おねっと日記

日々の出来事を感じたままにつづります

月の向こうに

2010年10月21日 | 暮らし
母の一番の友人だったSさんの、それはあまりにも突然の訃報でした。



Sさんは母が亡くなってからずーっと、何年もの間、しばしば母の墓前を訪れて下さいました。
小さなお弁当を手にしては墓前を散歩コースにし、母とおしゃべりしながら過ごすのが一番の楽しみと言ってくださいました。
父よりも、ずーっと多く足を運んで下さるそのお気持に私たち家族はいつも感謝の気持でいっぱいになりました。

Sさんはまるで母の代わりのように私たち家族を案じては娘たちの様子をいつも気にかけてくださっておりました。
娘が就職したと言えば実の祖母のように喜んでくださいました。
結婚したと言えばやはり涙ながらに喜んでくださいました。
ですから、私は母の亡き後、母の日になるとSさんにカーネーションを何度か送りました。
そうせずにはいられない私がおりました。

すると「私だけが良い思いをしておかあさんに申し訳ないわねえ・・」とまた涙声になりました。
そして他人でも、こんなに私たちを想ってくださる人がいるのだということも知りました。

そんなSさんは母と同じ季節に旅立ちました。

きーんと澄んだ夜空に光る月の向こうで母とSさんが微笑んでいるようです。
久しぶりの出会いにふたりはきっとお互いを懐かしみながらおしゃべりをしているに違いありません。