氏はマイクを片手に、「政府の6人会員の不承認を支持する」という、声明文を読み上げます。声明文の共同提案者として紹介されたのは、次の各氏でした。
伊藤隆 ( 東京大学名誉教授 ) 小堀桂一郎 ( 東京大学名誉教授 )
田中英道 ( 東北大学名誉教授 ) 渡辺利雄 ( 元拓殖大学総長 )
馬渕睦夫 ( 元防衛大学教授 )
「日本学術会議は、我が国喫緊の課題である、軍事研究を抑制する声明を発信するなど、」「一種の学問統制機関として、機能している。」
声明文なので、語調が堅くなっていますが、米中対立という、緊迫した国際情勢を思えば、気になりません。まして氏の訥弁など、なんの気にもなりません。
「我が国の置かれた、国内外の環境を考えるとき、」「かかる状況は、直ちに改善される必要があります。」「こういう時、一部研究者等の中から、このような間違った意見が唱えられ、」「世論を誤らせようとする状況は、学問研究に関わる者の良識に照らし、」「憂慮に耐えません。」
GHQに作られた「日本学術会議」が、いまだに占領政策を守り、日本の防衛を妨げているのですから、批判されて当然です。氏はここで、声明文を読むのを止め、会場に語りかけました。
「あらゆる科学技術の発展は、軍事研究の中で生み出されています。」「皆さんが使っているコンピュータもそうですが、」「進んだ技術のほとんどが、そこから生まれています。」
コンピュータだけでなく、携帯電話も、スマートフォンも、レーザー光線も、人工衛星も気象衛星も、民生用なのか、軍事技術か、現在では区別できなくなっています。
「それと同時に、国を守るということは、明らかに必要なものであるわけで、」「それを外したり、拒否したりするような人間がいるのなら、」「その人は、国から出て行く以外ないですよね。」
大きな声で訴え、感情をあらわに喋る人間もいますが、氏はいつも通りの顔で、いつも通りの声です。しかしその言葉は、これまで聞いたことのない、強い批判なので、私には氏の真剣な気持ちが伝わりました。
「学問にとって必要なものを、最初から拒否するというのは、」「通常の人間ではないんですよね。」「国民でもない訳です。」
そして、氏はまた「声明文」の朗読を続けました。
「わが国において、軍事という研究領域における、科学的認識を深めることは、」「わが国の科学の発展に寄与するとともに、外国による侵略攻撃を予防し、」「自由な学問研究の保証された、わが国の安全を保障することなどに資するものである。」
「日本学術会議の姿勢は、自由な学問研究の擁護とは対照的に、」「学問統制の性格を持つと同時に、」「わが国の、自由な学問研究の安全自体を危機に晒す、」「性格を持つものと、言わなければならない。」
「学問の自由」を守るためという、日本学術会議の声明が、返って「学問の自由」を統制しているという意見ですから、これほど厳しい批判はありません。反日左翼学者がする、議論のための議論でなく、強弁でもなく、むしろ常識の話です。学者には学者の反論があるわけですから、マスコミもこうした意見を報道すれば良いのです。
これが「両論併記」ですが、彼らは決してそんなことはしません。アメリカの大統領選挙で米国メディアは、バイデン陣営の応援記事ばかり書いていると、多くの人が驚いていますが、何を驚くことがありましょう。日本のマスコミは、戦後76年間、反日左翼を称賛する偏向記事ばかり報道しています。
「一方で日本学術会議は、学問研究の自由を欠く、軍事大国たる外国の国家機関、」「その機関と関係のある研究機関との間で、提携関係を結ぶに至っている。」
おそらく氏が述べたかった、日本学術会議の矛盾点の一つのが、これではなかったかと、私は考えます。建前と本音が、こんなにも違っているのに、マスコミがきちんと報道しないから、国民は何も知りません。
「それは、我が国の学問的知見及び、科学技術が、」「外国により、軍事的に利用される道を開くものである。」「こうした行為を、声明文と重ねてみるとき、」「わが国の犠牲において、外国の軍事研究を助長する行為と評することも、」「決して不可ではない。」
現に今回会員として不承認となった、立命館大学・松宮孝明教授は、中国人民大学法学院の名誉教授です。調べればもっと色々出てくるのでしょうが、これだけみても、田中氏の指摘が的を射ていることが分かります。
「法に基づくわが国の行政機関が、かかる行為に及ぶことは、背理と言う以外ない。」
まだ少しありますが、ここで氏の話の引用をやめます。どうしてこのような、おかしな事実が改められないまま、まるで「正義の機関」でもあるかのように、日本学術会議が存在しているのか。自衛隊員の入学を拒否する大学が、中国の軍人は受け入れている矛盾など、なぜこんなことが罷り通っているのか。
田中氏のように、勇気のある学者の発言を知ったのですから、これを機会に私たちは、もっと考える必要があります。次回は、裏付けのデータとして次の二つを紹介します。
1. 日本学術会議と中国科学技術協会間の協力覚書
2. 日本の大学 ( 45校 ) が、中国の軍関連大学と交わしている協定