数の組み合わせを前にして途方に暮れるか、いろいろ試してみて楽しめるか、というところですね。
ジャンクションの組み合わせが無数にあって、どこからどう始めたらいいのかわからない……という人には、自動でジャンクションしてくれるシステムもあります。
しかし、これはこのゲームにおける大きな落とし穴です。
うかつに防御中心のジャンクションを選んでしまうと、通常攻撃がもうゴミのようなダメージしか与えられなくなります。そうなると、戦闘はひたすらGF頼みになり、召喚アニメーションを延々と眺めながら、なんだこのおかしなゲームはと思うことになるでしょう。そして、そんなふうにやっていると、ラストダンジョン一歩手前でもうにっちもさっちもいかなくなってしまう可能性が高いです。
ほかならぬ私自身がそうでした。
このゲームは、GFをひたすら召喚していれば、たいていの敵には勝てます。ところが、それでゲームを進めていくと、ラスダン手前で出てくるボスとの戦いに勝てなくなります。しかも、そのダンジョンというのが、ボスを倒さなければ退却もできない仕様になっていて、いわゆる“詰み”の状態になってしまいました。
しかしそこで、私はジャンクションを本格的に見直してみました。
せめてもの優しさなのか、このダンジョンは、キャラクターを強化するジャンクションを内部で整えられるようにできています。それによって私は、このゲームの本当の楽しみ方を理解できたのです。
さて、ここまでFF8の本当の楽しみ方について書いてきましたが……
アンチ8派は、まだ納得しないでしょう。
ジャンクションの仕組みも、ドローの仕組みもちゃんとわかってる。それでも8はクソゲーなんだというでしょう。
しかし、まだこれだけではないのです。ジャンクションやドローのことがわかっただけでは、まだFF8を真に理解したとはいえません。このゲームには、もう一つ重要な要素があるのです。
その点について……また、回をあらためて書きたいと思います。
今回は、長くなったのでこのへんで。
まあ、とてつもなく大きな真実というほどのことでもありませんが。
「もう一つの要素」については、もう少し時間をかけて書こうと思います。
このゲームをやったことがない者として、多分多くの人が感じる通り、「ちょっと何言ってるんだかわからない」状態なのだけど。
同時に、何かとてつもなく大きな真実が暴かれているような気がしましたよ。
文章の上手い村上氏が、敢えて難解になることを可として、ここまで書くのだから、多分「真実」なんでしょう。証拠に思わず一字一句読み込んでしまいました。
「もう一つの要素」についても、後日記されることを期待しています。