文大統領はこの日午前の退任演説でも「過分な愛と支持で声援を送ってくださった国民の皆さまに、限りない感謝の言葉を申し上げる」と述べた。

文大統領

「また出馬しましょうか」冗談言いつつ大統領府を後に

登録:2022-05-10 02:23 修正:2022-05-10 08:33

 

「最初で最後の退勤」　
市民、涙ぐみながら惜しむ

 

 

文在寅大統領が9日午後、大統領府前の噴水台で、帰宅途上に出迎えた市民に感謝のあいさつをしている/聯合ニュース

　文在寅（ムン・ジェイン）大統領は9日、市民の見送りを受けつつ大統領府を後にした。大統領府噴水台前広場と道路の周辺を埋め尽くした市民は「文在寅大統領」を連呼し、最後の退勤を惜しんだ。

　文大統領と夫人の金正淑（キム・ジョンスク）女史はこの日午後6時ごろ、大統領府本館を出発し正門から大統領府を出た。後任者が了解すれば、前任大統領は大統領府官邸で最終日の夜を過ごし、就任式会場に向かう際に大統領府生活の幕を下ろすことができるが、「就任と同時の大統領府開放」を掲げる尹錫悦（ユン・ソクヨル）新大統領の公約に沿って、文大統領はこの日に大統領府をたち、ソウル市内の某所に向かわなければならなかった。

　大統領府の職員たちは青と白の風船を手に見送り、大統領府を守る警察の101警備団員も一列に並んで文大統領に対し最後の挙手敬礼を行った。ユ・ウンヘ、チョン・ヘチョル、ファン・ヒ、パク・ポムゲ、ハン・ジョンエ、イ・イニョンなど現政権の共に民主党出身の長官たちも、正門で文大統領を見送った。文大統領が金女史とともに歩いて正門から出てくると市民たちの歓声がわき起こり、文大統領夫妻は噴水台の前まで来て市民たちと握手した。「この5年間、幸せでした」、「あなたは私の永遠のスーパースター」というプラカードを手にしていたり、涙ぐんだりする人もいた。

　文大統領は、噴水台前広場を埋め尽くした支持者たちの歓声に「皆さんありがとうございます。また出馬しましょうか」と冗談を言いながら口を開いた。続いて「大統領として働いてきて初めての退勤だが、同時に最後の退勤になった」と感想を述べた。上気した表情の文大統領は「最後の退勤を終えてみると、重い荷を下ろすようで気持ちが軽くなった」とし「多くの方々が私の退勤を祝ってくれて私は本当に幸せだ。今後は妻とともに、前任大統領として、充実して過ごしていると言われるよう幸せに生きていきたい」と述べた。「今日で青瓦台大統領時代が終わった」と語った文大統領は「皆さん、成功した大統領でしたか？」と問い、「成功した前任大統領になれるよう手伝ってください」と言って笑った。文大統領は「妻のあいさつもひとつ聞こう」と述べ、金女史は「大統領とともに気をもみつつ韓国の発展を作っていく皆さんと一緒にいられて光栄だった」と述べた。

 

 

文在寅大統領が大統領府を守る警察101警備団と別れのあいさつを交わしている=大統領府提供//ハンギョレ新聞社

　文大統領はこの日午前の退任演説でも「過分な愛と支持で声援を送ってくださった国民の皆さまに、限りない感謝の言葉を申し上げる」と述べた。特に文大統領は、新型コロナウイルス感染症時代を共に克服したということを強調しつつ「国民も、政府も本当にご苦労だった」と感謝の意を表した。

　文大統領はこの日午後、大統領就任式に出席するため訪韓した中国の王岐山副主席、シンガポールのハリマ・ヤコブ大統領と面談するなど、最終日も外交日程を消化した。王副主席は、文大統領は韓中関係の発展に大いに貢献したとして中国を代表して感謝の意を示し、習近平国家主席の格別なあいさつを伝えた。大統領府が明らかにした。また文大統領は「任期最後の公式日程で王副主席にお会いでき、意義深く思う」と述べ、王副主席は「大統領府最後の訪問者になれて光栄」と応じた。

　文大統領は10日午前11時の尹錫悦大統領就任式に出席した後、私邸を構えた慶尚南道梁山（ヤンサン）の平山村（ピョンサンマウル）へと向かう。文大統領は、2008年2月に盧武鉉（ノ・ムヒョン）大統領の秘書室長を離任した際にも帰郷しており、今回は2度目の帰郷となる。

イ・ワン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )