ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

秋本議員の収賄事件 - 4 ( マスコミの集中攻撃 )

2023-09-04 20:31:21 | 徒然の記

〈 1.  自民党秋本議員の収賄事件・・風力会社との癒着 競走馬組合への出資 ( 9件 ) 〉

 8月6日の記事の見出しは、大きな活字が事件の大きさを示しています。

 「国会質問 謝礼か否か」「競走馬組合の実体焦点に」「秋本議員不透明資金」

 競走馬組合については後ほど説明しますが、国会質問に関する記事を先に紹介します。

 「2022 ( 令和4 ) 2月、衆院予算委員会第7分科会に立った秋本氏は、国の洋上風力発電の事業者選定ルールに的を絞り、見直しを求めた。〈しっかり見直す必要があるんだろうと思います。〉」

 「秋本氏の質問は、日本風力開発 ( 社 ) のような独立事業者の要望に沿うものだった。」

 「国会質問は ( 国の ) 政策を直接決定するものではないが、過去の裁判では、議員の職務権限だとされている。」

 記事は過去の事例として、元労働大臣が賄賂を受け取って代表質問した事件と、当時の検察の見解を紹介しています。

  ・体表質問は、政党政治の根幹をなすものである。

  ・( 賄賂を受け取っての代表質問は、) 国会の威信を失墜しかねない重大な犯行だ。

 秋本氏の犯罪はまだ確定していませんので、記事は過去の事例を紹介するにとどめ、東京地検特捜部が、重大な関心を持っている「競走馬組合」について言及しています。

  ・競走馬組合の実態は、秋本氏の管理下にあり、日本風力開発からの資金振り込みは秋本氏の金だった。

  ・組合への資金提供は、2021 (令和3 ) 年から、2022 (令和4 ) にまたがり、国会質問のあった2022 (令和4 ) 2月に隣接する。

  ・提供された資金は、二千数百万円にのぼる。

 検察の主張に対する同社弁護士の説明を、別の日の記事から紹介します。

  ・競走馬組合は、秋本氏の個人管理でなく、塚脇社長との共同管理である。

  ・資金は希望する馬を獲得するための競りの代金、馬の餌代である。

  ・洋上風力発電の陳情に結びつくものではない。 

 容疑が立証されていない微妙な段階なので、共同通信社の報道も慎重で、元検事だった弁護士の意見を同時掲載しています。 

  ・塚脇社長側の主張通りならば、賄賂と言えるかは問題となる。

  ・立件には、秋本氏が競走馬組合をどの程度支配していたかの解明が重要だ。  

 これ以上記事を紹介するのは止めますが、この事件が教えてくれたマスコミの力について、述べておきます。

 8月4日から17日まで、同氏の顔写真入りで連日大々的に報道しました。その経過を並べますと、次のようになります。

  8月  4日 記事 1件 ・・報道第一日目 社会面に顔写真入り

  8月  5日 記事 7件・・報道二日目 一面トップ 政治面トップ 社会面トップ 顔写真入り

  8月  6日 記事 2件・・政治面 社会面 秋本氏自民党離党

  8月  7日 記事 2件・・政治面  野党議員辞職要求

  8月  8日 記事 2件・・政治面 社会面 競走馬組合・秋本氏の単独管理判明 

  8月 10日 記事 1件・・政治面  国会質問と資金疑惑関連記事

  8月 12 日 記事 1件・・社会面  塚脇社長・検察主張の賄賂を受け入れ

  8月 13日 記事 1件・・社会面  塚脇氏の心境・苦渋の決断・力関係に負けた

  8月 15日 記事 1件・・社会面  秋本氏・公選法抵触の恐れ

  8月 17日 記事 1件・・政治面  公募基準改正、秋本氏関与か

 もしかすると、この事件で氏の議員生命が断たれたのかもしれません。現在は自民党を離党していますが、ここまでマスコミに集中攻撃されますと、次回の選挙での当選は難しくなります。紹介したのは千葉日報の記事ですが、おそらく同じ時期に共同通信社の全国配信記事だけでなく、NHK、朝日、毎日、読売、産経とほとんどのマスコミが事件を伝えたのではないでしょうか。

 不正を暴かれ、激しい批判と攻撃を受け、政界から消えた多くの議員たちが思い出されます。不正をした政治家が受ける当然の報いなのでしょうが、これがマスコミの力の証明でもあります。世論を掻き立て味方につければ、気に入らない政治家を葬り去ることができるという事例です。

 今回はこれで終わりにせず、政治家については、別の見方があることを紹介しようと思います。スペースが足りなくなりましたので、続きは次回とします。

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秋本議員の収賄事件 - 3 ( 風力発電事業への政府方針 )

2023-09-04 14:58:50 | 徒然の記

〈 1.  自民党秋本議員の収賄事件・・風力会社との癒着 競走馬組合への出資 ( 9件 ) 〉

 9月3日現在、秋本議員の事件はまだ捜査中で結論が出ていません。伊藤貫君の動画で教えてもらったのは、意見が合わないからと言って言いたい放題の酷評をすると、逆効果になるということでした。汚い言葉で侮蔑すると、侮蔑している本人に疑問が持たれ、意見が聞かれなくなります。

 伊藤貫君の雑談には一面の事実がありましたが、酷評が過ぎるため、却って自民党を弁護したくなりました。秋本議員の事件についても、同じことが言える気がしています。「盗人にも3分の理」の言葉通り、千葉日報の記事をよく読みますとそれなりの理由が見えます。私が今後の選挙で氏に投票することはありませんが、事実の整理だけはしたいと思います。

 青山議員の「僕らの国会」と、月刊誌『WILL』の動画で聞いた話が正確でなかったことも、今回の事件で分かりました。

  ・風力発電装置の本体は、すべて中国製である。

  ・自衛隊の基地周辺に作られ、電波妨害をするだけでなく国防情報の収集をしている

  ・風力発電は環境破壊をするだけで、長期的に見ると日本にはデメリットだけが残る。

 しかし、風力発電事業に参加している「三菱グループ」での本体メーカーは、アメリカのGEでした。そうなりますと自衛隊の電波妨害や、国防情報の収集という理由が薄れてきます。また「三菱グルーブ」は将来、事業を国内の会社で賄える体制を作ろうとしており、中国に利益をもたらすことを目指していません。

 青山氏の説明が事実の一面だと知ったことも、事件の収穫の一つと考えています。日本の自前資源としてメタンハイドレートが、日本近海に無尽蔵に存在し、取り出す技術が確立すれば、高い輸送費をかけて石油と天然ガスを輸入しなくて済むようになり、逆に日本がメタンハイドレートの輸出大国になれるという説明でした。夢のような話が今だにマスコミに注目されず、経済産業省が優先順位をあげていない現実も、今回の新聞報道で知りました。

 政府と経産省はメタンハイドレートの開発に力を入れるより、風力発電に予算を投入し、これに三菱グルーブが協力している状況が連日の報道で分かりました。青山氏と政府・経済産業省の姿勢の熱意の差がどこから生じるかは、事件と別にこれからの検討課題です。今は、風力発電事業と秋本事件の関連が優先です。

 風力発電事業の市場規模は現在約4千億円ですが、2030年には約15兆円に拡大すると言います。記事では政府の姿勢を次のように解説しています。

  ・政府は脱炭素の実現に向け、洋上風力発電を再生可能エネルギーの「切り札」と位置づけている。

  ・国土が限られている日本では、太陽光の拡大に限界があり、原発再稼働の見通しも不透明である。

  ・洋上風力発電は、四方を海に囲まれている日本では容易に適地が確保できる。

  ・将来性に魅力を感じた企業が参入し、地方経済の活性化が期待できる。

  ・2040年には原発約45基分に相当する最大4,500万キロワットの洋上風力を導入する目標である。

 明確な政府目標があると知るのも初めてですが、青山氏が「僕らの国会」で語った、無尽蔵の自前資源である「メタンハイドレート」の開発に、経済産業省が力を入れていない事実が更に見えてきます。なぜそうなるのかについては、これも別途調べなくてなりませんが、記事を読んでもう一つ分かった大事なことは、洋上風力発電事業に関係しているメインの役所が、経済産業省だけでなく国土交通省もだったということです。

 秋本氏が国土交通省政務次官として支援した「再エネ海域利用法」には、次のような全国一律のルールが決められているそうです。

  ・政府は洋上風力の候補となる日本の海域を、「準備区域」「有望な区域」「促進区域」に分け、段階的に格上げしていく。

  ・この上で発電事業者を公募し、入札結果で事業者が決まる。

  ・入札参加には、政府が定めた評価基準や指針などのルールに従う必要がある。

  ・選定された事業者は、最長30年にわたり発電を許可される。

 具体的には次の7海域で環境影響評価 ( アセスメント  )を実施しているとのことです。

   1.  促進区域・・秋田県・能代市沖  秋田県・男鹿市沖  秋田県・本庄市沖

   2.  有望区域・・北海道・石狩市沖  青森県沖・日本海  山形県・遊佐町沖

   3.  準備区域・・青森県・陸奥湾

 8月10日の記事によりますと、上記1. 「促進区域」内の青色表示の2箇所が第一回の大規模入札となり、三菱商事を中心とした企業グループが1921 ( 令和3 ) 年12月に落札しています。

 12月の落札結果が公表されると、圧倒的な売電価格の安さから、三菱企業グループが独占したことが分かりました。大手ゼネコンの幹部は「業界全体に衝撃が走った」と語り、商機を逸した業界の一部からは不満が噴出し、業界団体が公募ルールの変更を求める提言をまとめたと書かれています。

 この時大きな不満を抱いた企業の中にいたのが、今回の収賄事件の主役となった「日本風力開発」(  塚脇正幸社長 ) です。8月6日の記事を読みますと事件の背景が見えてきますので、次回はこの記事を紹介します。

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