〈 1. 自民党秋本議員の収賄事件・・風力会社との癒着 競走馬組合への出資 ( 9件 ) 〉
8月6日の記事の見出しは、大きな活字が事件の大きさを示しています。
「国会質問 謝礼か否か」「競走馬組合の実体焦点に」「秋本議員不透明資金」
競走馬組合については後ほど説明しますが、国会質問に関する記事を先に紹介します。
「2022 ( 令和4 ) 2月、衆院予算委員会第7分科会に立った秋本氏は、国の洋上風力発電の事業者選定ルールに的を絞り、見直しを求めた。〈しっかり見直す必要があるんだろうと思います。〉」
「秋本氏の質問は、日本風力開発 ( 社 ) のような独立事業者の要望に沿うものだった。」
「国会質問は ( 国の ) 政策を直接決定するものではないが、過去の裁判では、議員の職務権限だとされている。」
記事は過去の事例として、元労働大臣が賄賂を受け取って代表質問した事件と、当時の検察の見解を紹介しています。
・体表質問は、政党政治の根幹をなすものである。
・( 賄賂を受け取っての代表質問は、) 国会の威信を失墜しかねない重大な犯行だ。
秋本氏の犯罪はまだ確定していませんので、記事は過去の事例を紹介するにとどめ、東京地検特捜部が、重大な関心を持っている「競走馬組合」について言及しています。
・競走馬組合の実態は、秋本氏の管理下にあり、日本風力開発からの資金振り込みは秋本氏の金だった。
・組合への資金提供は、2021 (令和3 ) 年から、2022 (令和4 ) にまたがり、国会質問のあった2022 (令和4 ) 2月に隣接する。
・提供された資金は、二千数百万円にのぼる。
検察の主張に対する同社弁護士の説明を、別の日の記事から紹介します。
・競走馬組合は、秋本氏の個人管理でなく、塚脇社長との共同管理である。
・資金は希望する馬を獲得するための競りの代金、馬の餌代である。
・洋上風力発電の陳情に結びつくものではない。
容疑が立証されていない微妙な段階なので、共同通信社の報道も慎重で、元検事だった弁護士の意見を同時掲載しています。
・塚脇社長側の主張通りならば、賄賂と言えるかは問題となる。
・立件には、秋本氏が競走馬組合をどの程度支配していたかの解明が重要だ。
これ以上記事を紹介するのは止めますが、この事件が教えてくれたマスコミの力について、述べておきます。
8月4日から17日まで、同氏の顔写真入りで連日大々的に報道しました。その経過を並べますと、次のようになります。
8月 4日 記事 1件 ・・報道第一日目 社会面に顔写真入り
8月 5日 記事 7件・・報道二日目 一面トップ 政治面トップ 社会面トップ 顔写真入り
8月 6日 記事 2件・・政治面 社会面 秋本氏自民党離党
8月 7日 記事 2件・・政治面 野党議員辞職要求
8月 8日 記事 2件・・政治面 社会面 競走馬組合・秋本氏の単独管理判明
8月 10日 記事 1件・・政治面 国会質問と資金疑惑関連記事
8月 12 日 記事 1件・・社会面 塚脇社長・検察主張の賄賂を受け入れ
8月 13日 記事 1件・・社会面 塚脇氏の心境・苦渋の決断・力関係に負けた
8月 15日 記事 1件・・社会面 秋本氏・公選法抵触の恐れ
8月 17日 記事 1件・・政治面 公募基準改正、秋本氏関与か
もしかすると、この事件で氏の議員生命が断たれたのかもしれません。現在は自民党を離党していますが、ここまでマスコミに集中攻撃されますと、次回の選挙での当選は難しくなります。紹介したのは千葉日報の記事ですが、おそらく同じ時期に共同通信社の全国配信記事だけでなく、NHK、朝日、毎日、読売、産経とほとんどのマスコミが事件を伝えたのではないでしょうか。
不正を暴かれ、激しい批判と攻撃を受け、政界から消えた多くの議員たちが思い出されます。不正をした政治家が受ける当然の報いなのでしょうが、これがマスコミの力の証明でもあります。世論を掻き立て味方につければ、気に入らない政治家を葬り去ることができるという事例です。
今回はこれで終わりにせず、政治家については、別の見方があることを紹介しようと思います。スペースが足りなくなりましたので、続きは次回とします。