10
血がとまらない。
初めての負傷。
初めての出血。
Vが逃げた。
安心した。とたんに――。
美香はくずおれた。
「オネエ!! 怪我したのね」
香世の声があたまにひびいた。
「ダイジョウブ」
遠く離れた香世に心配かけたくない。
麻衣が肩口をしばってくれる。
すごくなれている。
クノイチ48。
このひとたちは、人知れず正義のためにたたかっている。
負傷したメンバーを介抱するのには慣れている。
仲間が何人も犠牲になっている。
ながす涙は枯れ果てた。
「そうよね。麻衣」
「美香。あまりはなさないほうがいいよ」
美香の腕の傷をみてとった麻衣がやさしくいう。
お姉さんみたい。
わたしもお姉さんがいればよかったな。
そこで、意識がモウロウとなった。
香世の声がきこえてきた。
「オネエ。美香おねえさん」
美香はゆっくりと意識がもどってきた。
真紅の部屋ではなかった。
純白の部屋。
白い。
どこもかしこも白。
病室だった。
香世と麻衣。
百子が美香の顔を見下ろしていた。
「よかった。オネエ、香世ことわかるわよね」
「鉤爪でよかったよ。ごめんね。美香。アーマーで武装していない美香をMVと戦わせて」
「麻衣のせいでない。わたしがすすんでしたこと。不覚を取ったのはわたしの力量不足」
「わたしたちが2日もかかって見つけたアジトに美香が現われるとはね」
美香はブルーノートのまえで偶然マスターにあった。
それ以後のことをはなした。
「疲れるから……」
三人が同時におなじことば。
「ありがとう。でももうだいじょうぶ」
あまりそうでもないらしい。
灼熱の痛覚が傷口によみがえった。
麻酔が切れてきたのか?
緊張していて痛みを感じていなかったのか。
「まだ、夜の11時。あの女の人もたすかったからね」
香世が美香の口にしたい質問を読んだ。
そして、声に出してこたえたのだった。
「よかった。あの免疫抗体が役立ったのね」
こんどは、美香が声に出した。
「そうだ、アンデイが来てるよ」
香世が病室の扉をあけた。
花束がはいってきた。
花束をかかえたアンデイが憂い顔でそこにいた。
「こういうときは、なんて日本語でいえばいいのですか」
アンデイの日本語はますますなめらかになっている。
アンデイの声。
アンデイがそこにいること。
やすらぐ。
わたし……アンデイに恋を……したのかも。
香世が頷いている。
百子と麻衣が香世の手をひいて病室からでていく。
美香はアンデイとふたりだけになった。
胸の動悸がはげしくなる。
傷の痛み。
の……。
ためではないことは確かだ。
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安心した。とたんに――。
美香はくずおれた。
「オネエ!! 怪我したのね」
香世の声があたまにひびいた。
「ダイジョウブ」
遠く離れた香世に心配かけたくない。
麻衣が肩口をしばってくれる。
すごくなれている。
クノイチ48。
このひとたちは、人知れず正義のためにたたかっている。
負傷したメンバーを介抱するのには慣れている。
仲間が何人も犠牲になっている。
ながす涙は枯れ果てた。
「そうよね。麻衣」
「美香。あまりはなさないほうがいいよ」
美香の腕の傷をみてとった麻衣がやさしくいう。
お姉さんみたい。
わたしもお姉さんがいればよかったな。
そこで、意識がモウロウとなった。
香世の声がきこえてきた。
「オネエ。美香おねえさん」
美香はゆっくりと意識がもどってきた。
真紅の部屋ではなかった。
純白の部屋。
白い。
どこもかしこも白。
病室だった。
香世と麻衣。
百子が美香の顔を見下ろしていた。
「よかった。オネエ、香世ことわかるわよね」
「鉤爪でよかったよ。ごめんね。美香。アーマーで武装していない美香をMVと戦わせて」
「麻衣のせいでない。わたしがすすんでしたこと。不覚を取ったのはわたしの力量不足」
「わたしたちが2日もかかって見つけたアジトに美香が現われるとはね」
美香はブルーノートのまえで偶然マスターにあった。
それ以後のことをはなした。
「疲れるから……」
三人が同時におなじことば。
「ありがとう。でももうだいじょうぶ」
あまりそうでもないらしい。
灼熱の痛覚が傷口によみがえった。
麻酔が切れてきたのか?
緊張していて痛みを感じていなかったのか。
「まだ、夜の11時。あの女の人もたすかったからね」
香世が美香の口にしたい質問を読んだ。
そして、声に出してこたえたのだった。
「よかった。あの免疫抗体が役立ったのね」
こんどは、美香が声に出した。
「そうだ、アンデイが来てるよ」
香世が病室の扉をあけた。
花束がはいってきた。
花束をかかえたアンデイが憂い顔でそこにいた。
「こういうときは、なんて日本語でいえばいいのですか」
アンデイの日本語はますますなめらかになっている。
アンデイの声。
アンデイがそこにいること。
やすらぐ。
わたし……アンデイに恋を……したのかも。
香世が頷いている。
百子と麻衣が香世の手をひいて病室からでていく。
美香はアンデイとふたりだけになった。
胸の動悸がはげしくなる。
傷の痛み。
の……。
ためではないことは確かだ。
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