オレが彼と出会ったのは、高校生の時。
机が隣であることもあったが、俺たち二人は、その高校の地元の中学周辺からではない出身者と言うこともあって、すぐ意気投合。
駅から高校まで徒歩30分、お互い帰宅部なので帰りが一緒な時も多かったこともあり、ほんとによく喋ったなぁ。
しばらくしてお互いの家を遊びに行くようになった、お互いの家の距離は電車で2時間もかかるところだが、泊まりで遊ぶこともあった。
高校三年生ぐらいからオレは、クラスメイトと浅く広く付き合うようになり、彼ともそれほど絡まなくなったが、それでもよく会話はしていた。
高校卒業後、お互いの職場がめちゃくちゃ近かったのだが、偶然会うことはあっても連絡してまで会うことはなくなった。
高校を卒業してから3年後、あるときそんな彼から電話が来た。
他の同級生とも遊んでいるので、合流しないか?というものだった。
メンバーは、クラスの中では彼が所属していたインテリグループと、彼とはかけ離れた高校周辺の地元中学出身グループが合体した構成だった。
オレ自身は、どちらかというと高校時代の終盤について後者メンバーと遊ぶ機会が多かったので、意外な感じだったことを記憶している。
ただそのグループは、すでにどこかで見つけてきた同級生の女性グループも合流していて大所帯となっていた。
オレは勿論、超人見知りなヤツなので、全然なじめず、仲間達には悪いな~と思いながら、ひとりアウトローな付き合い方をしていた。
でも、そんなわがままなオレに対しても、彼や女性グループの一部のメンバーは親身になってくれたこともあり、そのグループから脱退することなく長い間つきあっていた。
(一時、オレがそのグループと関係ないところで出来た彼女に夢中になって、ちょっと疎遠になったこともあったが・笑)
つまりオレが21歳のころから、彼だけじゃなくてみんなと遊ぶようになり、20代の青春時代を中心に、喧嘩もしながら月に数回・・・・年に数回と遊ぶ回数は減ってはいったが、本当に「仲間」とよべる連中のひとりだったわけだ。
彼は酒もよく飲んだので、酒が飲めるメンバーとしても、よく飲んで遊んだ。
そんな彼も33の時に結婚した。
俺たち仲間全員が、その結婚に反対したのだが、その理由は別に語る。
(別な仲間の家族全員にも反対されたのに、彼は強行した)
そんな彼も、ビジュアルはぶっちゃけよろしくなかったが、本当に気は優しいし、自分の主張はしっかりしていることから、仲間内の中でも2番目くらいに結婚出来たんだと思う。
でも、結婚7年目に悲劇が襲う。
去年の11月末に、突然の検査入院。
彼曰く、メチャクチャ背中とか腰が痛いのを二ヶ月間も我慢していたらしい。
我慢ならないところに会社の血液検査があり、その結果が「肝臓にかかる数値が、尋常ではない異常値」だったらしいのだが、実はこの時点でアウトだった。
だいぶ進行した「すい臓がん」
しかも肝臓や肺に転移して、すでに末期がんとなっていた。
オレは、これを聞かされたのは1月初旬。
頑張れば3~4年持つとのことだったが、実はこの時点で余命一ヶ月だったらしい。
オレがこの事実を知ったのは、彼が亡くなる一週間前。
彼は、一番の仲間とその周辺にしか、この事実を語っていなかった。
真っ黄色になった彼を何回か見舞ったけど、オレには一切ホントのことを語ってくれなかった。
まあそんなことは今となってはどーでもいいわ。
だって、きっと彼は知っていたからこそ、1月初旬に仲間やグループ全員に召集をかけたんだから。
ヤツは、その後1週間後に仲間やグループ全員に会うことができたんだ。
これこそヤツの人徳。
きっとおれの死期直前には、仲間はこれほど集まらなかっただろうし。
そして、忘れもしない1月26日。
この日は、別の仲間と病院に見舞う予定で、午後から休暇を取っていた。
これは前日、その仲間から突然連絡があって、
「なんか容体が悪くなったらしいから、元気づけに行こう」
今度の土曜日にはまた見舞いに行く予定だったが、残された余命は、最大限生きていてほしい。
そう思って、仕事がクソ忙しかったけど、時間休暇を取って千葉市内にあるがんセンターまでクルマを飛ばした。
集合時間まで1時間半前、その仲間から電話が来る。
「今どこ走ってる??」
そんな電話だ。
仲間の方が仕事が早く終わることを知っていたから、きっと早く病院に着きすぎたのだろうと思い、
「今ねー、姉崎袖ケ浦ICを過ぎるところだよ。もう着いちゃった?」
「いや、ちょっと様子が変わってさ。もう、次のICで降りちゃってよ。」
「は?どうしたの?」
オレも嫌な予感が、ここでピーーンときた。
「ヤツが・・・・・死んじゃったよ。」
高速を走るオレのクルマが、一瞬ブルッと来た。
目の前が、サーっと真っ暗になりハンドルを持つ手がぐらついたのだ。
その後、どう話して、どう運転したか憶えていない。
憶えているのは、集合場所だけだった。
病院に向かうはずが、ヤツの家に近いスーパーで他の仲間たちとも合流して、ヤツが2年前に建てた家に向かう。
そこには、真っ黄色の顔をした彼が、白い布団に横たわっていた。
聞けば、11月の段階で余命1年と宣告、本人にすら告知されなかったという。
そして、オレに緊急的に教えてくれた仲間も、頑張って1週間だということを知っていたらしいが、まさかその次の日に死ぬとは思わなかった。
横たわる彼を見ても、ただ寝ているようにしか見えない。
モルヒネを使って耐えた期間も短いこともあるのだろうが、とにかく顔がきれいだった。
相変わらずの無精ひげ姿。
やっぱりヤツが死んだという実感が湧かない。
だけど、ヤツが残した唯一の家族の実母の姿を見ていると泣けてくる。
全然悲しくないのに泣けてくる。
人間って、そんなに早く死ねるの??
今の医療でも、こんなに簡単に??
(その2に続く)
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