「私」は賑わう店の店頭にい
ました。そこは実際にボラン
ティアをしているチャリティ
ーショップで、店のレイアウ
トもレジも本物どおりです。
「私」は中東系と思しき3世
代家族を相手に、彼らの買い
物を手伝っていました。若い
娘風の人だけが片言の英語を
話し、大人数で和気あいあい
です。民族的な習慣なのか、
値切ることだけは忘れず(笑)
苦笑いしながら商談をまと
めいざ支払いとなりました。
マウスを操作しスクリーン上
の3ドルを押すと、ネットが
切れそうなのかクルクル回る
信号が出て画面が変わりませ
ん。それが何回か繰り返され
先に進めず、先程までレジを
打っていた人を呼びました。
「今朝からずっとそうですよ」
やってきた若い男性は日本語
でそう言いました。日本人男
性がボランティアとしていた
ことはなく、彼は架空の誰か
でしたが慣れた感じでした。
「それは大変だったでしょう」
「そうです。時間がかかるし」
と男性ははきはき言いつつも
「レジが合ってないかも、と
眠れない日もあるんですよ」
とさらりと言いました。ボラ
ンティアがそこまで悩む
驚いて返事に窮していると、
「でも池上さん(仮)に、そうい
うことはよくあるから気にす
るなって言われて、少し気持
ちが楽になったんですけど」
池上という知り合いの実名が
出てきて、私たちには共通の
知り合いがいるようでした。
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英語がほとんど話せない中東
系3世代の逞しさと、英語が
話せても過敏なほど繊細な日
本人男性の対比が鮮明な夢。
本人の責任感の強さもさるこ
とながら、間違いを許さない
減点主義社会から来た人が、
できることを認める加点主義
社会の中に忽然と現われた
のを目撃した気がしました。