3. 日米韓首脳会談と新時代のアピール 中国の反発 ( 記事7件 )
本日は、NIKKEI ブリーフィングの記事から、尹大統領の発言を紹介します。(ソウル=甲原潤之介)
・16日の日韓首脳会談で、日本から謝罪表明がなかったと国内で反発がある点を意識し「韓国社会には、排他的民族主義と反日を叫びながら、政治的利益を取ろうとする勢力が厳然と存在する」と言及した。
・日本の謝罪表明の具体例として、1998 ( 平成10 ) 年の日韓共同宣言と、日韓併合から100年にあわせ日本が表明した2010 ( 平成22 ) 年の菅直人首相(当時)の談話に触れた。16日の会談で、岸田政権が1998年の宣言を継承する立場を明確にしたと説明した。
・これにあわせ、韓国の歴代政府は元徴用工に対し「痛みを癒やし、適切な補償がされるよう努力してきた」と紹介した。1974( 昭和49 )年に制定した特別法に基づいて、92億ウォンを、2007 ( 平成19 ) 年の特別法で6500億ウォンを、それぞれ政府が補償したと指摘した。尹政権としても「被害者と遺族の痛みが癒やされるよう最善を尽くす」と表明した。
徴用工問題は、反日一辺倒だった文在寅政権が残したものですから、まだ時間がかかると思います。しかしこういう認識を持つ韓国の大統領が現れ、国民に公言しているという事実に、大きな変革が近づいていることを感じさせられます。日本へのリップサービスで、日本寄りの発言をした大統領が何人かいましたが、ここまで踏み込んで意見を述べた人物はいませんでした。
しかも彼らは、韓国内の世論が激しく反対すると、平気で日本を裏切りました。繰り返された過去の事実がありますので、ユン大統領の言葉を信じるには時間が必要です。氏の言葉がある日突然に変わらないことを願いながら、続きを紹介します。
・1965 ( 昭和40 ) 年の日韓請求権協定について「韓国政府が国民の個人請求権を一括して代理し、日本の支援金を受領する」取り決めだとの認識を明言した。そのため、65年の合意と日本企業に賠償を命じた2018 ( 平成30 ) 年の最高裁判決を同時に満たす折衷案として、解決策を決定したと説いた。
あれほど激しかった「慰安婦問題」が、朝日新聞の社長辞任により、嘘の報道だと分かると立ち消えになったように、「徴用工問題」もマスコミや反日団体の嘘宣伝と分かれば消えるはずです。事実と異なる嘘報道が蔓延する原因は韓国だけにあるのではなく、半分は日本側にあります。
・1965 ( 昭和40 ) 年の国交正常化は当時の朴正熙(パク・チョンヒ)大統領の決断だったと強調した。「決断のおかげでサムスン、現代、LG、ポスコのような企業が世界的な競争力を備えた企業に成長することができた」と話し、経済成長の原動力になったと主張した。
・大統領就任時に「韓日関係の正常化策について悩んだ。まるで出口のない迷路のなかに閉じ込められた気分だった」と明かした。「厳しい国際情勢を前にし、私も敵対的民族主義と反日感情を刺激し、国内政治に利用しようとしたら、大統領としての責務を捨てることになると思った」と強調した。
・日韓関係を「宿命の隣国関係」と表現し、戦後に関係改善したドイツとフランスのように過去を乗り越えるべきだと主張した。
日韓の和解を妨げている勢力が、二つあります。アメリカと中国政府内にいる、反日勢力です。対立する世界の二大覇権国が政治介入しているのですから、ドイツとフランスのようにはいきません。まして日本は亡国の憲法せいで国を守る正規軍がなく、アメリカに従属していますから、独自の外交と政治がまだ出来ません。従って私は、ドイツとフランスのように和解できない原因を、韓国の反日姿勢だけでなく、日本の対米従属的立場にあると考えています。
・日韓関係の正常化に向け「韓国が先んじて障害物を取り除けば、きっと日本も呼応してくれる」と期待を示した。
・北朝鮮の弾道ミサイル発射に触れ「北朝鮮の核・ミサイルに関する韓日間の完璧な情報共有が急がれる。前提条件をつけず先んじて日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の正常化を宣言した」と語った。
・韓国外務省は21日、2019 ( 平成31 ) 年のGSOMIAの終了通知を撤回すると日本に伝えた。
・尹氏は日本が輸出管理で優遇する「グループA(旧ホワイト国)」に韓国を再指定するよう対話を続ける意向を示した。韓国がまず、日本を「ホワイトリスト」に戻すための必要な法的手続きに着手するよう関係部局に指示を出すと明かした。
青山繁晴氏は『ぼくらの国会』の動画で、韓国をホワイト国へ戻した岸田首相に反対していましたが、あの決定の背景には、ユン大統領の決意表明があったのだと分かりました。
・液化天然ガス(LNG)の調達やインフラ建設、スマートシティーなどで連携の余地が大きいと指摘した。半導体やバイオ、宇宙など先端分野の協力も「スピード感を持って進める」と話した。
尹氏は閣議の冒頭で、約20分にわたって日韓関係について発言し、この冒頭発言を韓国メディアが中継したものだそうです。
NIKKEI ブリーフィングの記事によりますと、韓国では16日の首脳会談を「亡国外交」と批判する声が早速あがっていると言います。野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表は、尹氏の対日姿勢を「屈辱的」と発信し、18日には支持者に集会への参加を呼びかけ反日運動を展開しているとのことで、当然の反応かと思います。
更に記事では、世論調査会社リアルメーターが20日発表した尹氏の支持率は36.8%で、前週から2.1ポイント低下したと報じています。不支持率が1.5ポイント上昇し60.4%となったといいますから、ユン氏が大きな決断をして日本に向きあおうとしている姿勢が見えます。日本の政治家と違うところは、氏の次の決断です。
「尹氏はこれ以上の支持率の低下を防ぐため、対日政策の発信を強化している。」
日本の政治家なら、支持率の低下を防ぐためしばらく静観しようと、発言を控えますが、韓国の政治家は逆です。さらに発信を強化し、国民への働きかけを進めると言います。両国の政治風土と国民性の違いがよく見えます。
違う性格の二人の政治家が、違う国内世論を踏まえながら、「日韓の融和」という共通の目標に向かっているという事実を、息子たちと「ねこ庭」を訪問される方々に紹介しました。次回はもう一度、新聞記事に戻ります。