日本の大多数の保守層の特徴は、組織化されていないサイレント・マジョリティーというところにあるのではないか、と考えています。
自分の人生において、保守の脆さについて3つの経験をし、その一つが早稲田大学の学園紛争でした。昭和40年末から学費値上げ反対で始まった紛争は、政党に属する学生活動家だけでなく、広範な一般学生が参加したところに大きな特色がありました。
闘争主体の学生活動家が「全共闘」を名乗り、学校全体のバリケード封鎖という実力行使で大学当局と争いました。私はこの時四年生で、マスコミの分類に従うと「一般学生」でした。
約2,500人の機動隊が大学を包囲して、大学本部を占拠するおよそ1,000人の学生を実力で排除・退去させ、これで大学は機動隊の護衛のもとに、入学試験を実施することができました。
今も変わらないと思いますが、当時の早稲田の学生数は4万人でした。本部を占拠したおよそ1,000人が活動家と言われる学生で、残りの三万九千人が一般学生です。
数ヶ月続いた紛争の間、左翼思想で団結しデモに慣れた彼らに、一般学生は引きずり回されるままでした。
集会の場で違う意見を述べる学生がいると、壇上を占拠した活動家が即座に大声で怒鳴り返し、威圧して黙らせてしまいました。数が多くても、組織化されていない一般学生は個別に粉砕されると、何もできない砂粒みたいな存在になります。
この騒動を通じて、私が学んだことは次の事実でした。
・烏合の衆はいくら沢山いても、一握りの訓練された活動家には敵わない。
昭和40年代の日本と現在の日本との違いは、「ネット社会」であるというところにあります。組織化されていないサイレント・マジョリティーだった保守層が、ネットという武器を手にし意見を発信し始めました。
私もその中の一人で、「ねこ庭」というツールを通して意見を発信し、多くの保守の人々との交流を深めました。相手の顔を知らず、年令が分からないままでも、「日本を愛する」という一点で繋がり、明日の日本を語る同志になりました。
平成21年12月から始めた「ねこ庭」は、今年で14年になります。開始以来の訪問者で愛国の同志だったA氏と、今年の春から突然疎遠になりました。
組織化された活動家の攻撃に、A氏が不安を感じたのが原因でした。A氏のコメントを公開するのは苦渋の思いですが、敢えて決断しました。
ネットで繋がった同志であっても、活動家から攻撃されると持ち堪えられない2つ目の例として、具体的に紹介します。
3つ目の例は既に報告しましたが、10年以上「ねこ庭」で「皇室護持」と「憲法改正」を主張してきた自分が、「日航機墜落事故」の件で挫折した脆さでした。
2つ目の例は、分かりやすいように、「ねこ庭」を始めた頃のA氏のコメントと、つい最近疎遠なったコメントの一部を紹介します。
〈 「ねこ庭」を始めた頃のA氏のコメント 〉
・今尚、難題つけて貶める中韓に敢然と立ち向かう勇気を持つべきなのです。 声を上げなければなりません、無茶を言ったものが勝つ、こんな理不尽を許してはなりません。
・ひとはひと、われはわれ。ねこ庭さん気楽にいきましょう。
・私など罵詈雑言、誹謗中傷雨あられ、それでもくじけず、貴方と共に歩みます。
・男の心根 ねこ庭さん、
ご無沙汰しています、皆様の真摯なコメントに胸熱くしております !
・ねこ庭さんの心情は、私の想いと変わりません。こんなに貴方の想いがスッと入るなど不思議ですね、
・いつも、ねこ庭さんを応援しています、どんな事態が起きようとも我々は一蓮托生です。
何時か東京で会い、酒を酌み交わす日を楽しみに頑張りましょうと約束をしていましたが、執拗に「ねこ庭」を攻撃する乱暴者が現れると、A氏が危険を感じられるようになりました。
乱暴者を相手にしないようにと、私を気遣って忠告されるようになりました。しかし忠告を受け入れるというのは、乱暴者の背後にいる組織に膝を屈することになります。
忠告に同意できない私に、A氏のコメントが他人行儀になりました。
〈 つい最近疎遠なったA氏のコメント 〉
・攻撃的な人物とのやり取りを、仲間内のブログに転載したらいけないのではないですか。だから私は介入しないようにしています、そして他者に反感が向かないよう削除致します。どうかご理解ください。
・お互いの感情、今後を考えたら貴方には荷が重くなります。これからは無視した方が無難です。
・私は寛容な男ですが、相手によっては冷徹な態度で拒絶いたします。反応しないことです。
・これ以上カッカさせないこと、こんなのと喧嘩して一つも良いことありません。せっかくの良い人達も、離れることになります。
・キツイ助言ですが、家族のためにもそうするべきだと思います。
・不愉快な乱入者は、好意的な人にとって迷惑以外の何者でもありません、そんな輩は、仲間の為にもシャットアウトするべきだと思います。
・要領を得ませんがお許しください、奥様、お子息様によろしくお伝えください。
乱暴者はおそらく「ねこ庭」へコメントを入れるA氏のブログにも、脅しを入れていたのかと思います。顔が見えない相手からの脅しは嫌なもので、危機感もあります。
だから私はA氏の気持を察し、5月18日に次のように返事を入れました。