今回は、音楽記事です。
以前、スティーヴィー・ワンダーについて書きました。
そこからのつながりで、今回は
Ebony and Ivory という曲について書きましょう。
スティーヴィー・ワンダーとポール・マッカートニーのデュエットによる名曲です。
野暮を承知で一応解説を加えておくと、Ebony、Ivory
というのは、それぞれ黒檀と象牙のことで、そこから転じてピアノの黒鍵と白鍵を表します。
ピアノの黒鍵と白鍵は、隣り合って、調和を生み出している。
それと同じように、黒人と白人も共存できるはずだ――そういうメッセージを込めた歌です。そしてそれを、黒人であるスティーヴィー・ワンダーと白人であるポール・マッカートニーが歌う……という趣向です。
スティーヴィー・ワンダーは、前回の「ある愛の伝説」でもわかるように、社会的なメッセージを込めた歌も歌っています。有名な
Happy Birthday
という歌がありますが、あれも、キング牧師のことを歌った歌なのです。
一方のポール・マッカートニーもまた、そういう傾向はあります。ビートルズ時代には、プロデューサーのジョージ・マーティンにあまりそういう歌を作るなといわれてたそうで抑制されてるんですが……全キャリアを通じてみれば、メッセージソング的な歌も歌っています。そんな二人だからこその一曲でしょう。
僕たちはみんな知っている
どこへ行こうが 人は同じだと
すべての人に 善と悪がある
与えあうことを学ぶとき
ともに生きていける
黒鍵と白鍵は
僕のピアノの鍵盤で
隣り合って調和している
どうして僕らはそうしないんだ?
そのメッセージは、黒人と白人というところを超えて、あらゆる人種問題に敷衍できるでしょう。
日本でいえば、悪化している日韓関係についても。
そもそも、「日本人が」とか「韓国人が」とかいうこと自体が馬鹿げてるわけです。
俗にいう、主語が大きすぎるというやつです。
ところが、いまヘイト本が売られ、ヘイトスピーチが行われているという現実があります。
恥ずべきことです。
いま一度、スティーヴィー・ワンダーが「ある愛の伝説」のなかで歌っていたフレーズを思い起こしましょう。
憎しみ(hate)は世界中を駆け巡り
多くの心を傷つけています
どうか止めてください 手遅れになる前に――
韓国を批判することで人気取り、という風潮はたしかにありますよね……あまつさえ、韓国の側が一定の譲歩をみせたら、それを馬鹿にするようなことをいう。これでは、関係改善は望めないでしょう。まあ、どっちもどっちというところは否めないと思うんですが……
韓国の文政権は激しい批判を受けているといいますが、どちらかといえば、むしろ政権への批判が起きている韓国の方が健全なんじゃないかと思えます。
と言いますか、この2人に関してはこれ以外の曲をあまり知らないのですが(笑)
今の日韓関係は、お互いの首脳どうしが、「相手に問題がある」という主張を繰り返すに終始しており、
国益にかなう建設的な議論が行われていないということ、
また、とりあえず韓国が嫌いだと言っておけばアイデンティティーが保たれる、といったような、
安っぽい救国論めいたものが広がっていることなどが挙げられると思います。
村上さんの指摘のとおり、これは恥ずべきことであり、
非常に次元の低い「関係悪化」ではないでしょうか。
無理に調和しろとは言いませんが、メンツばかりにこだわっていたのでは、
日韓の間にある問題や、拉致問題の解決など望むべくもない、と思います。
このような記事を書いてくださったことに感謝いたします。
またお邪魔いたしますので、よろしくお願いいたします。