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銀ステ根なし草

銀のステッキ旅行・スタッフの雑記帳

「利休にたずねよ」

2013年11月24日 | 見かけだおしNのつぶやき
それはパリに行く飛行機の中でした
隣に座られたあるお客様が、一睡もせず
その分厚い本に対峙されていました

「対峙」・・・これは言葉として的確でないかも
ただ、仕方なしに
この長いフライトをやり過ごすための手段だった、
が、正解か

パリに到着し、席を立つ頃
その方のシートの下に、その本は置かれていました

どこかの有名ホテルのスリッパと同じに
無造作に置き去りにされようとしていました

その方は、私の問いに
「もう読んだから」
あっけなく、そう仰いました

本を捨てる

私には、とてもできない
雑誌や古本ならまだしも・・・

シートの下の本は、
どう見ても新刊で、
でも、余計な帯やカバーは外され、
活字そのまま、むき出しにされた本そのものが
放り出されていました

これから旅が始まります
荷物が増えることはご法度です

でも、手に取ってしまいました

それは・・・
元来、本が捨てられない性分と
きっぱり捨てた、そのお客様にとても興味があったからです

その分厚い本を手に取り、
そそくさとカバンにしまいこみました

これが4年も前のことです

すっかりその本のことは忘れていました

なぜなら、もったいない主義で拾った本
勝手に命を救ったと自己満足だけが際立ち、
あとは本棚の奥にしまい込み忘却の彼方・・・

しかしタイミングですね

何を思ったか、ある日、その黄色の本が目にとまり
カバーもなく、簡素な本を本棚の奥から引き出し

「そうだ、あのパリの旅で・・・」
懐かしさから、
「ま、読んでみようかな」という気になったのです

その本が「利休にたずねよ」でした

タイトルどおり千利休を軸に繰り広げられる
茶の湯の世界

面白い、率直な感想です

悲しいかな、お茶もお花の習うことなく
今日まできました

そんな私が、

一番感じ入ったのは・・・

冒頭の、秀吉をこきおろす場面です
口汚く、罵詈雑言を述べています

この小説の最初のクダリがこれでした

侘び寂びの心が、その後、物語の中で何度とちりばめられています
誰もが知る、利休のわび茶の世界

まだ読まれていない方もあるので、核心は触れずにおきますが、

死を前に、茶聖・千利休は、迷いの塊、
そう「人間だった!」と
確信したのです(なんてエラソーに)

このお話は、完璧に臭い本です

パリで出逢った本、そんな雰囲気で勝手に神格化していました
私のイメージする、千利休の達観した静寂の心

でも恐ろしく、人間むき出しの、泥臭い、煮えたぎる心の持ち主

生きるか死ぬか、
まさに戦国時代の物語です

こうなると、かの海老蔵が主役も納得か!

映画がいよいよ公開です

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