アンティマキのいいかげん田舎暮らし

アンティマキは、愛知県北東部の山里にある、草木染めと焼き菓子の工房です。スローライフの忙しい日々を綴ります。

映画「キャラバン」

2022-01-02 16:23:25 | 映画とドラマと本と絵画

  しばらく前に見た、フランスとネパール、スイス、イギリスの合作映画。『キャラバン』 (werde.com)

  標高5000mのネパールの奥地ドルポに住む部族は、岩塩を切り出してヤクの背中に積み、キャラバンを組んで南の地方に出向き、生活の糧を得る。キャラバンに出ていた村の長老の息子は、事故にあって遺体となって村に戻る。長老は、息子の親友に深い恨みを抱き、若い村人たちが支持する彼にキャラバンの長を任せるのを拒みます。

  長老が頼みにするのは、息子の遺児。けれどもまだ幼過ぎるので、自分がリーダーとなってつらい厳しい旅に出ることを決意します。

  村の呪術師のお告げを無視して出発した若者グループより遅れて、お告げ通りの「吉日」に出発した長老と息子の遺児、その母たちの一団は、若者グループに追いつくために、「悪魔の道」との異名のついた非常に険しい道をたどります。人だけでなく、荷物をたくさん積んだヤクを連れての強行軍。崩れかけた道に石を置いて補強しながら進みます。非常に恐ろしい道。引き返すこともできません。

  カチカチのパンのようなものを食べて、先に進む彼ら。暖は、ヤクの糞を乾燥したものを燃やしてとります。雪に閉じ込められて先が見えなくなり、死の危険を覚悟するシーンも何度か登場します。遺児の母を演じた女優以外は、ほぼ現地の人たちが出演。でも、撮影はかなり過酷なものだったろうと想像されます。

  長老グループと遭遇した若者グループ。今度は、天気の急変を心配する長老グループが先に出発します。結局長老の予想通りに悪天候に見舞われ、一同は死に直面します。

  彼らの信じる、まじないや信仰、伝統といったものは、生活に密接につながり、生き死にに直結していることが、よくわかる描かれ方でした。1990年代の映画ですが、ほんとにあの当時まだ、こういう生活をしている人たちがいたのかとおもうと、驚きを禁じえません。

  このあたりの道の駅などで、「ヒマラヤの岩塩」というものをよく見かけますが、山中で切り出したのなら、車で運ぶことは不可能だろうから、やはりヤクなどの力を借りて運ぶしかないのだろうと思います。苦労の末、運ばれてきたのかと思うと、無駄にはできないな、と改めて思います。

  それにしても、真っ白のヒマラヤの峰々、真っ青の空、妖しいほど緑色に澄んだ湖が美しかった。木々のない風景が、私たちには不思議なものとして目に映りますが、映画の最後に、長老の遺児がはじめて木というものを見る話が登場します。木のない場所で生活する人々の驚くべき映像です。

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今期の醤油ができました。

2022-01-02 16:23:25 | 稲武醤友クラブ

  今期で5年めか6年めか、覚えていませんが、友人たちと私の自宅で醤油の醸造を始めて、結構な年になりました。

  春に仕込んで、冬に絞る。このパターンで、今年もなんとか大したことも起こらず、昨年末、無事絞りの日を迎えました。

   これが、9か月間醸造した私たちのもろみ。絞り師の井上時満さんが、見るなり、「あ、これはもしかしたら!!」。真ん中が他と違う。なめるとここだけ塩辛くない。「かびる寸前」なのだそうです。最後の最後にこんなことがあるなんて。

   「でも、大丈夫。カビ予備軍かもしれない、という段階だから」井上さんの言葉に安堵し、いつもどおり作業開始。湯を入れて混ぜ、適度の濃さになったら、絞りの袋に入れていきます。

   湯はかまどで。絞りの日の最初の仕事は、かまどに火をつけて、湯を沸かすことです。

   もろみを袋に入れて、平たくして積んでいきます。

    そして、上から圧をかけると、生醤油が出てきます。

   去年はまだ歩けなかったこの男の子。今年は興味津々で醤油の垂れるのを見ています。

  そろそろ、なめ始めそう。

  今期の醤油は、いつもと違って、ずっと同じ場所に置き続けました。いつもは、冷暗所にしばらくおいて、そのあと、外にある醤油蔵に移動していました。

  でも今年は、最初から外の蔵に入れて、周囲を黒い寒冷紗で覆い、1~2か月たってから寒冷紗をはがして、そのまま12月まで過ごしました。最初から外に置いた理由は、通気性。建物内部だとどうしても湿気がこもってカビが生えやすいように思い、最初から風通しのいい場所に置いてみたのでした。

  期待通り、今年は一度も白いカビは生えず、順調に梅雨と夏の時期を過ごしました。こころなしか、蒸発がはやくて、いつもよりドロッとしたもろみになった気がします。

  味はいい。塩辛さがたっていない。毎年、別の場所で作っている知人から醤油を分けてもらうのですが、彼女の醤油のほうが、いつも私たちの醤油より味がまったりしていておいしい、と思っていました。でも今年の醤油は、彼女たちの醤油に匹敵するおいしさになったかも。

   パンデミックのため、去年も今年も、以前のようなごちそうは作りませんが、お昼ごはんには、もちよりの野菜と昆布だしで汁を作り、地元のうどん屋・末広家の生うどんを用意。搾りたての生醤油をたっぷり入れて調味した、温かい汁と、生醤油をかけたうどんがことのほかおいしい。

  お昼からは、袋に残った搾りかすを取り出して袋を洗います。

   そして醤油のほうは井上さんが味を見て水を足し、大きな羽釜で加熱します。これで一年分の醤油の完成です。

   この日は、熱い醤油を桶に戻して作業は終了。

   桶の中の醤油は、こののち1週間から10日ほど静置して、上方が澄んでくるのを待ちます。

    9日後、メンバーが再度集まり、醤油の分配をしました。

    1升瓶にして32本強、取れました。メンバー4人の家族の1年分の醤油です。今年は、同じ作り方をしている他のグループいくつかと醤油の交換をして、味比べをしようと思います。

    毎年、使った塩、置き場所、仕込みの時期、世話の仕方、天候、気温などなどによって、味が微妙に違います。今年は、これまでで一番満足できる味になったと、一同自負。今期初めてメンバーに加わった友人は、いつもと全く同じ材料で同じ作り方をしたチャーハンが、搾りたての生醤油のおかげで、ぐんとおいしくなった、と喜んでくれました。

   私は、隣村の名倉の三川農園の無農薬有機栽培の新米五分搗きを土鍋で炊いたご飯に、生醤油をかけた生みたての平飼い名古屋コーチンの卵、有明海産の酸処理のしていない海苔をかけて食べました。質素だけれど、豊かなご飯がいただけて、うれしい限りです。

    

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