今日は脳の話をしようかな。それほど難しくはありません。
脳のいちばん外側に大脳皮質があります。
大脳皮質は、人間の知的活動にかかわっている部分です。
人間のいちばん人間らしい部分ですね。
それに対し、内側にある大脳辺縁系は、本能や感情にかかわっています。
ちょっとだけ動物的な部分になります。
大脳皮質は知的活動、大脳辺縁系は本能や感情です。
たとえば、ミステリーとか推理小説を読みますよね。
それらのジャンルの小説は、人が失踪したり、犯人が誰なのかといった
謎が最初に設定されています。
そしてその謎を追っていくという構造になっています。
当たり前ですけどね。
その時の脳は、なぜだ、なぜだ、という思考になっています。
これは推理する知的活動なので、大脳皮質が使われています。
これに対し、理不尽な状況とか過酷な状況に、主人公がおかれている物語があったとします。
その時に、僕たちは理不尽さに怒りを感じたり、
過酷な状況をかわいそうに思ったりします。
そのときには、知的活動というより、感情的な部分が刺激されていますね。
つまり、大脳辺縁系が使われているわけです。
ミステリーを読んでいるとき、それほど大きく感情は動きません。
脳は分析的に活動しているからです。
もちろん内容にもよりますが、基本的にはそうです。
そして、謎が解け、物語の全貌が明らかになったとき、
スッと余韻を残すように、終わっていくのが、最高のミステリーでしょう。
最後に、ちょっとだけ感情が揺れ動かされる程度にね。
それでです。ここまでが、今日の話のフリなんです。
長いフリになってしまいました。
いま、道尾秀介さんの「カラスの親指」という小説を読んでいます。
三分の一くらいかな。
読んでいる最中、ずーっと怒っています。ムカムカしています。
それは、主人公を含めた登場人物たちが、あまりにも可哀そうな状況に置かれているからです。
僕の正義感が許せないと言い、ふつふつと怒りを刺激します。
たぶん、これからの展開は、
弱い彼らが一致団結して、悪い連中に復讐していくストーリーなんでしょう。
この小説は、大脳辺縁系を刺激する小説ですね。
恐怖や怒りがわき上がってきます。
今のところは、怒りをコントロールしながら読んでいます。
どうなんでしょうか?
この怒りが、スカッと爽快にはれる瞬間が訪れるのでしょうか。
読み終わったら、また感想を書きますね。