【ネタバレなし】
言わずと知れた「松本清張」のスーパーミステリー。
オレも学生時代に読んだのだが、当然の如くでストーリーは忘れていた。
だが、この映画を観るにつれ、所々は憶えていたようで、
「あ、そうそう、そうだった」
まあ、結論は忘れていたので充分楽しめた。
だから、その昔に小説を読んだ人でも楽しめると思う。
映画初日に係わらず、客の入りは、2割弱。
当然のように客層は、 「沈まぬ太陽」と同様、高齢者で占めていた。
(やはり劇場内のマナーも悪かったな)
じゃーレビューを綴ろう。
2時間モノのサスペンスドラマ。
こういってしまっては、それまでだが、一言で言えば、
「戦争が残した傷跡は、月夜の晩だけではない」
・・・これに尽きる。
重い感じもするが、こんな奥深いミステリーは現代の2時間ドラマじゃ作れない。
さすが松本清張ってとこだろうか。
劇の中盤を過ぎれば、人間関係(模様)を把握出来てくる。
ここからが松本劇場の真骨頂なので、頭をフル回転しながら観て貰いたい。
まあ、違った意味で感動すら憶える作品に仕上がっている。
キャスティングも、まあまあだったろうか。
ミステリーを自らも暴いていく主人公は、広末涼子氏が演じたが、オレにしてみれば、もう少し頭の冴えた印象のある女優さんでも良かったのではないかと思う。
今まで観てきた「演者:広末凉子」の中では、最高のパフォーマンスだったとは思うのだが。
彼女も目力が出て来たようで、そこは高評価したい。
でも、劇の終盤に中谷美紀氏と絡むシーンがあるのだが、もう一段階上の迫力も欲しかった。
中谷美紀が演じた金沢の大企業夫人、これはハマリ役だった。
ミステリアスな雰囲気を持つ役どころは、ピッタリだろう。
ただ本来(小説)は、もう少し年齢がいっているハズなのだが、カバーしていたと思う。
3人目の女性、木村多江氏が演じた役は・・・・・・・
ここを少しでも書くとネタバレになるので、詳細は控えるが、金沢の訛りが強く残る地元の女性というところは見事だったと思う。
彼女が演じる役は、非常に重要な人物なのだ。
(全員重要なんだけどさ、この役だけは特に重要と捉えて欲しい)
特に、あのシーンは見事な演技だったぞ......とだけ言っておこう。
んで
劇が終わる直前のシーンについてだが、とあるワンカットが流れる。
オレ的には、ここのシーンは不要だったと思っている。
(伝えたいことは分かるのだが)
最後に、エンドロールの話だが、終演後にサプライズはないぞ。
だが中島みゆきの「愛だけを残せ」がエンドロール時に流れるのだが、恥ずかしながら、オレは震えてしまった。
オレは、少し寒気を憶えながらエンドロールを眺めており、どっちにしろ席から立てなかったのだが。
中島みゆきが吠えるように歌うこの歌、ピッタシとハマっていたのかも知れない。
そして、この映画の完成度に感激したんだと思う。
ちなみに、完全に幕が下りた後にも、この歌はBGMとして館内に流れていたぞ。
・・・・・・・
ほとんど、レビューになっていないのだが、ちょっと書くとストーリーに傷が付くので(ネタバレしちゃう)このヘンにしておこう。
邦画なんだけど、軽く語れない深み。
そしてストーリーが完璧なのだろう、これぞ時代を超えたホンモノのミステリー映画だと思えてならない。
評価点
93点
ミステリー好きで、この小説を読んだことのない人なら、もっと楽しめると思う。
年代的には、たしかに50代前後の人向けかも知れん。
だが、若者と呼ばれる世代の人も、戦後の爪痕にこんなこともあるのかと知るべきだとも思うので、是非、観て貰いたい。
■蛇足
このブログにポスター(チラシ)画像を差し込んだが、ストーリー上の重要な女性を演じた広末涼子、中谷美紀、木村多江が、それぞれセンターに位置取るものが用意されている。
つまり、3パターンあるということだ。
ヒマがあったら探してみては??
あ、3人が着ている赤いコート。
勿論、意味があるぞっ!!
■おまけ
・ 「ゼロの焦点」にかかるnobizou独自のリンク集
・ ゼロの焦点 - goo 映画
・ 広末涼子、初対面で新婚入浴シーンから…「人としてどうなの?」に西島秀俊、恐縮 - goo 映画
・ ゼロの焦点 (公式HP) ⇒ ゲキ重いので光の人以外は止めた方が