映画は昔、興行だった。それは、パニック映画が始まった頃からだろうか。「ポセイドン・アドベンチャー」「タワーリング・インフェルノ」「JAWS」、ちょっと古くは「エクソシスト」(アメリカでの試写会で、恐怖の為、何人かの人が死んだという噂が流れ、ドキドキして見たが、たいした事はなかった。「ヘルハウス」の方が怖かった)、映画がロードショーされる半年前くらいから、ワクワクしながら、「ロードショー」や「スクリーン」という映画雑誌を読んで期待していた。もちろん、中学・高校生の時はお金も無く、正月に大作が二つダブると、どちらか一つを選ばなければならなかった。鮮明に憶えているのは、「大地震」と「エアポート‘75」の公開された年・・・センサラウンド方式に惹かれて、「大地震」を選びました・・・「キングコング」と「カサンドラクロス」が公開された年・・・「鉄道ファン」だったので、「カサンドラクロス」を見ました・・・などです。「007」も楽しみにしていたシリーズで、高校三年生の大学受験直前の正月に見た「007/私を愛したスパイ」は、今でも僕の見た映画の中でもベスト10に入るくらい面白かった作品です。友達が小さい頃アメリカで暮らしていた商社マンの家庭で、「きょう、ゼロゼロセブンを見てきました」と、友達のお母さんに言うと、「それは、ダブル・オー・セブンの事でしょ」と軽く言われ、欧米では「007」をそういうんだと変に感心したものです。今は正月でも夏でも、興行的な映画が無くて、ドキドキ感も感じません。テレビやインターネット、DVDなどがあり、映画という娯楽に集中して、魅力を見出す事ができなくなっているのかもしれません。
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