京呉服わき ごふくや日記

着物って楽しい!
呉服屋の女将の独り言?楽しいことや裏話、思うままに・・・

解体工事

2009-01-26 09:28:58 | 仕事
先週の半ばから 店の隣のお家の解体工事が始まりました。

今日は朝から着付のお客様があったので、その仕事を済ませて
あとはお店はお休みさせていただきます。

解体工事で地響きしたり、重機のすごい音がすることもあって
昨日今日と連休させていただき、中で事務的な仕事を集中して
やっています
(でも、お休みでも何か急な御用のときはお電話下さいね)

お隣は引っ越していかれたのですが、今まで暮してきて思い出がある
家があっという間に解体されていくのを見るのは、寂しいだろうな・・
と人事でも感じます。


そして解体を見ていて、つい感じたことがあります

何でも、壊してみると表面から見えないものが見えてきます。
たぶん建物でも、時々問題になる手抜き工事なんかもわかるのでしょうね。
逆に、丁寧な仕事がしているな・・と関心することもあるのでしょう。

着物もそうです。
寸法直しや、洗い張り、染め替えなどでお着物をほどいてみると
いろんなことを発見します
最近は時間がないので、解くことは専門の方にお任せしていますが
以前は、勉強になるからと、よく解きものをしました。

解いてみると、仕立がプロか素人かわかったり、雑な仕事・丁寧な仕事、
縫い目や印の付け方でもこんな風にしてある・・と驚くことがあったり。

何度も縫い直して、丁寧にハギが入っていたり、繕っていたりするのを見ると
大切にして着られてきたんだなと感じます。

お直しものもよくお預かりしますが、ほどいてみてから
大慌てすることも時にはあります。

金加工のお振袖をほどいてみたら、
金の置いてある部分の生地がぼろぼろになっていて
補強をしてお仕立てしたことがありました。

また、お店を始めたころだったと思いますが
道行の仕立て直しをお預かりし、勉強に・・とばかりに私が解いたのですが
ミシン仕立てで、襟の部分にいっぱい切り込みがしていて、
芯がのりで張ってあって
洗い張りして元通りに出来上がるのかと、泣きそうになった経験があります。
このときは、仕立屋さんが丁寧に縫い直して下さってことなきを得たのですが
お直しものに関しては、
よほど慎重にお預かりしないと大変なことになると身にしみました


正直にいうと、お直しものは手間とリスク、それに利益を考えたら
割に合わないのかもしれません・・
仕立屋さんも汚れや傷みのある場所を繰りまわしてくれたり
生地の弱っているところは補強してくれたりと、
新しいものを縫うより大変だと思います

新しいものを、買っていただきお仕立てしてお納めするのは楽ですが
お直しものは、とても勉強になり
おかげでド素人だった私はいろんなことを覚えました

壊された古いお家はほとんどの場合、元に戻りませんが
着物はまた生き返ります。
元の姿にもなり、形を変えることもあります

古布のお細工物を習っていると、ほんとに最後の最後まで布を
大切に使い切ることを教わります。
昔の人は、着物を解くとき、なるべく糸を長く切らないように解き
弱ってなければ、またその糸で縫い直したとききます。


お直しものは、確かに神経を使いますが
物を大切にするということ、忘れてはいけないと思うのです




コメント (2)
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