筒井康隆先生の『七瀬ふたたび』を初めて読んだのは中学校三年生の時だった。
人の心が読めるエスパー火田七瀬のシリーズは『家族八景』が第一部で、『七瀬ふたたび』が第二部。『エディプスの恋人』が第三部なのだけど、僕はなぜか第二部の『七瀬ふたたび』から読んでしまった。
読み始めてから、たちまちその小説世界に引き込まれてしまった。
やたらと心理描写がくわしい。素直にすごいなと思いながら読んだ。
『七瀬ふたたび』を読むまでは人の心が読めるといろいろ便利なんだろうなとぼんやり思っていたのだけど、人の心が読めるとかえって背負い込むものが多くなって苦労するんだなとよくわかった。
今でも心に残る小説だ。
(2013年2月7日発表)
この原稿は「小説家なろう」サイトで連載中のエッセイ『ゆっくりゆうやけ』において第222話として投稿しました。 『ゆっくりゆうやけ』のアドレスは以下の通りです。もしよければ、ほかの話もご覧ください。
http://ncode.syosetu.com/n8686m/