嘗て私が手稲文化協会の事務局長をしている時、文化協会の事業が年一度の文化祭の開催だけであることに疑問を感じ、丁度有珠山の噴火災害の起きた年、そのチャリティ行事として「伝統芸能祭」を開催することを提案し、開催に当たって手稲区の後援をいただき、区民センターの使用料減免を承認いただいた。その文化協会加盟団体の中伝統芸能にかかわる団体として、謡曲、筝曲各一団体、詩吟、詩舞4団体、日舞10団体、民謡10団体が参加した。出演人数も170数名で大変な盛り上がりを見せ、益金13万余円をチャリティとして寄贈した記憶がある。
現在謡曲の団体は無くなり、民謡も半減して5団体になっている。又日舞も団体数は7団体あるのだけれど、会員数は激減していて存続が危ぶまれる会も多い。詩吟は5団体になっているが人数はやはり大きく減少している。此の年が平成12年でしたから17年目になるわけですが、増えているのはカラオケの団体だけです。
老人の数は大きく増えているけれど、老後の趣味として伝統芸能を選ぶ人は極めて少ないのが現状だ。伝統芸能の存在はわかっていても、習うことが結構むつかしく、それなりの出費も必要ですから、安易なカラオケとかパークゴルフなどに向かい、伝統芸能は敬遠されている。
それでもまだ詩吟は何とか楽しめるだけの人数は確保できていますが、今後についてはとても不安です。保存芸能になってしまうまでにはまだ間がありましょうが新会員ができないまま、会員がいなくなり、廃部となる会も多くなって行くと思います。寂しいことだけれどこれが現実なのですね。