23
ふいに、部屋に闇が充ちた。
「アンデイ。マスターよ。VMよ」
闇の中だ。
シャリーのささやきに応えた。
美香と香世は背中合わせにかまえた。
魚の腐ったような臭いがする。
肌にへばりついてくるような腐臭だ。
臭い。
ねばつく手で。
体をなで回されるようだ。
肌が恐怖でふるえている。
「近寄ってくるシ。オネエ。見える」
「見えるシ。シンパイしないで」
トオァ。タタタ。
美香の裂帛の気合が部屋にひびいた。
指剣が青白く炎をあげた。
光っている。
その光の先。
その炎に照らし出された。
黒いマントの影。
何時にもまして陰惨な存在。
エイドリアンだ。
「アンデイ。いまさら日本まできて戦ってどうなる」
「アメリカの夜の世界の支配に失敗したから、
こんどは極東の日本を選ぶ。
日本を制覇するなんてワンパタンだな。エイドリアン」
「なんとでもほざけ」
アンデイは日本の大学に留学するためにきたのではなかった。
だから東都大学に籍がなかったのだ。
わたしに心配かけたくなかったのだ。
よかった。
でも、打ち明けてくれないなんて水臭い。
いくらでも、協力できたのに。
でも……これからはいつも……アンデイと共闘できる。
美香の指剣が。
マスターのコートからアンダーウエアまで。
切り裂いた。
薄ぼんやりとした明かりの中だ。
ほとんど美香の指剣がはなつ光だけだ。
それでも見えた。
こんなことがあっていいのか。
VMの肌は、重なり合う鱗におおわれている。
わざとらしく、まだ腕にのこっているコートの袖をひろげる。
巨大なコウモリに見える。
歌劇のように大袈裟なしぐさだ。
過激すぎる。
「エイドリアンは劇場型のvampireなのだよ」
いえてる。と美香はおもった。
そうなんだ。と香世はおもった。
「だから、ヤルことがハデなんだ」
ふたりが同じ言葉を声に出す。
「なにいってるんだ」
エイドリアンがききかえす。
しめた。
あいつには、わたしたちの思念は伝わらない。
読まれない。
「わたしうしろにまわるね」
香世が美香のあたまに話す。
マスターの鉤爪がアンデイにのびる。
アンデイ横に跳んでかわす。
そのとき、香世がVMの背後から気をたたきっけた。
よろけるVMの肩口に美香が指剣で斬りつけた。
憤怒の声。
怒声。
絶叫。
エイドリアンのあげた悲鳴に反応して明かりがついた。
まばゆすぎる明かりに眼がくらんだ。
エイドリアンの腕にさらに浮船で斬った。
輪切りのようにエイドリアンの肉がとんだ。
これでも接着できるかしら?
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ふいに、部屋に闇が充ちた。
「アンデイ。マスターよ。VMよ」
闇の中だ。
シャリーのささやきに応えた。
美香と香世は背中合わせにかまえた。
魚の腐ったような臭いがする。
肌にへばりついてくるような腐臭だ。
臭い。
ねばつく手で。
体をなで回されるようだ。
肌が恐怖でふるえている。
「近寄ってくるシ。オネエ。見える」
「見えるシ。シンパイしないで」
トオァ。タタタ。
美香の裂帛の気合が部屋にひびいた。
指剣が青白く炎をあげた。
光っている。
その光の先。
その炎に照らし出された。
黒いマントの影。
何時にもまして陰惨な存在。
エイドリアンだ。
「アンデイ。いまさら日本まできて戦ってどうなる」
「アメリカの夜の世界の支配に失敗したから、
こんどは極東の日本を選ぶ。
日本を制覇するなんてワンパタンだな。エイドリアン」
「なんとでもほざけ」
アンデイは日本の大学に留学するためにきたのではなかった。
だから東都大学に籍がなかったのだ。
わたしに心配かけたくなかったのだ。
よかった。
でも、打ち明けてくれないなんて水臭い。
いくらでも、協力できたのに。
でも……これからはいつも……アンデイと共闘できる。
美香の指剣が。
マスターのコートからアンダーウエアまで。
切り裂いた。
薄ぼんやりとした明かりの中だ。
ほとんど美香の指剣がはなつ光だけだ。
それでも見えた。
こんなことがあっていいのか。
VMの肌は、重なり合う鱗におおわれている。
わざとらしく、まだ腕にのこっているコートの袖をひろげる。
巨大なコウモリに見える。
歌劇のように大袈裟なしぐさだ。
過激すぎる。
「エイドリアンは劇場型のvampireなのだよ」
いえてる。と美香はおもった。
そうなんだ。と香世はおもった。
「だから、ヤルことがハデなんだ」
ふたりが同じ言葉を声に出す。
「なにいってるんだ」
エイドリアンがききかえす。
しめた。
あいつには、わたしたちの思念は伝わらない。
読まれない。
「わたしうしろにまわるね」
香世が美香のあたまに話す。
マスターの鉤爪がアンデイにのびる。
アンデイ横に跳んでかわす。
そのとき、香世がVMの背後から気をたたきっけた。
よろけるVMの肩口に美香が指剣で斬りつけた。
憤怒の声。
怒声。
絶叫。
エイドリアンのあげた悲鳴に反応して明かりがついた。
まばゆすぎる明かりに眼がくらんだ。
エイドリアンの腕にさらに浮船で斬った。
輪切りのようにエイドリアンの肉がとんだ。
これでも接着できるかしら?
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