アートセラピー「心のお絵かき」の世界

アートセラピストで妻で母で女の、楽しく豊かでゆるい人生後半日記。

長谷川りん二郎展

2010-05-01 16:30:57 | 美術・芸術
この絵、可愛いネコさんですねー。
タローさんというのだそうです。

ふっくらと伸びるネコの体と、グレイと深い赤茶色が、モダンでしかも暖かい絵です。
でも、よく見ると、髭が片方しか無いのですよ。(画像だと光って見えにくいですね。
すみません。向かって右側に、白い筋が見えるかしら?)
それも、なーんかとってつけたような髭ね。

りん二郎は、じっと対象物を見つめて描いた画家です。
見なければ描けない、という人だったようです。

そして、描きたい気持ちにならなければ描かない人でもあったようです。
だから、遅筆で寡作。

タローさんの絵も、ですからゆっくりと描かれたのですが、同じポーズはなかなかしてくれないし、
だんだん年がたつと、たとえ同じポーズで寝てたとしても、ネコも年をとるから、同じ雰囲気には
ならなくなってきます。

そうこうしているうちに、タローさんは病気になり、やがて亡くなってしまいます。

見ないと描けないりん二郎氏は大変困り、手元にあったデッサンを元に、なんとか半分だけ
髭を描いて、何年もさんざん待たせてしまったコレクターに、やっと作品を手渡したとか。

長谷川家は、文筆家の家系だったようで、りん二郎も、絵も描いたけれど文章もおもしろいのです。

このタローさんの絵の横に「タローの履歴書」という文章が一緒に展示されていまして、それが
とってもおもしろいの。

なんでもタローさんは、睡眠研究株式会社の社長さんで、かつ、万国なまけもの協会日本支部名誉顧問
なんだそうだ。
えらいんだね・・・

こんな感じで、長谷川りん二郎さんの絵というのは、ものすごく緻密に描写されているんだけれど
なにか、時間や空気が止まっているような不思議な空間で、しかも、すごくリアルを追求して描いている
はずなのに、なにか暖かいメルヘンやユーモアを感じる、すごく不思議な魅力を持つ絵なのです。

どの画壇にも属さず、その実力とは裏腹に、マイナーな存在だったようですが、これを機会に
ファンが増えるかもしれませんね。

とても良い展覧会だと思います。
会期は6月13日までです。


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