アンティマキのいいかげん田舎暮らし

アンティマキは、愛知県北東部の山里にある、草木染めと焼き菓子の工房です。スローライフの忙しい日々を綴ります。

映画「ナイロビの蜂」

2019-03-07 21:20:47 | イベント出店情報とそのほかのお知らせ
    アフリカを舞台にしたイギリス映画。主人公の外交官はケニアに駐在しています。彼の趣味は庭いじり。若い妻と幸せな日々をおくっていたつもりでした。

    しかし妻は、現地人医師とスラムをめぐり、貧しい人々が晒されている悲惨な現実をあばくべく、ひそかに活動しています。その悲惨な現実とは、先進国の大手製薬会社が、現地の患者たちに配る新薬にかかわる事柄です。その新薬、実はちゃんと動物実験がなされていないものもあり、薬を欲する人々に無料で投与することで人体実験をしている、というのです。貧しく、不衛生で、しかも免疫のない現地の人たちは、病気にとてもかかりやすくなっています。満足な医療を受けられない彼らに、無料で施される薬を拒否する理由はありません。

    妻と医師は証拠をつかみ、しかるべき相手に訴えるという手段に出るのですが・・・

    この映画が実話というわけではないようですが、作られた背景はあるようです。10年ほど前にカナダ人ジャーナリストが発表した「貧しい国々は被験者の宝庫」という論文が、公開されているのを見つけました。うまく実験に成功し、効果が認められた薬は、先進国で発売されますが、実験台になった貧しい国々の人々に使われることはまずありません。

     製薬会社のトップたちがゴルフに興ずるシーンからカメラが横にずれると、そこはスラム。ものすごい数の人たちとゴミの山が写されます。難民のテント村に大量の物資が空から落とされると、じきにやってくる馬に乗った盗賊たち。彼らは物資だけでなく、幼い子供たちもさらっていきます。兵士や売春婦として売る目的もあるのでしょうが、臓器売買のブローカーの手に渡すのかもしれません。

     最後はなんとかすかっとしますが、すかっとしない現実は続くのだろうな、とおもわれました。このところ、特に選んでいるわけではないのに、暗いのばかり見ています。見終わったあと、たまたまテレビで放映していた「シェルブールの雨傘」を途中からぼーっと見てしまいました。さして甘い映画ではなく、むしろほろ苦い映画なのですが、現実逃避するにはちょうどよかった。
    
      
コメント
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