帰国から、はや2か月。
さすがにそろそろ添乗レポートを書かなければと、
ラオスでの写真を久しぶりに見返していて、吹き出してしまいました。
ツアーのハイライトに相違ない古都ルアンパバーンの夜明け前、托鉢の一コマ。
ガイドの好青年、カントン君が用意してくれた小さな椅子(一部、大きな椅子)にちょんと腰かけたお客さま。
私がカメラを向けているのにも気づかず、抱きかかえた籠に手をつっこみ、忙しく何かをこねくりまわしているのです。
お客さまの視線の先にあるのは、籠のなかの炊きあがったもち米。
これを指でまとめて団子大の固まりにしたものを、幾つも幾つも幾つも(!)作っているのです。
時計は朝の6時前を指しています。
じきに、お寺ごとに列をなして、オレンジ色の袈裟だけをまとった僧侶が喜捨を求めてやってくる時間です。
お坊さんとはいえ大半がまだ子ども達である僧侶の列が、多い時には数十人も絶え間なく、我々の前を通り過ぎていく。
そのときに、小さな固まりにしたもち米を托鉢僧に差し上げる。
しかも、列が滞らないようテンポよく。
皆さん、その準備に余念がないのです。
「あれ、私もう、もち米なくなっちゃった」
「あなた、固まりが大きすぎるのよ」
そんなやりとりと笑いのなか、1時間ほどの「托鉢体験」は無事、終了したのでした。
――その夜明け前のルアンパバーンでの時間を、今も折にふれ思い出します。
慣れぬなか、見よう見まねでやってみた「托鉢体験」を、ではありません。
今朝も托鉢に出ているラオスの僧侶と、毎朝もち米とおかずを寺院に運ぶというラオスの人たちのことをです。
今は26歳だというガイドのカントンさんは、11歳から13年間、僧侶だったそうです。
「大好きだったおばあさんが亡くなったとき、家族に説得されてお坊さんになりました。
お坊さんのとき、年に一度だけ、村のお母さんに会いにいきました。
でも、お母さんは女の人だから、ハグできない。それがつらかった」
「けれど、もっとつらかったのは、お坊さんをやめたとき。
服も、何を着ていいか分からない。ふつうの生活のいろんなことが分からない。
今も町ですれ違ったとき、分かりますよ。この人は前にお坊さんだったんだなって」
あのラオスでの朝、もち米を手でこねて差しだしているとき
――もちろんそれは観光客向けの「疑似体験」に過ぎないのですが――、
あとで不思議な感覚が体に残りました。
それは私自身、久しぶりに味わった、お金を介さない「もののやりとり」でした。
今の自分の生活を振りかえってみると、何かをやりとりするとき、そこにはたいていお金が介在します。
日々の仕事ではもちろんお客様からお金を頂戴していますし、
ホテルや食事先・交通機関などには逆にお金を支払っています。
仕事を離れた日常ではたいていがお金を払う側、つまり「消費者」。
毎日のスーパーでの買い物も、ときどきの外食やお茶も、
ライフラインであるガスも水道も電気も、ひょっとしたら馴染みの美容師さんとの「会話」だって――。
お金を払う側の自分と、お金をもらう側の自分がそのときどきで入れ替わって、
オセロの白と黒のように立場が逆転して…。
それが、今の日本の都市部で暮らす人たちの日常かもしれません。
「お坊さんはつらかった」と訴えるカントンさんは、最後に訪ねた寺院で熱心にお経をあげてくれました。
その声を聴きながら、私も久々に何かを祈りました。
お金を介さないことで、白と黒のどちらでもなかった托鉢の時間。
そんな時間があったことを思い出させてくれたのが、私にとってのラオスという国でした。
≪ほかにも、ラオスお気に入りのひとこま≫
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