イランとアメリカの間で緊張が高まっています。
にらみ合いのような状態は去年からありましたが……
大統領選をひかえ、トランプ大統領が冒険外交としての戦争というカードに手を出してしまう可能性は、現時点でかなり高くなっているといえるでしょう。共和党の先輩であるブッシュJrが散々批判されながらも再選されたのは、戦時中という状況だったからといわれます。何が何でも再選を目指すトランプ大統領が、その再現を狙うのは、ありそうなことです。
そして、その戦争は、世界に深刻な影響をもたらすおそれがあります。
米軍がいくら強いといっても、イラクやアフガニスタンといった軍事的弱小国でも敵を抑え込めていないのが実情です。まして、イラク、アフガンに比べれば強大なイランと戦えば、深い泥沼が待っているでしょう。それを考えたらイランとの戦争などできない道理ですが、自分の再選のためならそれをやってしまいそうなのが、トランプという人の恐ろしいところです。
そんな状況で、今回は、硬派系音楽記事としてジョン・フォガティの
Fortunate Son を紹介します。
もともとは、ジョンが在籍していたCCRの曲ですが、ソロでもよく歌ってるようです。
John Fogerty - Fortunate Son (Live)
内容は、直球ストレートの反戦歌。
映画『ダイ・ハード』のたしか4で、マクレーンがこの歌を聴いてるシーンがありました。
そのとりあわせにはちょっと違和感もありますが……これだけハードにロックして反戦を歌ってくれるというのも、なかなかのものです。
旗を振るために生まれてくる奴らもいる
ああ、あの赤と白と青のやつさ
Hail to the Chief をバンドが歌い始めれば
連中はお前に大砲の照準をあわせるのさ
俺じゃない そいつは俺じゃない 俺は上院議員の息子じゃない
俺は幸運な息子じゃない
財産をもって生まれてくる奴らもいる
連中は生きるのに苦労しない
だけど徴税人が戸口にやってきたときには
家はがらくた市のようさ
俺じゃない そいつは俺じゃない 俺は億万長者の息子じゃない
俺は幸運な息子じゃない
星降る目を受け継ぐ奴らもいる
やつらはお前を戦争に送り出し
どれだけのものを差しださなければならないんだとお前が問えば
奴らはこう答えるだけ――「もっと、もっと、もっと!」
俺じゃない そいつは俺じゃない 俺は軍人の息子じゃない
俺は幸運な息子じゃない
一応解説を加えておくと、Hail to the Chief というのは、アメリカで大統領が登場するときに演奏される曲です。また、「星降る目」(Star spangled eye) というのは、星条旗を意識した表現でしょう。タイトルのFortunate Son という言葉も、たしかイディオム的な意味を持つ言葉だったと思いますが……度忘れしてしまったうえ、ググっても見つかりません。まあ、「幸運な息子」という直訳で、いわんとするところは十分に伝わるでしょう。
前にも一度書いたと思いますが、マイケル・ムーア監督が『華氏911』という映画を撮ったときに、作品にインスピレーションを与えた曲を集めたアルバムというものが発売されています。
そのアルバムにも、この曲が収録されていました。
そもそもは1969年に発表されたもので、ベトナム戦争当時のアメリカを批判する歌だったわけですが、それがイラク戦争で歌われる。そして、いまもなおそのアメリカ批判がそのまま通用してしまう……これは、アメリカという国の病理としかいいようがありません。
いま、全米各地で反戦デモが行われているようですが、さすがに過去の歴史に学んで、愚かな戦争を事前に止めてもらいたいところです。