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流れ流れてきた此処は、終の棲家にふさわしいのか?入ってみなきゃ分からない、それがリスク。

写楽 閉じた国の幻(上)

2021年02月15日 00時09分35秒 | 読書事
久しぶりの島田荘司さんです。

面白くないわけではないが、とにかく長い。

必要な記述ではなく、ページ数が原稿料だから長い、のかと思う感じ。

実は下巻を途中まで読んでいるのですが、ここまでで200ページくらいに収めたほうがいいでしょう、って言うより同じことの繰り返しが多すぎる。



下巻で「実を結んでほしい」と切に願います。

追想五断章

2021年02月14日 23時46分56秒 | 読書事
米澤穂信さんです。

大学を休学し、伯父の古書店に居候する菅生芳光は、ある女性から、死んだ父親が書いた五つの「結末のない物語」を探して欲しい、という依頼を受ける。調査を進めるうちに、故人が20年以上前の未解決事件「アントワープの銃声」の容疑者だったことがわかり―。五つの物語に秘められた真実とは?青春去りし後の人間の光と陰を描き出す、米澤穂信の新境地。精緻きわまる大人の本格ミステリ。 by Amazon

主人公が暗い。

読んでいて感情移入が難しい。



「ロス疑惑」を底に置いているのは明白であり、それを出してくるのかと思ったら、そうでもない。

それとは、米澤穂信考察による現実事件の小説化という意味で、島田荘司さんがよくやっていた手です。

なんか宙ぶらりん。

Amazonの書評を読んでも「ロス疑惑」記述が出てこないので、今の読者には分からないのかな?

真実の10メートル手前

2021年02月14日 23時07分41秒 | 読書事
米澤穂信さんです。

ちょっと気になっていました、タイトルが。

なんか、期待を抱かせる。

タイトルで期待十分で、読んで面白いと、間違いなくその作家の次作を読む。

高校生の心中事件。二人が死んだ場所の名をとって、それは恋累心中と呼ばれた。週刊深層編集部の都留は、フリージャーナリストの太刀洗と合流して取材を開始するが、徐々に事件の有り様に違和感を覚え始める…。太刀洗はなにを考えているのか?滑稽な悲劇、あるいはグロテスクな妄執―己の身に痛みを引き受けながら、それらを直視するジャーナリスト、太刀洗万智の活動記録。日本推理作家協会賞受賞後第一作「名を刻む死」、本書のために書き下ろされた「綱渡りの成功例」など。優れた技倆を示す粒揃いの六編。 by Amazon


書評ではほとんど見ないが、米澤さんの小説の根底は黒い。




ボトルネックやインシテミルはわかりやすいが、無邪気を装う「古典部シリーズ」「小市民シリーズ」もそうだが、一歩引いてみると「絶望と置き所のないもやもや感が残る物語」が大半だ。

Amazonの引用では、なぜか表題作の内容が記載せれていないが、この本のメインはやはり「真実の10メートル手前」でしょう。

読み終わった後に来る「精神を泡立たせる不快感」。

シリーズ物は発行順に読むのが主義の私ですが、先に「王とサーカス」を読んでイマイチと感じていたので、これは期待していなかったのです。

もしかしたら、これから読んでいたら印象が変わっていたのかも。



でも、本という物は、発行年と読者の読書時の事情(年齢・性別・生活環境・精神的ストレス・社会状況・経験値)に結構、左右されるものだと思います。

今の読者が「スマホのない世界」(実はここで「スマホ」の前に「ケータイ」と入力して訂正している私)で物語られても「ピン」とこない筈。

そろそろ「ピンとこない」も死語に近い。

20年前は「新本格」のバブル時代だったのです。

前提は「個人を特定できない時代(今どこにいて、誰に連絡して、どの道を歩いていて、どこでどういう支払いをしたかなど)」なのでちょっとしたトリックを使えば、目くらましできました。

いま、その前提で話を進めると、スマホの送着信履歴から位置情報、監視カメラ映像、ネット上の書き込み履歴、資金の流動性などかなりの行動履歴が追跡できます。



脈絡もなく書いているので、そろそろ締めを。

21世紀中盤には本格推理の秀作はなくなるでしょう。

謎の中に如何に人の心情の機微を書けるかがミステリ作家の力量になるのだと思う。