田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

運命の女

2007-10-06 22:08:10 | Weblog
10月6日 土曜日 晴れ
●彼女とは故郷の田舎町の小さな剣道場で出会った。演劇サークルが稽古場として借りていた。わたしはまだ東京にいた。母の病気で帰省してきた。その翌日だった。なにか演技の参考になるような話をしてくれとたのまれた。わたしはシナリオ研究所の四期生だった。
ぶらりとでかけたそこに彼女がいた。剣道場の片隅に白いユリの花が咲いているようだった。薄暗いなかになにか白い霞がかかっていた。ああ、運命の女がここにいた。ついに生涯をともにするべき女性に出会った。からだがふるえた。

●昭和27年に文芸首都の会員となった。彼女と出会ったころにはよく投稿していた。31年ころからは毎月のように推薦作その他という欄に名前がでていた。あとひといきで推薦作、その月に作品が掲載されるところまでがんばっていた。文学的には、いちばん充実した日々を過ごしていた。

●あれから50年。息子の披露宴で贈られユリの花の匂いに触発されての回想である。よく生きてこられたと思う。

●彼女とはいまのカミサンだ。