田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

指剣が使えない/超能力シスターズ美香&香世 麻屋与志夫

2011-02-06 07:32:02 | Weblog
9

このなかに、あの女性がいる。
たすけも求められずにいる。
わたしはあの人を救いたい。
ひとを救えないで、なにがテレパスだ。
わたしの能力。
剣の技も人を救うためにある。

そうこころを鼓舞して。
飛びこんだ。
部屋。
血。
血。
血。
の海。
でもおかしい。
よくみれば!!

遮光カーテン。
表が黒で、裏側が真紅。
真紅のカーテンの引かれている部屋。
紫外線をきらって。
太陽の光をきらっている。
床も真っ赤な絨毯。
ナンダコリャ。
麻衣が大声を上げた。
美香は――。
二階への階段を見あげた。

「オネエ……」

香世の声が頭にひびいてきた。

「オネエ。ヤバイよ。はやく。右の二番目の部屋だよ」

香世の遠隔透視だ。
美香は階段を二段ずつかけあがった。
麻衣が美香をおいこしていく。
さすがクノイチ。

「その部屋!!」

美香が指示する。
美香もとびこむ。
間にあった。まさに危機一髪。
エイドリアンが女性の喉元に歯を立てようとしていた。
女性はベッドによこたわっていた。
麻衣は部屋にいた赤い毛のVにゆく手をはばまれていた。
美香は麻衣がソイツラを引き受けているので――。
エイドリアンに斬りつけられた。
エイドリアンの赤い髪がバチッと火花を散らした。
怒髪天を衝く。
――こういうことなのだろう。
エイドリアンの鉤爪がXメンよろしく長く伸びた。
浮船で受けた。
指剣をくりだす。
避けられた。

「いつもの攻撃パタンだ」

哄笑している。
鉤爪が指からはなれて飛んできた。
コンナの初めて。身をかわした。
でも爪が美香のブルゾンの肩口を裂いた。

「美香!!」

麻衣が隣にきていた。

「血がでてるよ」

指剣の青い光が薄らいでいる。
背後から美香と麻衣を襲おうとしたV。
遅れてとびこんできた麻衣のチームのクノイチに阻まれる。

「その人を助けて」

麻衣の指令がとぶ。
上腕部が痛む。痛みが肌を焼く。
指剣は使えない。

「オネエ。気をつかって。音波攻撃」

そうだ。まだその手がある。
美香は手の平をエイドリアンにむけた。
一瞬息をつめた。
集中した気をたたきつけた。
香世のホースも含まれていた。
バーンとエイドリアンは壁にたたきつけられた。
とは――。イカナカッタ。
フワッと宙に浮いた。コウモリになった。
――ように見えた。

「逃がすか」

美香と麻衣のことばをふりきる。
ほかのVもマスターの後を追って窓から夜空へ――。




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