銀ステ根なし草

銀のステッキ旅行・スタッフの雑記帳

空飛ぶカバン

2013年11月16日 | 見かけだおしNのつぶやき
タイへ出発のスタッフから
「間もなく出発です!」との報告電話が関空からありました

慌ただしい出国前ですから
あれこれなしで簡潔に

「じゃあ気をつけてね」
が毎度の投げかけの言葉です

でもどうしても、今回は聞きたいことがあって
つい、言ってしまいました

「ところで、○○さんのスーツケースどうだった?」

「はい、しっかり最新のに変えておられました!」

あ~良かった、やれやれ

スタッフがいうには、関空に現われたお客様、
開口一番!
「これ見て、Nさんに怒られたから変えたのよ、このカバン」

すると別のお客様が
「あら、私もこれ、Nさんに買え!と言われて買い換えたの」 

買え!ってまた乱暴な・・・・そうだったかも?

ともかくおふたり揃って最新版の軽量スーツケースを持参されたと

この夏オーストリアにご一緒した先のお客様
関空で最初に目に留まったもの・・・

大きな革張りの立派なスーツケース!
どう見ても、高額の良い品
そして今や素敵なカフェに自転車と共に飾ってあるような
レトロ感充分な存在感さえある、
そうそう西洋の絵本に空飛ぶカバンみたいに出てくる、
そんなスーツケースでした

とっさに思いました
「アカン、こりゃ重いな」

しかも長い年月のうえ、車がまわらない
そして、重い

たいていこの手のスーツケースをお持ちのお客様は
こう仰います

「もう、この歳だし、海外は卒業
だから、買い換えるのはもったいないしね」

当時の私(4か月前)は駄目な添乗員でした

「そうですね、もったいないですね。
いまお持ちの鞄で問題ないですよ」と
あっさり答えるいい加減な添乗員(あれ!今もですか?)でした

ところが、そういうお客様にかぎって
「膝が最近ね~だから奮発してビジネスで!」
とリクエストされます

ここに盲点がありました

旅前に疲れてはもともこもない、
そこには、皆さん準備も十分万全なのです
でも、旅先で疲れることは・・・うっかり失念?

銀のステッキのお客様は
海外はそろそろ卒業しようか、とそんなお声(だけ?笑)の
方が多いのも事実です

でも、まさかもったいない精神で、
うん十年前から利用されるスーツケースのせいで、
現地で四苦八苦され、旅そのものが辛くなるとは・・・

かくいう私もそこまで想像できず

つい「大丈夫、もったいないですし」
と、ビジネスに乗るお客様に!そう言っていました

さて、その夏のオーストリア旅では・・・
荷物運びは、なるだけお手伝いしました
それは、もちろん平気です

でも、お客様はどうしても
「ゴメンね、ゴメンね、迷惑かけて」となります

あまりに気をつかわれるお客様に私は、言いました

「ゴメンは、もうなしにして下さい、
それよりこの鞄、これはあきませよ、
今いくらでも良いの(軽いの)売ってますから
買って下さい!」

鳩が豆鉄砲?

そのお客様はキョトンとして・・・

「でもAさん(他のスタッフ)は、重厚な良い鞄って誉めてくれたのよ」

もう、全くいい加減に!

「これは重いだけです!」追いうちをかける私

ちょっぴりシュンとされたお客様に
「いえいえ、骨董品としてはきっと価値がありますから」と
慌ててフォロー

「骨董品?」

全くフォローにならず


かくして、季節が過ぎ
この度の旅行で、先の方からいただいた

「これで怒られずにすむわね」
 (なんで!?)

銀ステの皆さん!
これは過去の私の手配上の経験で申し上げます

もったいなくても「スーツケース」選びは大事です
なんといってもお客様の身体ほど大きさがあります
軽くて、持ち運び便利が一番!
これはビジネス席に乗るより、格段安くで手に入る
旅の快適術です

鞄は空飛ぶ、軽いにかぎりますよ!

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貸切バス・オーダーメイド旅行のご相談は…
銀のステッキ旅行
TEL 0797-91-2260(平日8:30~17:00)
■公式ホームページ:http://www.gin-st.com
■銀ステ旅先案内人:http://ameblo.jp/arailuka
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壱岐・対馬で見つけた「旅の十か条」

2013年11月16日 | のほほん同志Aの日常
旅先での楽しみのひとつに、本を探すことがあります。

その土地の美術館や博物館、小さな空港の売店には
地域ゆかりの偉人伝や郷土史、地元新聞社が出版した本など、
街の大型書店では決してお目にかかれないような本が並んでいるものです。

昨日まで訪ねた長崎県、壱岐・対馬。
行く先々の売店で
必ずといっていいほど並んでいた冊子がありました。

小松津代司著 『宮本常一の足跡 壱岐・対馬を巡る』

何の予備知識もなくぱらぱらっと手に取ってみて、
「旅の十か条」という文字に目が留まりました。

民俗学者の宮本常一氏。

氏がまだ15歳だったころ、故郷の山口県周防大島を離れ、
大阪に働きに出ることになったときに、父親から送られたメモ書き。
それが「旅の十か条」として紹介されていました。

****** ***** *****
1.
汽車に乗ったら窓から外をよく見よ。
田や畑に何が植えられているか、育ちがよいか悪いか、
村の家が大きいか小さいか、瓦屋根か草葺きか、そういうところをよく見よ。
駅へ着いたら人の乗り降りに注意せよ。そしてどういう服装をしているかに気をつけよ。
また駅の荷置き場にどういう荷が置かれているかをよく見よ。
そういうことでその土地が富んでいるか貧しいか、よく働くところかそうでないところかよくわかる。

2.
村でも町でも新しく訪ねていったところは必ず高いところへ上って見よ。
そして方向を知り、目立つものを見よ。
峠の上で村を見おろすようなことがあったら、お宮の森やお寺や目につくものをまず見、
家のあり方や田畑のあり方を見、周囲の山々を見ておけ。
そして山の上で目をひいたものがあったら、そこへは必ず行ってみることだ。
高いところでよく見ておいたら道にまようことはほとんどない。

3.
金があったら、その土地の名物や料理はたべておくのがよい。
その土地の暮らしの高さがわかるものだ。

4.
時間のゆとりがあったら、できるだけ歩いてみることだ。
いろいろのことを教えられる。

5.
金というものはもうけるのはそんなに難しくない。
しかし使うのがむずかしい。それだけは忘れぬように。

6.
私はおまえを思うように勉強させてやることができない。
だからおまえには何も注文しない。すきなようにやってくれ。
しかし体は大切にせよ。30歳まではおまえを勘当したつもりでいる。
しかし30過ぎたら親のあることを思い出せ。

7.
ただし病気になったり、自分で解決のつかないようなことがあったら、郷里へ戻ってこい。
親はいつでも待っている。

8.
これからさきは子が親に孝行する時代ではない。
親が子に孝行する時代だ。そうしないと世の中はよくならぬ。

9.
自分でよいと思ったことはやってみよ。
それで失敗したからといって、親は責めはしない。

10.
人の見のこしたものを見るようにせよ。
その中にいつも大事なものがあるはずだ。
あせることはない。自分のえらんだ道をしっかり歩いていくことだ。

**** **** ****

島を出て働き、見聞を広めなさい。
そんな気風が氏の故郷にはあったのだそうです。

15歳だった少年は、のちに民俗学に進み、
戦前から高度成長期にかけて
日本の津々浦々を訪ね歩いては(泊まった民家は1200軒以上とも!)
「忘れられた日本人」を記録していくことになります。


初めて訪ねた壱岐・対馬。
イカも美味しかったし、温泉も気持ちよかったですが、
それ以上に嬉しかったのは、「旅の十か条」を見つけたこと。

そして、そのメモ書きをずっと胸に携えて
生涯を歩きつづけた魅力的な人物に出会えたことでした。


*写真は壱岐のイルカタクシーと「猿岩」です。

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