原寮さんの『私が殺した少女』という作品を読みました。
厳密にいうと、アマゾン・オーディブルで聴いたんですが……
しばらく言及してきませんでしたが、ミステリーの古典を読もうキャンペーンは、私のなかで継続中であり、その一環。「古典」といえるかどうかは微妙かもしれませんが、直木賞受賞作でもあるこの作品を、今回は読んでみました。
原寮さんといえば、ハードボイルドの作家として有名な方ですね。(名前の漢字表記が厳密には違いますが、この漢字は出せないようなので……)
今回初めて、この方が鳥栖市の出身だということを知りました。
鳥栖市は、私が住む小郡市の隣に位置する市。県は違いますが、隣町です。そしてその鳥栖市が、園田英樹さんの出身地であるということは、以前も書きました。鳥栖というのも、なかなかあなどれないところだな……と思った次第です。
内容は、誘拐殺人事件を扱ったこてこてのハードボイルド。
以前、恩田陸さんが小説に書いてましたが、ハードボイルドというのはテンプレががっちり固まっているジャンルです。
近年の「ラノベといえば異世界転生」というぐらいのレベルにテンプレがあって、多少のバリエーションがあっても、そう大きくそこからはずれることはないようです。
この作品の場合も、基本的にはその型にのっとっているといえるでしょう。
社会の裏側を生きる一匹狼的な主人公。一人称の語り。「~た」の文末で畳みかける文章。繰り出されるワイズクラック……これをうまくきめるのは相当に難しいことですが、さすがにうまくきまっています。
もちろん、ミステリーとしての仕掛けも一級品。
ネタバレになるので詳細は書きませんが、最後にあっと驚く真相が用意されています。
あともう一つ、プロフィールで驚かされたのは、原さんが、ジャズピアニストでもあるというところです。かなり本格的な活動をされているということで、作品にもそういうフレーバーが濃厚ににじみ出ているように思えます。やはり、ジャズという音楽はハードボイルドと親和性があるあんでしょうか。
そういっていただけると、うれしい限りです。全体の比率からすると、あまり読書記事は多くありませんが……h_tutuiyaさんのブログにも、折にふれてお邪魔させていただきたいと思います。