田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

故郷/鹿沼の秋

2008-10-05 21:33:56 | Weblog
             

10月5日 日曜日
●めずらしく日曜日に鹿沼にいる。来週、鹿沼が熱く燃える土曜、日曜日となる。秋祭りがある。ぜひおいで下さい。再三書いていますが「恋空」の観覧車のある北関東の北端の街です。むかしから習い事や、芸術の盛んなすばらしい街です。

●カミサンの恩師曽我芳子先生の回顧展を観ようということで、川上澄生美術館まで足をはこんだ。ざんねんながら会期は終っていた。しかたないので、隣の図書館に飾ってある作品を鑑賞に寄った。廃船「九十九里」百号くらいある大作である。先生は、廃船を描くことに全生涯をついやした感のある絵描きさんだ。ときどきカミサンと曾我先生にとって「廃船」のテーマはどういうものであったのか話し合うことがある。作品は素朴な構図と色彩のものであったが感動した。

       

●文化交流館で生け花展をみた。旧知のIさんに会った。娘さんのJちゃんはふたりの男の子のお母さんになっているとのこと。話がはずみ楽しかった。

●カミサンは午後、Mさんの「リネン展」を掬翠園茶室に見に行く。フエルトの携帯入れとリネンのショールを買ってきた。教え子のM君はお母さんよりおおきくなり、立派な若者になっていたという。

●昼間からお酒を一合ほどたしなみ熟睡。魔闘学園が第一部完結となった。このあとどうしょうかな……などとかんがえながら飲んだ。おいしかった。午睡した。

●「coelacanth三億八千万年の孤独」を十五枚書く。「魔法iらんど」の麻屋ブログは休もうかな。

●夜になってから雨となった。窓から木犀の芳香が流れ込んでくる。窓を閉めるのが惜しいような気がした。

●庭ではムシが鳴いている。

●外猫「クロ」には、きょうは会えなかった。エサ皿はからっぽになっていた。

●秋が深まっていく。





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魔闘学園 第一部完  麻屋与志夫

2008-10-05 20:07:52 | Weblog
助かった。
だれか助けにきてくれた。
救助隊がきた。
どこから。
どこでもいい。
なんとか、たすかりそうだ。
武もそう思った。
麻屋さん。麻屋さん。
鹿未来の顔があった。
「あっ、わたしは……」
そこは、宙にういた鹿沼ではなかった。
玉藻の前の棺の脇だった。
「玉藻の紋章にふれたとたんに気をうしなってしまったのですよ」
生気をねこそぎ吸いとられたようだ。
からだがだるい。
宙にそれこそういているようだ。
無力感に麻屋はふるえていた。
「塾などやって、格闘技の精進をおこたっているから、わたしにはこの狐と闘う術がない。塾の経営で疲れ過ぎた。幻覚を打ち破る力がない。再度この狐の霊魂を封印することができない」
「いまわ悪い時代なのですね。悪いものほど宣伝がうまいから。適塾や松下村塾のような人間育成に力をいれる塾はほろびていくしかないのですね。いままでのあなたのご苦労がわかります。本物の生きにくい時代なのですよ」
「でも、いま戦っているこの子たちは立派です」                  

「よくもよくも……」
怨みがましい玉藻の声が棺おけの内部でする。
「わたしの血のあじはいかがかしら」
鹿未来の血を紋章の上からそそいだのだ。
同族間の争いをタブーとするためだ。
同じ種族の血をすうと、かれらは滅びないまでも、動きかとれなくなる。
棺からうすい煙りがわきでてきた。
「せんぱい」
洞窟の入り口からVセクション日本支部長の高宮の声がふってきた。

麻屋のむかしの同僚がかけつけてくれたのだ。
武の携帯の電波がとどいていたのだ。
武のSOSをキャッチしたの

吸血鬼掃討作戦はいまはじまったばかりだ。


エピローグ

家にもどった麻屋をあたたかな味噌汁が待っていた。
「あなた、朝から散歩ですか。まさかジョギングでないでしょうね」
夫の身をあんじる妻が、それでものんびりとした声をかける。

栃木テレビは鹿沼のホームレス殺人事件が解決したことをれ報じている。
路上で通学中の女子生徒にきりつけた通り魔が自白したというのだ。

しかし、市民はしらない。
このつかの間の鹿沼の平和がタカコたちおおくの若者の必死の闘いが支えてくれたことを。




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