まず、「接触」がある。そこから人と人の関係が生まれる。だから、その接触の仕方について分析するのが有効である。
ある人物が私に接触をしてくる。そこには何かの目的がある。感じの良い人だから話をしてみたいなぁというのも、目的であるが、私たちから財産的価値(女性なら身体も含む)を奪おうとする場合もある。だから、人と接触する際に細心の注意が必要である。
相手の要求を断れなくして、だんだんと追い詰めるやり方には、一定のパターンがある。
今回は3つのパターンを紹介する。
1 小さな頼みごとから大きな頼みごとへ
例えば、募金詐欺の場合、まず「東北地震の被災者のために署名をしてもらえませんか」と頼む。
それに承諾すると、今度は「いくらでもいいから被災者のために募金をしてもらえないでしょうか」と頼む。
このように、いきなり募金を頼んでも断られるので、最初に小さな要求をしてそこから段階的に要求を釣り上げるのである。
人は先に簡単な頼み事を承諾してしまうと、次の大きな頼み事を断れなくなる傾向にある。それは「自分の行動に矛盾がないようにしたい」という一貫性の法則があるからである。
相手のやり方を分析すると、最初の要求は承諾してもらえるような簡単なものであること、最初の要求と目的の要求には関連性があること、深く考えさせないこと、である。
このやり方に対処する方法は、まず相手の目的を先に予測することである。署名を要求された時点で、募金を要求される可能性を先に読むことである。そして、募金は断ると決めておく。
次に、できるだけ礼儀正しく断るということである(しかし断固に付け入られる隙なく)。募金の例で言えば「申し訳ありません、今日は持ち合わせがなくて、今度機会がありましたら募金します」と。
この段階的に要求する方法は、自分自身にも使える。
例えば、ブログを書くのが億劫になってきたら、まず、机に座ってパソコンの電源を入れようと自分に要求する。それに承諾したら、一行だけでも書いてみようと要求する。次は、もう一行だけ書いてみようと。
いいことも悪いことも使い方次第だ。
2 大きな頼み事から小さな頼み事へ
今度は、さっきの逆である。
例えば、勧誘に引っかかって店に連れていかれたとする。いろんな商品を親切・丁寧に説明してもらって、最終的に「この100万円の壺を購入していただけると、あなたの運気がアップします。どうですか」と言われた。その時は、お金が無いからと断った。「じゃあ、3万円の壺はどうですか。こちらでもかなりの効果があります」と提案されて、購入してしまった場合である。
他にも、例えば、彼氏に「ハワイに連れてってよ」といい断られ、「じゃあ、遊園地に連れてって」という場合である。
このように大きな要求の後に小さな要求をされると断りづらくなる。心理的に人は断るという行為に罪悪感の感じる。なぜなら、私たちの社会では「人の頼み事はできるだけ聞かなければならない」という道徳があるからだ。だから、私たちは頼み事を断り続けることができない。
そこに付け込んでくるのがこのやり方である。
最初の例で言えば、「商品を親切・丁寧に説明してもらって」というところがポイントで、それゆえ、断ることに罪悪感が生じてしまうのである。
3 いい条件から不利な条件・悪い条件へ
この方法の具体例をあげてみよう。
かなり格安の中古車があって、それを購入する決断をした。その後に、実はタイヤがすり減っていたり、エンジンにトラブルがあったりする。それを直すためには追加のお金が必要で、結局、安くない買い物になってしまうようなことである。
また、男女間の恋愛でも、学歴、職業、年収などが好条件な男性と付き合った。深い関係になって、別れられなくなったところで、その条件が嘘だったことを告げるようなやり方である。
このように、何かを売る場合に、まずは魅力的な条件で惹きつけてから購入を決断させ、その後で相手側に不利となる条件を説明するような手法である。また購入を決断した後、さまざまなオプションを付けられ、結果として悪い条件になってしまうようなやり方もある。
1の方法とよく似ているが、1の方法が頼み事を徐々に釣り上げていくやり方なのに対して、この方法は頼み事自体は変わらないのだが、条件が変わるため、結果的に不利な要求を飲まされていることになる。
うまい話には罠があるということを、意識して取引しなければならない。
フリーの携帯ゲームもこの手法である。タダだからいいやと思って、ゲームをやっていくと、だんだん熱がはいっていく。そこで、有料のオプション機能を購入させられることになる。
入り口は、フリーという好条件であるが、熱くなったところで、いろんなものを買わされ、結果的に、悪条件になっている。
まだ、つづく。