11月30日午後7時より、大阪城公園前のいずみホールにて宋和純さんのピアノリサイタルが行われました。
この演奏会は「新進演奏家育成プロジェクト リサイタル・シリーズ OSAKA 8」の一環で行われました。
3歳よりピアノを始め初級、中級と民族教育を受け、京都市立音楽高等学校を2003年にに卒業した後、
同年パリ国立地方音楽院に入学。2006年同音楽院高等課程に合格し、2008年に1等賞を得て修了。
国家音楽高等研究資格を取得し、2008年帰国しました。
幼いころから、色々なコンクールにチャレンジしそのたび上位入賞を果たしたばかりではなく、
フランスにて、レオポール・ベラン国際音楽コンクール第1位を獲得するなど数々の栄誉に輝きました。
いずみホールは写真撮影禁止なので演奏写真は撮れませんでした。
午後7時丁度にリサイタルが始まりました。シルバーの素敵なドレスに包まれ、宋和純さんの演奏が始まりました。
ハイドン・リスト・バッハ・プロコフィエフ・ベートーベンの曲が優雅に演奏されました。
ピアノの美しい音色が心に沁み渡ります。まるで清らかな小川のせせらぎのように、時には鈴の音のように、
彼女の美しい演奏を聴きながら私はいつしか10数年前、彼女が中学2年生だったころを思い出していました。
幼いころからピアニストになる夢を叶えるため、他の友人たちが楽しく遊んでいるときも練習を休むことなく続けていた彼女、
クラブ活動には参加できなかったけれど、芸術競演大会には声楽部の合唱の伴奏を引き受け、金賞へと導いた彼女、
その時の合唱曲が「アリラン」でした。その時の体験談を作文に書き、作文コンクールでも見事入賞した彼女、
いつも物静かに、決して出しゃばることなく、それでいて誰よりも友人たちを大事にした彼女、
卒業式の日、感謝の言葉を添え、すべての先生方に真心の手紙を贈った心優しい彼女。
そんな彼女が5年間のパリ生活を無事終え、日本に帰ってきたのです。その後も修練を重ね今日の晴れ舞台を迎えたのです。
たとえ1年であっても彼女の担任であった私が嬉しくないはずがありません。
予定された演奏が終わりアンコール曲として「アリラン」を演奏すると彼女が言った時、
一瞬「おおー」という歓声が沸きあがりました。私の胸にも感動のさざ波がおこりました。
ウリナラの名曲、同じ民族の一員なら誰でも知っている「アリラン」、
彼女と私にとっても特別な思い出があった「アリラン」を聞きながら、ついに私は涙をこらえることができませんでした。
60数年の人生を送りながら嬉しいことも多々ありましたが、教え子が成長した姿を見ることほど嬉しいことはありません。
これからも彼女を陰ながら応援していきたいと思います。