アートセラピー「心のお絵かき」の世界

アートセラピストで妻で母で女の、楽しく豊かでゆるい人生後半日記。

カラヴァッジョ

2010-03-10 14:56:57 | 美術・芸術
さて、画像左側はカラヴァッジョ。
後世の多くの画家たちに影響を与えた、イタリア・バロックの天才画家です。

私も今回は、気合いを入れて見ました。

「洗礼者 ヨハネ」
宗教画において必ず描かれる「ヨハネ2点セット」の羊と杖から、これが洗礼者ヨハネだってことは
わかるんだけど・・・

荒れ野で修行を積む、厳しい表情のヨハネのイメージとはずいぶん違います。

なんともいえない、涙で潤んだような目をしていました。
「うーんんん・・・!」
と唸ったきり絶句してしまいました。

すごいのですよ、人間の悲しみみたいなものが、ヨハネの体からあふれちゃってて。

主人も一緒に見ていたのですが、列から離れて歩き出しながら、私たちはほぼ同時に
「あの目が・・・!」
と言いました。

これは、私たち夫婦が気が合うとか仲がいいとかではなくて、たぶんみんな感じることじゃないかと
思います。

絵描きの中には、レンブラントやゴッホやモディリアニみたいな「破滅型」巨匠が
けっこういますけど、このカラヴァッジョも、酒やら賭博やらにまみれ、あげくのはてには
殺人まで犯し、逃亡の末に亡くなったのだから、「破滅型」の中でも超トップクラスだと思います。

それでも、歴史の中で、闇に葬られることなく、彼の絵は輝き続けたのです。
絵の力ってすごいね。

たぶん、カラヴァッジョは、破滅型の画家にしか見れないものを見、描けないものを描いたんだと思う。
闇に生きる人間の中にある聖なる光。