湾フグとは東京湾が舞台のフグ釣りを指し、
ターゲットはショウサイフグ、アカメフグ(正式名はヒガンフグ)、春の期間限定でトラフグも狙える。
釣ったフグは船宿で無毒部のみの「身欠き」状態にして渡してくれるから、お家では皮も内臓も出ず、食して残るのは中骨のみ。
その中骨だって、出汁取りや骨酒に活躍するんだから捨てるとこなし。
(ヒレも残りますがトラフグ以外は有毒部なのでヒレ酒にしちゃダメよ。)
家に帰ってからが楽チンだし、もちろん食べて美味で言うことなしなんですよ。
(身欠きはこの状態ね。これはアカメフグ。)
湾フグは道具立てが少ないシンプルな釣りだ。
仕掛けは自作も簡単なカットウ仕掛けで、6~10号の軽い中通しオモリを使う。
必要ならそこに胴突き仕掛けを組み合わせるくらいのシンプルさ。
(これがカットウ仕掛け。)
竿は超先調子の専用竿を使う。
海中をホバリングしてエサを食べるフグのアタリを取るには繊細な竿先が必要だ。
ラインはPE1号以下で、自分は0.8号を使ってる。
細いラインは潮切れを良くして感度を殺さないためだろう。
フグ釣りのアタリは手感度ではなく、竿先が数ミリ動く程度のを目感度で捉える。
フグは油断してるとヤスヤスとエサのエビを掠め取っていく好敵手だ。
集中して竿先を見つめて、チョンと来た繊細なアタリを捉え、アワセてガツン!
手強いフグとの駆け引きと強烈な手応えの釣り味、これが湾フグ釣りの醍醐味なんですよ。
(掛かったところ。)
さて、ここからが肝心の釣り方。
これはあくまでも自分が5年の湾フグ釣りキャリアの中で体得した現時点の釣り方なので今後変わるかも知れないし、人によっては異論もあるかもしれませんが、そこはご容赦を。
暖かい目で見てくださいな。
1. 竿の持ち方
・竿はリールをパーミングして軽く握る。力を入れて握ると操作がぎこちなくなるよ。
・ロッドエンドを肘に沿えるように当てて安定させる。竿が腕の延長という感じで自然に動かせるのが理想だね。
2. ゼロテンションの構え
・カットウ仕掛けが着底したらイトフケを取り、ラインを張らず緩めずの状態で止め、海底で仕掛けを動かさない。
これがゼロテンション(ゼロテン)と言われるフグ釣りでアタリを取るための基本姿勢。
このゼロテンの精度が釣果を左右しますよ。
(これがゼロテン状態。)
・ゼロテン時の竿先は基本は目線の高さで、ラインと竿先が90度になるように構える。
ロスなくアタリを捉えてアワセも利く理想的な角度が90度なんだよね。
・揺れる船上で張らず緩めずのゼロテンをキープするには船の上下動に合わせて竿を動かして調整が必要。
膝を柔らかくしてバランスを保ち、竿だけで足らねば腕ごと動かして揺れを相殺する。
大きな揺れでもしっかりゼロテンをキープ出来るようになるには修練が必要ですぜ。
・ゼロテン待ちの時、自分は2番ガイドくらいまでラインテンションを掛けてアタリを殺さない程度に竿先をちょっとだけ曲げて待つ。
イトフケを出しちゃうとアタリは出ないから、完全にテンションを抜くのではなく揺れを吸収するバッファを持たせるためだ。
・ゼロテンでの待ち時間は3~5秒。潮がなく活性が低い時は7秒くらいまで待つことがあるけど、待ち過ぎは周りとオマツリに繋がるのでNG。
周りの人のラインの入り方を見て待ち時間を調節する判断も必要だ。
3.誘い方
・ゼロテン時はカットウ仕掛けが底で動かず、エサバリに着けたアルゼンチンアカエビが海底で寝てる状態。
そこから3~5秒間隔で誘いを入れる。
・誘い(シャクリ)は優しくゆったりと竿先を50cmくらい跳ね上げる感じ。
強く勢い良くやり過ぎると反ってフグを驚かせ、散らすことになっちゃうから注意。
あくまでもエビが自然に海底からピョンと跳ねるようなアクションを演出するのがポイント。
・誘ったら竿先を上げたトップ位置で2秒ほど止め、そこからゆっくりと誘い下げていく。
誘い下げはフリーフォールではなくテンションフォールでゆっくりと、自分は5~10秒掛けて下げていく。
特にアカメフグの時は一層ゆっくりを心掛けるとより大型が釣れますよ。
・潮の流れに対しては、出来るだけ体が垂直に相対するように構えて、流れに逆らってシャクるようにする。
誘い下げは逆に潮に乗せるように「自然に」を意識して落とし込んでいく。
・誘い上げと下げ、ゼロテン、これを流れるように優しく優雅なロッドアクションで繰り返し、フグが違和感を覚えないような自然なエサの動きを演出する。
これが自分が目指す「無想の誘い」なんですよ。
体現出来るのはまだ先かな。
4.アタリとアワセ
・アタリは小さく、基本的に手感度では感じないから、竿先に出る微妙な動きを見極める。
明確に竿先を揺らすアタリもあるけど、大抵は竿先が数ミリ揺れる程度。
集中して見つめ、このアタリ取ることが釣果アップに繋がるよ。
(上:ゼロテン状態。下:アタリはこのくらい小さいのよ。)
・アタリのタイミングによってアワセ方が異なる。
まず、ゼロテン待ちでアタリが出た場合は即アワセ。
揺れる竿先に瞬時に反応してアワセが決まると、好敵手のフグに勝ったーと思えて気持ちいいのよ。
・誘い下げの途中でアタリが出た場合は、そのままカットウを着底させて、一呼吸置いてからアワセる。
碇型のカットウバリは誘い下げで沈下中はハリ先が下を向いてるから即アワセでは掛からないのですよ。
・アワセは掛けると言うよりも誘い上げと同じアクションで優しくするべし。
カットウ仕掛けのハリスの長さ分(自分の仕掛けは13cm)動けばカットウバリがフグに掛かるから大きなアクションは不要だ。
掛けようと強くシャクると反って掛からないのが奥深いところ。
・アワセても乗らない、もしくはチップして掛からない時は再び誘い下げてゼロテンで待つ。
フグは同じエサにアタックするから、エサを食いきるまでの3度はチャンスがあるよ。
・アワセをくれてフグが掛かると、竿が止められてガツン❗と手元に衝撃が来る。
大型であれば、根掛かりか?と間違えるほどの手応えだ。
集中して竿先を見つめるゼロ地点からアワセてガツン!のクライマックス。
これがフグ釣りの醍醐味ですよ。
5.やり取りと取り込み
・アワセて手応えがあったら竿を掲げて追いアワセを入れて、巻きに入る。
竿を起こして一定の速度でテンションを抜かないように巻き揚げること。
カットウバリにはカエシがないから、ポンピングをするとバレちゃうよ。
・ショウサイフグは掛かると走ることがあり、上に走った時は手応えがなくなるからバレたと勘違いするケースがある。
ゴリ巻きするとテンションが戻って、いた!ということがままあるよ。
・アカメフグは掛かると首を振るようにゴンゴン引くのが特徴。
大型のゴンゴン引きの釣り味は堪りませんよ。
・巻き揚げてフグを水面まで浮かせたら一気に抜き上げる。
ショウサイフグはおよそ大型でもそのまま抜き上げて問題ないけど、大型のアカメフグは無理をせずにタモで掬って貰おう。
(ブチ抜き中。健船長ブログより拝借。)
6.事後処理
・釣り揚げたフグはバケツに入れたままだと弱ってしまうし、身の劣化が心配。
特に夏場やショウサイフグの白子シーズンは素早く血抜きをして、海水氷のクーラーに納めるべき。
美味しくいただくために大事だよ。
(刺身のためにも海水氷で冷やす。)
・血抜きはフグのエラ穴にハサミを突っ込んで左右のエラをチョキチョキと切ればOK。
そのあとバケツに泳がせておけば数分後には血抜きが完了する。
(血抜き中。)
・冬場がメインのアカメフグは魚が強いからかバケツの中でも悠々としてるんで都度血抜きはせず、沖あがり後、港に帰る間に纏めて血抜きでも大丈夫ですよ。
・野毛屋さんの場合、フグの捌きは船長がやってくれる。
ショウサイフグは沖あがり前に船上で、アカメフグは港に戻って着岸した船上でになる。
(右がエサバケツ。)
・フグはエサのアルゼンチンアカエビを入れていたバケツに入れて、捌いた後の身を入れるためのビニール袋を用意する。
船長にバケツを渡して、横でビニール袋の口を開けて待ってると、身欠きになった身を入れてくれるよ。
ショウサイフグの白子シーズンは別に白子用の袋を用意しておいた方が良いかもね。
(ビニール袋を用意してね。)
あとは家に帰って下拵え、お好きなように調理して食せば良し。
(自宅でこれですよ。)
刺身はもちろん、煮ても焼いても揚げても、何にしても美味しくいただける優等生なフグをぜひご賞味あれ。
(お世話になってる野毛屋さん)
釣って食べたくなったら野毛屋さんへどうぞ。
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