四国は、とりわけ高知は、とにかく山深い
山奥の、そのまた奥にも、急な斜面にへばりつくように集落がある、
そう聞いてはいましたが、
実にその通りだったと、今回、秋葉まつりに行って思いました
私たちを乗せた小さな車は、
切り立った山々の稜線が幾重にも重なる山道をどんどん走り続け
大きなダムを越え、小さな集落を越え、さらに進むと、
突然、人だかりが見えました
「あれ、着いたん?」
「あ、あそこ、上見上げて!祭りの行列!」
お客様が車の窓越しに上を見上げると
なんと、急な斜面にぐねぐねと細い歩道が伸び、
その歩道に、鮮やかな衣装をまとった子供たちにひょっとこ、
先頭には長さ6mはあろうかという「鳥毛」をもった男が列をなしています
車を降りて、ふたたび見上げると
ダイナミックな高低差で広がる集落の中に
ポツン、ポツンと家があり、茶畑があり、
道は上へ上へと伸びています
この小さな山間の集落で行われるのが
土佐三大祭りのひとつ「秋葉まつり」なのです
人口百名足らずの集落で、総勢二百名近い人で行列をなして祭りをおこなうのです
実はこの秋葉まつり、コロナで中止が続き、今年3年ぶりの開催でした
私たちは観客として、祭り開催を願うのみです
でも、実行する側としては、苦渋の決断だったでしょう
〈秋葉まつりの花形、鳥毛ひねり〉
「ここ2年中止が続き、子どもたちの練習もままならず、
失敗もするかもしれません、十分な演技をお見せできるかどうかも分かりません
でも限られた時間の中で、皆で一生懸命練習し、準備をして、秋葉まつりを迎えたい
その思いでおります
今年も中止する考えもありましたが、本年の奉納行事を中止すると
次世代への継承に大きく影響するので、なんとか開催し、
今年の秋葉まつりをしっかり完結させることによって、
この危機を乗り越えなければと思っています」
祭り保存会の方は、そんな言葉を綴っておられました
その思いを受け止めて、秋葉まつりを見物しました
のどかな里山集落の風景と、お囃子の音、ひょっとこの「ホッホーイ」という甲高い声
誰もが笑顔です
祭りが春を呼んできました
「祭り自体はあと何年か、続けようと思えば続けられる
でも、肝心の集落が現状あと何年もつか、、、
ここは限界集落です
集落自体が消滅しては、祭りを行っても意味がありません」
そんな懸念もあります
でも、今日この日、村民の数を超える人たちが祭りにかかわり
さらにそれ以上の人が祭りを見物しに来場し
故郷の祭りと、都会から帰ってきた人も多いでしょう
秋葉まつりに心を寄せる人が、こんなにもたくさんいるのです
祭りは人を呼びます
そして、その地で文化を根付かせるのです
地方は厳しい現状であるに違いありませんが、
来年も、ひょっとこの「ホッホーイ」という甲高い声が
この集落に響き渡ることを願っています
〈土佐山の星空〉
〈土佐は文旦の季節です〉
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