私の住む団地の中にある小さな公園(北公園)で「なんじゃもんじゃ」の白い花が満開の時期を迎えている。付近にはふくよかなよい香りが漂っている。
「なんじゃもんじゃ」の花とは変わった名前。ご存知ない方も多かろう。
「なんじゃもんじゃ」は立派な植物、怪木や珍木に対して地元の人々が付けた愛称のようだ。「なんじゃもんじゃ」は「ひとつばたご」のことだそうだ。
「ひとつばたご」はモクセイ科に属する高さ15m、径70cmにも達する落葉高木。中国、台湾などアジア大陸の東部に分布し、日本では上対馬町鰐浦と木曽川流域にのみ生えている。
鰐浦では入江を囲む山の斜面を覆うように「なんじゃもんじゃ」の樹が茂り、花の時期ともなると静かな海面を真っ白に照らし出し、花の散るときはまるで白い雪の降るようだという。
北公園の「ひとつばたご」は、NTT対馬佐賀局にお勤めだった公社時代の先輩が、退職の際に、その地の思い出として苗木を1本持ち帰り公園に植えられたものだ。先輩はすでにお亡くなりになられたが、苗木はその後すくすくと育ち、毎年、白い花を咲かせ団地の人たちを和ませている。
古い話だが、対馬厳原局に勤務していた友人から「ひとつばたご」のテレホンカードをいただいたことを思い出した。見事な「ひとつばたご」の群落が写っている。テレホンカードを見て「ひとつばたご」を植えられた亡き先輩や、テレホンカードを送ってくれた古き友人を、きのうのことのように思い出した。
(参考)
「なんじゃもんじゃ」の花が咲くのは、この団地と市内中心部に近い信愛女学院の玄関前の広場だけ。交通センター33番のりばから、高平南公園行きのバスが出ている。終点で降りると北公園そのすぐ側にある。