トライアングルの部屋

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勿忘草の咲く町で 安曇野診療記 夏川草介

2022-05-07 13:59:16 | 本 2022年
長野県松本市にある小規模な一般病院が舞台

高齢化社会まっしぐらの日本の医療の問題点

「死神の谷崎」と呼ばれている医者
八十歳を超えた患者は、全身状態にかかわらず
みんな看取りに持っていくとして有名

彼の言い分を聞いてみると
全部を否定はできないかも

繰り返す高齢者の肺炎に延々と抗生剤が使われることで
発生する危険な多剤耐性菌は、明らかに次世代の
医療にとって脅威

大量の寝たきり患者を抱えて過労死した若い医者

日本は山のような高齢者の重みに耐えかねて悲鳴を上げている
倒産寸前

限られた医療資源を的確に効率よく配分しなければいけない
そのためには切り捨てなければいけない領域がある

(こうは言っているが最後の方に
死神の谷崎が助かる可能性のある患者を放ってはおけないと
大学病院に転院する救急車に同乗していったシーンが書かれていた)

84歳の男性患者
一日中点滴につながれたまま、身じろぎもせずに横たわっている
首はのけぞるような形のまま動かず、ゆるんだ口元からは
涎が垂れて枕の上に糸を引いている

ほとんどが静止した世界

誤嚥性肺炎で施設からの入院

食事がとれない

胃ろうにするかどうか?

妻も息子にも先立たれ
今は孫夫婦が面倒を見ている

孫はやれることは全部やってほしいという

胃ろうか死かの二択

薬も処置具も山のようにあり
それぞれ使用法には詳細な説明書がつき
どんな治療をすればよいかのガイドラインも
無数に用意されている
しかしどこで治療を引き揚げるべきかの
ガイドラインは存在しない

大量の高齢者をいかに生かすかではなく
いかに死なせるかという問題

人間の死に触れたことがなく考えたこともないことからくる
死への無関心

ただ延命すれば幸せとは言えない

医者は家族にこう告げる

胃ろうはせず
抗生剤は期間を決め、人工呼吸器もつながず
静かに見守り、このままこの病院で看取りませんかと

かたや手術すればよくなる可能性があるのに
拒否する90代の女性

この気持ちもわかる



そんな難しい話の中に
主人公の研修医 桂が花屋の息子という事で
いろんな花が登場

サンダーソニア
秋海棠(しゅうかいどう)
別名断腸花

ダリア

山茶花

カタクリ

勿忘草  エゾムラサキ

白い勿忘草の花言葉は
私を忘れないでだけど
青い方は安易に口に出して言えるものでもない
としか書いてないから調べた
真実の愛でした
コメント
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