アンティマキのいいかげん田舎暮らし

アンティマキは、愛知県北東部の山里にある、草木染めと焼き菓子の工房です。スローライフの忙しい日々を綴ります。

映画「グリーンゾーン」

2025-02-07 13:54:44 | 映画とドラマと本と絵画

  イラクにある大量破壊兵器を探し出すという名目で始まった、アメリカ軍のイラクへの進駐。しかし、結局破壊兵器は見つからず、イラクを混乱に陥れたまま、アメリカ軍はイラクを撤退。その「兵器が隠されているとされる秘密情報」がもたらされるたびに、命がけで現場に急行し、そのたびにスカを食らった軍人が、マッドデイモン扮する主人公。彼は次第に、大量破壊兵器の存在自体を疑い始めます。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%BE%E3%83%BC%E3%83%B3

  アメリカのジャーナリストのノンフィクションが原作。大量破壊兵器の存在は、アメリカの高官とフセインの配下にある将軍?の間で取り交わされた密約?によって、フセイン政権をこわすために捏造された嘘だった?

  どこまでが事実で、どこまでが虚構かわかりませんが、もしかなりのところまでが史実だとしたら、大変なことです。この映画、興行成績が悪く、大赤字だったとか。でも、いつもいうけれど、こういう、「アメリカの恥部」をアメリカ映画は堂々と暴くところがすごい。

 

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映画「アラビアの女王」

2025-02-05 14:43:45 | 映画とドラマと本と絵画

  まったく知らなかった人なのですが、かなり有名な女性探検家、考古学者。アラビアのロレンスより20歳も年上の当時の中東通のイギリス人女性の伝記映画。アメリカ映画です。アラビアの女王 愛と宿命の日々 | あらすじ・内容・スタッフ・キャスト・作品情報 - 映画ナタリー

   ガートルード・ベル。イギリスの大金持ち?の令嬢。当時の女性としては珍しい大学卒の経歴を持ち、頭脳明晰の才媛だっため、同じ階級の男性たちからは敬遠され、また彼女自身も自分にふさわしい男性を見つけることができず、勇躍中東へ旅立ちます。

   当時(1910年代~)イギリスは、オスマン帝国瓦解後の中東に深くかかわっていました。アラビアの文化、習慣、住んでいる人々に深く魅了された彼女は、アラビア人の従者とともに西洋人の行ったことのない奥地へも足を延ばし、部族の長たちの信頼を徐々に勝ち得ていきます。

   同じイスラム圏でも、宗派が違い、習慣が違い、文化が違うことでお互い相いれない部族も多く、小競り合いの絶えない中、彼女は勇敢にあちこちの部族の居住地に足を延ばします。ハーレムに入れられそうになったり殺されそうになったりと波瀾を巻き起こしながら進む彼女。どこまで史実かわからないのですが、当時のイギリス諜報部の情報員のような活動もしていたようなので、かなり信ぴょう性が高そうです。

   今に至っても解決しない中東問題が最初に勃発した頃の話。部族長たちの信頼を得た彼女の意見に沿って線引きを決め、できた国もあるそう(ネットで紛れてしまったので、国名を忘れました)。とにかくかなりの仕事をやってのけた人らしい。

   彼女より、20年以上前の人だと思いますが、同じくイギリスの女性、イザベラ・バードという女性探検家の伝記漫画「ふしぎの国のバード」を愛読しています。あの頃のイギリスの女性、活動的だったんだなと思いましたが、ガートルードは、ケンブリッジ入学は許されはしても、特別の女性の枠?でしか入学できなかったとか。卒業時は首席だったそうだけど。

   ほんの100年ちょっと前なのに、西洋の女性差別はすごい。「ファーストレディ」という習慣は、女性を大事にしているというより、「女性はか弱いものだから、男性が率先して大事にしてやらないといけない」という考えであって、男性と伍して生きて行こうと考えている女性に対しては、相当風当たりが強かったのではないかと想像されます。

   ニコール・キッドマンが主演。あまり好きではない女優なのですが、年齢のせいかきつさが減り、ほどよくしなやかに、でもやることはきっぱりやる男性的な女性役がぴったりに思えました。

 

 

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豊田市民芸館「おいしい民窯-食のうつわ展」と蔵カフェ・ケ・セラ・セラでランチ

2025-01-26 14:11:39 | 映画とドラマと本と絵画
  豊田市民芸館へ、「おいしい民窯-食のうつわ展」を見に行ってきました。
 
  民窯とは、茶器など高級な焼き物ではなく、庶民が普段の生活に使う器を焼く窯のこと。民藝運動の代表柳宗悦が名付けたとか。
博物館で始まった「和食展」に合わせての展示なのか、お皿や飯茶碗、それに酒器をたくさん観賞できました。
                     
   遠くから見た時は、「うわあっ、立派な花瓶!」と思ったものはすべて徳利。一升は軽く入りそうな大徳利がいくつもありました。酒屋や酒造元で買ってくるときに入れてもらった大徳利なのでしょう。とても立派です。花瓶にしてもよさそうなものばかり。でもあくまで実用品。
ところで、見渡したところ、いわゆる花器はひとつもありませんでした。食の器展だからなのでしょうが、そもそも花を生けるという行為は、茶道や禅宗、そのほか寺社にかかわることで、日本では一般庶民の生活には無縁だったのかも。家具をほとんど使わなかった日本の家屋で、花を飾る場所と言ったら床の間。貧しい農家や長屋に、床の間なんてないものね。
  
   写真手前の三つの四角い器は、会津の郷土料理、身欠きにしんの山椒漬けを入れて置く容器だそう。何だかおいしそう。検索出来たら作ってみたい。
   津軽のこぎん刺しの衣装もありました。「古い布の有効利用」「布を丈夫にするための技」とはいうものの、まるでレース編みみたいな精巧さに驚きます。たぶん、晴れ着ではなかろうに、時間も気持ちも砕いてここまでやってのける意欲がすごい。
 
   民芸館訪問の前は、豊田市産業文化センター隣にある「蔵カフェケセラセラ」へ行ってみたい、という友人たちと食事会。こちらへは、2年前からアンティマキの焼き菓子を置いていただいていることから、私は何度目かのおにぎりランチをいただきました。いつもながら、おかずの品数の多さに脱帽。どれも素材の持ち味がよく出ていて、ゆっくり味わえました。お膳もお皿もお椀もすべて、こちらのお蔵にしまってあったもの。写真にはないけれど、ほかに、おでんにいぶりがっこの和え物も登場。黄色い蓋物のなかは、おからの煮もの。総菜っぽくない上品な一品になっていました。
   私は、この日の三日前に、焼き菓子を納品。蔵カフェに隣接した子ども食堂・山二食堂前に置かれているお楽しみ自販機用のクッキーもお持ちしました。で、この日のコーヒーのお伴は、アンティマキのクッキーでした。
   こまごましたかわいいものがあちこちに飾られていて、行くたびに新たに発見。今回は、木製のおままごとセットを見つけました。お雛様のお道具とは違って、普段っぽい鏡台や箪笥なのが面白い。お膳もありました。おしぼりは昔のデパートの手ぬぐいだそう。何か催し物があるたびにお客さんに配布していたものなのか、カラフルで楽しい図柄です。
   室内でひときわ目を引く大きなオルゴール。
   店名の由来となったシャンソン「ケ・セラ・セラ」が鳴ると、プレゼントをいただけるのですが、残念ながらこの日は鳴らず。
   今のところ、カラスに狙われずに済んでいる干し柿。
   
   豊田市駅近くの、ビルの建ち並ぶ中にあるのですが、喧騒とは無縁のカフェです。営業日は水曜から日曜まで。フードロス軽減のため、完全予約制。ご予約は、℡0565478177まで。
 
   なお、蔵カフェ&子ども食堂山二食堂主催の映画「シルク時空を超えて」は、まだ空席があるそうです。前売りだと500円安くなります。日時は2月8日12時半開場、場所は産業文化センターです。こちらも、上記℡番号にてお申し込み・お問い合わせください。
 
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豊田市美術館「しないでおくこと。

2025-01-26 14:02:40 | 映画とドラマと本と絵画
  「しないでおく、こと。芸術と生のアナキズム」展を見に、久々に豊田市美術館へ。
   好きなもの、嫌いなもの、必要なもの、必要でないもの、その選択するのすらやめたという事を表したいのか、とにかく片付いていない場所があちこちに。表現そのものを「しないでおく」ということなのか。要するに、私の机の上と一緒だ、などと親近感をちょっと覚えながら見て回りました。じっと止まって見出したらきりがないくらい、「なぜ、ここにこんなものが?」と考え続けそうなのですが、一目見て魅力だ!とお思うほどのことがなかったので、ついささっと通り越してしまいました。時間があればだらだら滞在できたかもしれません。

   でも、40年かそこら前に、京都で何度か見たアンデパンダン展ほどの衝撃も面白さがなく、次の会場へ。移動の途中、階段の盲人用の突起部分の集合や、非常用ランプのある部分など皆、それぞれがアートに見えました。この逆転のような感覚が狙いめ? そうではなかろうけれど、「はちゃめちゃはいいな。なんでもいいのだ! 表現すればいいのだ! やっちゃえば勝ちだ!」と思える展覧会ではありました。元気がちょっと出た。

   初めて美術館から博物館へ。広々していて、気持ちのいい場所です。博物館では現在、和食展が始まっています。次はこちらへ。

 

 
 
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足助すげの里で、石窯の会ひらきます~石窯フォカッチャとスープランチ&おやつ&山の暮らしにまつわるおしゃべり

2025-01-22 10:07:15 | アンティマキの焼き菓子とパン

  豊田市足助地区すげの里にある石窯を使って、来月、石窯で遊ぼう、の会を開きます。

2月15日(土)10時~15時
場所:すげの里(足助地区)
参加費:4200円 *家族に限り、フォカッチャとスープのみ1000円で追加を承ります。
インストラクター:村田牧子(アンティマキ主宰)・オクダキヨミ
定員:7名
最少催行組数:3組

豊田産の木材を使った体験施設すげの里で、冬の一日をご一緒に過ごしませんか?
かわいい石窯では、こねないフォカッチャと卵乳製品不使用のアンティマキの焼き菓子を焼き、調理室では、野菜と豆をたっぷり使った重ね煮スープを作ります。               
お昼ご飯の後は、薪ストーブのある暖かい部屋で、マキ&KIYOの山里暮らしにまつわるあれこれを話題に、楽しくおしゃべりしましょう。田舎暮らし、山里暮らしに興味のある方、石窯のことを知りたい方、どうぞお越しください。

この企画は、とよたまちさとミライ塾+のプログラムの一つです。お申し込みは、【となりのとよた】フォカッチャとスープランチ&おやつ&山の暮らしにまつわるおしゃべり | とよたまちさとミライ塾へ。

■インストラクター(案内人)

村田牧子


2003年に現豊田市稲武地区に移住。移住後、草木染めと焼き菓子・パンの工房アンティマキを開く。
豊田市内、岡崎市内の数店舗に納品するほか、近隣のイベントでも販売。「アンティマキの優しく易しい焼き菓子とパンの会」と名付けた講習会も開く。地元にある体験施設どんぐり工房で、定期的に草木染の講習会も開催。昨春から、KIYOさんと組んで、草木染めと石窯パンの会も不定期に行っている。

Instagram@auntie_maki
facebook Auntie maki
blog https://blog.goo.ne.jp/nihonkamoshika

オクダキヨミ

広島から長野を経て、豊田市へ2010年に移住。生活のベースを山に置き、生産・循環的暮らしを楽しみながら、たまには都会へ繰り出す暮らしを満喫中。おおらかに使える銅鍋・銅具の伝道師⁈
会では、石窯の焚人を担当。

Instagram@luckiyo_ok


すげの里 〒44-4-2505 愛知県 豊田市 新盛町中洞67

車場:有

 

 

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バンダルダイ(バンドルダイ)と石窯ピザの会inどんぐり工房 

2025-01-13 09:31:55 | 草木染め

  バンダルダイまたはエコプリントまたはミディアムプリント。昨秋、初の講習会を開きました。

   こちらは、友人たちと実験した時のバンダルダイ。花や葉、スパイスや染め材料、そのほかいろんなものでできる染め。エコプリントともいわれ、数年前、海外で話題になり、日本でも徐々にはやり始めました。いつかやってみたいとお思っていた時、たまたま昨春、WSに参加したのを機に、見よう見まねで作ってみたのがこれ。葉っぱが必ずその形になって色が出るとはもちろん限らず、あれこれやってみてとりあえず、色の出やすいもの、出にくいものの見当をつけました。

   当日のために集めた材料は、セイタカアワダチソウ、キク、ヨモギ、ドングリの葉、百日紅の葉、タマネギの皮、、ゴバイシの他たくさん。葉っぱは、タンニンを含む樹種が染まりつきやすいと聞いたので、庭先に実生で育ったカシ?の枝を切っていきました。

   布は、絹スカーフ、絹のハンカチ、濃染処理済みの綿のバンダナの中から選んでいただきました。こちらは絹スカーフ。

   葉や花のほか、ターメリックやアカネ、マスタードの粉、蚕紗交じりの乾燥桑の葉など、必ず色が出そうなものも散らしました。選び方、置き方に、それぞれの方の趣味や個性が出ます。でも、この通り染まりつくとは限りません。

   端から布をぐるぐる巻いてから、さらに巻貝のように巻き、しっかり縛ります。

   こちらは巻いて止めただけ。芯にはラップやクッキングペーパーの芯がちょうど使えます。

   蒸している間、ピザづくり。どんぐり工房の庭にあるピザ窯で焼きます。

   レンコンに塩ダラ、キノコ、ブロッコリーのピザ。熱いのをほおばった後、蒸しあがった布を広げ、草や葉を取り除いてから媒染に入ります。

   媒染は、アルミと銅、鉄の3種を用意。こちらはアルミ媒染で出来上がったスカーフです。

  紫はごバイシかな。あざやかです。

  左は鉄媒染。

   こちらも鉄媒染。写真では不鮮明ですが、それぞれみないい。ただし、葉の形がうまく出たのはわずかでした。もっとたたいたりこすったりするとよかったかも。

   バンダルダイ、思った通りにはなかなかいきませんが、とにかく楽しい。初夏から夏にかけて、花や葉が最も旺盛な時に、また会を開きたい。5月か6月ころに告知します。ぜひお越しください。

   

 

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本「日本残酷物語5」

2025-01-11 17:17:18 | 映画とドラマと本と絵画

  第5巻目、読み終えました! 江戸時代から第二次大戦後に至る庶民の歴史。タイトルは「近代の暗黒」です。

  「急激な「近代化」は、その真っ只中に巨大な暗黒を抱えて進んだ。都市のスラム、使い捨ての女工たち、タコ部屋や坑内の重労働・私刑・死・・・・  その暗黒を生きた人々。忘れられた私たちの隣人の多様な生」

   昭和11年、秋田県の警察が調べたところによると、この年故郷を離れた女性の数は2824人。「総数の五十五パーセントが女工であり、十八パーセントがいわゆる「醜業婦」」だったという。最初から「醜業婦」つまり、芸妓、娼妓、酌婦、女給として村を出て行った女性もいるけれど、女工として離村した後、過酷な仕事がつらくて転落していった女性も多いとのことです。

   当時の女工の就職先はほとんど繊維業界。明治30年代には、24時間操業が当たり前になっていて、女工たちの労働時間が18時間、というところも。寄宿舎併設の工場がほとんどだったので、徹夜業も簡単に課すことができました。「募集人の甘言」によって村から連れてこられた女工は、当初から支度金、旅費と称して借金を背負わされて就業。あまりの過酷さに逃亡を試みても、つかまって「懲罰を受けるものが多かった。殴打されたり、裸体にして工場内をひきまわされたりする者もあった」。

   都市の片隅で貧困にあえいでいた失業者達は、やはりおなじく「募集屋」によって「タコ釣り」され、北海道の鉄道敷設工事に駆り出されました。彼らは「商家を追われた徒弟だとか、都会にあこがれて離村した農民だとか、苦学生といった、ほとんどが土木労働の経験のない失業労務者」でした。「募集屋」は「誘拐」も辞さず、自暴自棄になった酔っぱらいを身ぐるみ剥いでどこかの家に放り込み、監禁する。そして人数が集まると汽車に乗せて北海道へ。彼らを待っていたのは覚えのない借金。それを警察官と「監獄部屋の幹部」たちによって恫喝され、「タコ部屋」へ送り込まれます。

   「(タコとは)これはすなわち自分で自分の身を食い詰めるタコの習性からきた名称で、おのれの不了簡や一夜の酒食で骨身を削る苦役の世界へ落ち込んでゆく、その境涯があたかもタコの習性に似ているというのである」

   「北海道の道路網はもちろん鉄道の敷設、築港、治水、灌漑工事、または鉱山開発にいたるまで、官営、民営を問わあらゆるず土木工事は、監獄部屋の人夫たちの血と汗、酷使と虐待と死傷の上になしとげられたのである」

   炭鉱夫の話もすさまじい。当時の産業の根底を担うエネルギー源だった石炭。その石炭を掘る仕事もまた、最下層の人たちが担っていました。九州では、親戚に炭鉱夫がいることは恥とされ、ひたかくしにしていたという話も載っています。

   小作争議、米騒動などの詳しい記録も、初めて知りました。在日朝鮮人と結婚したため、戦後だいぶたったっというのに、身内の結婚式に列席させてもらえなかったという女性の話も。

   数か月かけてやっと読了できた「日本残酷物語」。つい60~70年くらい前までの日本の姿を活写していますが、「タコ部屋」の話には今問題になっている「闇バイト」を、女工の過酷な労働は、ブラック企業の存在を思い出させます。決してなくなったわけではない「残酷」な「物語」。いまも私たちの一見不自由のない生活のすぐそばで、どんな悪質な事態が進行していることか。そう思うとぞっとします。

 

   

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映画「仮面の米国」

2025-01-03 22:24:37 | 映画とドラマと本と絵画

  1930年代にできたアメリカ映画。https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=10884 脱獄物の走りだと言われているそう。よくできた映画でしたが、みているのがつらくなるほど、いやな場面が続きました。

  主人公は戦地から帰還して故郷に戻り、出征前に務めていた地元の工場での勤務に就きます。しかし彼の望みは土木の仕事に打ち込むこと。戦争中の工兵としての経験を活かしたいと考えています。で、兄の反対を押し切って出奔。アメリカのあちこちで進められている大型土木工事の仕事に就きたくて、転々としますが、思わしい仕事は見つかりません。ほぼ文無しになったときに知り合った浮浪者らしい男に連れられて入ったバーで、浮浪者は突然店の主人に銃を突きつけ、強盗を働こうとします。戸惑う主人公に金庫から金を盗むよう指示しますが、やってきた警察官に殺されます。主人公は金を懐に入れて逃亡を試みますが、こちらも逮捕されます。

  前科なし、人を傷つけてもいないというのに、彼はなんと懲役10年という厳罰を科され、刑務所に送られます。その刑務所で、彼は他の囚人同様、両足に鎖をつけられ、重労働に従事させられます。重労働はつるはし一本で硬い岩盤を割るという作業。あるときは古い線路を壊す、という作業もさせられているので、囚人は当時のアメリカにとって重要な労働力だったのではないかと思われました。この過酷な労働の場面がすさまじい。

  主人公は耐えかねて脱獄。名前を変えて都市で土木建設会社に入り、頭角を現します。ジャンバルジャンみたいに、優良な市民になりつつあったその矢先、密告によってあえなく逮捕。そのあとがすさまじい。題名の「仮面の米国」とはこういうことだったのか、とおどろきます。

  本作は、この映画のモデルになった実在の人物(当時も逃走中だったそう)の証言によって作られたそうです。上映後、この人物が逮捕され重労働を科せられたジョージア州は、映画会社を訴えたそうですが、数年後には、チェーンギャングシステムと呼ばれる、囚人を鎖で拘束するシステムは廃止になったということです。暗くて苦しい映画でした。

 

 

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映画「桃さんのしあわせ」

2025-01-02 23:47:19 | 映画とドラマと本と絵画

  香港が舞台の現代劇。「日帝時代の生まれ」という桃さんは子供のころから、ある金持ちの家の使用人として働いている。時代が変わって、雇い主の家も大きく変化しているらしいのですが、桃さんは香港でマンション暮らししている当家の息子のために、家事全般をこなしています。桃さんのしあわせ - Wikipedia

  映画関係者らしい息子は、桃さんがきれいに洗濯してクリーニング屋から戻ってきたかのように丁寧にたたんであるシャツを着ることにも、桃さんが作った多彩の料理にも、一つ一つ感謝するとか驚くとかほめるとか、そういうことは一切なく、ただたんたんとあたりまえのように受け取っています。桃さんも、彼の生活にときには干渉しますが、台所で自分は立って食べ、決して雇われ人としての分を外すことはありません。

  息子はあるとき、桃さんを連れて映画の試写会へ。彼女は精一杯おしゃれをしているのですが、それが上着もアクセサリーもすべて「奥様」たちからのおさがりらしいと、なんとなくわかる。桃さんのはにかみ方がかわいい。桃さんはアメリカに住んでいる雇い主一家の子供たちにも人気があるらしい。老齢となった彼女の面倒を見るように、というのは死んだこの家の主からの遺言です。

  桃さんには血縁はおらず、つながりはこの家の家族だけ。でも、どちらの側も、雇人⇔雇われ人の位置から外れるつもりもなく、取っ払おうとすることもありません。この淡々とした関係が「桃さんのしあわせ」なのだろうな。 

  脳梗塞か何かで倒れた桃さんは、養護老人ホームへ移ります。しばしば面会に来る雇い主の息子は、彼女には自慢の種です。息子にとって桃さんは実の母親より気やすい仲のようなのですが、そのことはさしてこだわりを持っては描かれず、ただ、死期がちかづいている老メイドを、やさしく見守る様子がつづられます。

  

  

  

  

  

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交流館で親子講座「だっころん」~アンティマキの焼き菓子とスープの会開催

2025-01-02 00:04:37 | アンティマキの焼き菓子とパン

   先月中頃、豊田市交流館と社会福祉協議会稲武支所共催の「子育て講座だっころん」のプログラムのひとつとして、3年前からアンティマキの優しく易しい焼き菓子の会がどんぐり工房にて毎年一回開かれています。

   今年はその3回目。今回は甘いおやつではなくて、小腹がすいたときのごはん代わりにもなるおかずスコーンと野菜スープを作っていただきました。

   いつもは平日の開催なので、参加者は就園前の小さなお子さんとお母さんだけ。でも今年は家族にも一緒に参加してもらおうと、土曜日開催となりました。集まってくれたのは、就園前のお子さんとお母さんのほか、小学生のお兄さんお姉さん、おばあちゃんやお父さん、総勢26人ほど。

  メニューは、キャベツとちりめんじゃこのスコーンと、ニンニク塩こうじと野菜ジュースの重ね煮スープ。ひよこ豆を入った野菜たっぷりのスープです。重ね煮の順番を飛び越しそうになった私に、しっかり指摘してくれた小学生のお兄ちゃん。

  毎年この会でだけ出会う稲武の小さな子供たちと若いお母さん。ものすごく少子化になっていますが、それでもまだこうして集まってくださる方たちがいるのが、うれしい。

  お父さんも参加してくださったご家族。あとでお母さんからメイルをいただきました。この日の翌日、お子さんが、「今日もスコーン、作ろう」と言ったそう。で、作ったそうです。読んでて思わず微笑みました。

  右の男の子は、スープを二杯もおかわり。どの子も、野菜だけのスープをほぼ完食してくれたようです。

  油や砂糖、塩などの調味料の大切さや、食品添加物の話など、お子さんたちの食事をつかさどるお母さんたちが相手と思うと、いつもよりついつい、熱が入ってしまいました。

 

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