音楽記事です。
前回は、川本真琴さんについて書きました。今回は、そこからのつながりで岡村靖幸さんについて書こうと思います。
どういうつながりかというと……川本真琴さんは、岡村靖幸さんのプロデュースでデビューしているのです。
その当時のJ-POP界隈では「〇〇プロデュース」みたいなのが流行っていて、そこに乗っかろうとした部分もちょっとあるのかもしれません。川本さんのデビューシングル『愛の才能』は、岡村靖幸さんの作曲によるものでした。
その頃聴いていたラジオのパーソナリティが、歌詞も「岡村さんが書いたような歌詞」といっていましたが……たしかにそんな感じはします。
自分の体感した世界をあふれる饒舌のままに活写する言葉の氾濫、ぶっ飛んでいながらリアルで深い歌詞……
川本真琴さんは天才だと私は認識していますが、岡村靖幸という人もまた、天才肌のアーティスト。
天才は天才を知るというところでしょうか、同じ波長がたしかに感じられるのです。
アーティストのつながりということでいうと、岡村さんは、あの尾崎豊とも親交があり、一緒にステージに立ったこともあるそうです。
尾崎豊の波長ということで考えると、“少年の心”みたいなものが見えてきます。
無垢な少年の心が汚い大人の世界に遭遇し、そこに染まり切らずに軋轢を起こしているような……そんな感覚です。
それが、“あの頃の気持ちをなくさずにいよう”といった感じのモチーフとして、ときおり顔をのぞかせます。そのあたりに、私も共鳴するんです。
たとえば、最近の作である「少年サタデー」。
朝のにおいで思い出す子供の頃のすべて
夕べに見た友達は何かを我慢してたね
昔、自転車でトライ&エラーしたように
力いっぱいに漕ぎ出そう
言わば少年さ 今も少年さ Yeah
いつもほのかに燃えてる 心が弾ける
スピンするモーターさ
ゆれて放熱したい 自分を応援したい
Yeah
君が子供の頃から見つめる神様
念じたい 信じたい
尾崎豊の方向に話がいくと、ドラッグの匂いなんかも漂ってきますが、そういったこともつながってくるかもしれません。
周知のとおり、岡村靖幸さんも、過去に幾度か薬物で裁判沙汰になっています。
現実世界との軋轢から、逃避というかたちでドラッグに手を出してしまうということなんでしょうか……
しかし岡村さんは、それでもそのたびごとに復帰し、いまでもアーティストとして活躍。というのは、それだけ愛されている存在ということでしょう。
尾崎豊は若くして世を去りましたが、岡村さんはまだまだ現役。
これからも、少年のイノセンスを抱きつつ、アーティストとしてさらなる境地に達してほしいところです。