一通りの質問が終わると、先生は立ち上がり、血圧計を出しながら
「さあ、お手伝いしましょう。」
とおっしゃいました。
お手伝い?
何を? 私が血圧計るお手伝い?
割に小さい声でさらっとおっしゃったので、もし他の人が聞いたとしても、
聞こえなかったり、気にせず聞き流してしまったりしてしまうかもしれません。
でも、私にはその「お手伝いしましょう」が、引っかかりました。
診察がどんどん進んで、先生のお話が終わって、待合室で会計を待っていた頃になって
ようやくわかりました。
先生は、私にというより私の身体に言ったのです。
「身体さんが、良くなろうとがんばっているのをお手伝いしましょう。」って。
そういう意味だったのだと思います。
そうして、私の脈をみたり、舌を見たり、足首や腕を押したり、お腹や背中をさすったりしながら
私の身体の声をじっと聞いていらしたのだと思います。
診察室には、検査の機械も無ければ、パソコンも無かったように記憶しています。
ベッドとテーブルと血圧計だけ。
先生自身が機械のようになって、どうやったら一生懸命がんばっている私の身体のお手伝いができるか考えていた、
あるいは身体と相談していらしたとしか思えません。
先生はどこまでも、主人公は私の身体だと知っていらしたのです。
たとえ病んでいたとしても、弱っていたとしても、主人公は患者さんの身体。
「身体は、それこそもう一生懸命、本人を助けよう生かそうと必死でがんばってくれている。
その働きを信頼し尊重しないでどうします? 私は医者として、そのお手伝いをするだけですよ。」
そんな感じ。
相手の患者さんとその身体への、すごい敬意や愛情を感じませんか?
私は、とても感じました。泣きそうなくらい。
私の身体だって、それを感じて喜んだに違いないと思うのです。
「やっとわかってくれる人が診てくれた。がんばろう! 元気になろう!」って。
実際、私はあれから、自分の身体の内側から、なにかこう元気が蘇るのを感じるのです。
つづく
「さあ、お手伝いしましょう。」
とおっしゃいました。
お手伝い?
何を? 私が血圧計るお手伝い?
割に小さい声でさらっとおっしゃったので、もし他の人が聞いたとしても、
聞こえなかったり、気にせず聞き流してしまったりしてしまうかもしれません。
でも、私にはその「お手伝いしましょう」が、引っかかりました。
診察がどんどん進んで、先生のお話が終わって、待合室で会計を待っていた頃になって
ようやくわかりました。
先生は、私にというより私の身体に言ったのです。
「身体さんが、良くなろうとがんばっているのをお手伝いしましょう。」って。
そういう意味だったのだと思います。
そうして、私の脈をみたり、舌を見たり、足首や腕を押したり、お腹や背中をさすったりしながら
私の身体の声をじっと聞いていらしたのだと思います。
診察室には、検査の機械も無ければ、パソコンも無かったように記憶しています。
ベッドとテーブルと血圧計だけ。
先生自身が機械のようになって、どうやったら一生懸命がんばっている私の身体のお手伝いができるか考えていた、
あるいは身体と相談していらしたとしか思えません。
先生はどこまでも、主人公は私の身体だと知っていらしたのです。
たとえ病んでいたとしても、弱っていたとしても、主人公は患者さんの身体。
「身体は、それこそもう一生懸命、本人を助けよう生かそうと必死でがんばってくれている。
その働きを信頼し尊重しないでどうします? 私は医者として、そのお手伝いをするだけですよ。」
そんな感じ。
相手の患者さんとその身体への、すごい敬意や愛情を感じませんか?
私は、とても感じました。泣きそうなくらい。
私の身体だって、それを感じて喜んだに違いないと思うのです。
「やっとわかってくれる人が診てくれた。がんばろう! 元気になろう!」って。
実際、私はあれから、自分の身体の内側から、なにかこう元気が蘇るのを感じるのです。
つづく