実録 がんばれ若者。 そして親 その５

入学手続き書類

希望学科・・・マンガ科

マンガ科？　
マンガ科？？

ってことは、漫画家

母の描いていた、ステキなデザイナー事務所の夢は、がらがらと音をたてて崩れました。

漫画家なんて、絶対なれるはずない　
成功するわけがない

漫画家志望の子なんて、星の数ほどいるにちがいない。
ちょうど、歌手やタレント志望の子が、星の数ほどいるのと全く同じように・・・。

長男が成功するなどと、これっぽっちも考えることができず、それどころか、落ちぶれた彼が、まともな人生から脱落し、ホームレスになっている姿を連想し、全身から血の気が引く思いの母。

でも、もう彼を止めることはできませんでした。

親族からは、激しい攻撃を受けましたよ。

たとえ、自分がどのような気持ちであるにしろ、外の嵐から我が子を守るのは、親の努め。
夫も私も、矢面に立ちました。

長男の人生は、彼が決めればいいんです。
ていうか、そうしなければいけないんです。

矢面に立ち続けるうち、私も次第に腹が決まってきました。

とことん、やればいい。
とことんやったとき、はじめていろんな事がわかるだろう。

とことん、やれ。
がんばれ、若者。

不安も、もちろんあります。
　
あの夏の日
「本当にやりたいことがあるのなら、お母さんに言ってごらん。」
と、言わなければ良かったのかも、と何度苦しんだことか・・・。

そのたびに、夫に叱りとばされる。
「何言ってるんだ！　最高の決断をしたんだ。　誰も間違ってない！」

毎日毎日、昼も夜も深夜も、わき目もふらず、ひたすらマンガを描き続ける長男。
そして、ひたすら見守る親。

真剣ですわ、ある意味、全員。